2018年3月19日月曜日

4月のスタートで大切なこと

 間もなく新年度が始まります。新しいクラス,新しい学年のスタートです。

 さて,1年間のスタートを切るにあたり大切なことはなんでしょうか? 大切なことの1つは,1年後のゴールをイメージすることです。1年後に子どもにどのような力を付けたいのかを具体的にイメージすることが大切です。このゴールのイメージが具体的であればあるほど,そのゴールに向かう日々の手立ても具体的に見えてきます。

 算数の授業であれば,1年後にどのようなことができるようになってほしいのかをイメージします。これは他の教科でも同じです。国語なら,どのようなことができるようになってほしいのかをイメージします。

 ゴールが具体的にイメージできました。次の具体策はどのようなことをすればよいのでしょうか。まず,すぐにできることは教科書で1年間の授業内容を確認することです。4月にはこの単元があるな,5月にはこの単元か・・・と,1年間の授業計画をイメージします。このイメージを頭にインプットしておくことが大切です。このイメージがあると,身の回りに見えるものの中に,授業を深めるヒントが見えてきます。「スーパーに陳列されている○○は,かけざんの単元で使えるぞ」など,いろいろなものがつながって見えてくるのです。

 4月のスタートで大切なことの詳細は,4月21日(土)京都テル差開催の「Math Labo! 算数講座」でも演習形式でお伝えします。お楽しみに! この講座の申し込みは,以下のアドレスからお願いします。

http://www.kokuchpro.com/event/mathlabo1/

 4月,よいスタートが切れるように有意義な春休みを過ごしましょう!

2018年3月15日木曜日

あたたかい学級創りの根本にあるもの

4年間担任してきた子どもたちが,卒業していきました。本当にかわいく,そしてあたたかい心をもった子どもたちでした。

 2月の本校の研究会にいらっしゃた先生の多くから,次のような言葉を頂戴しました。
「どうして6年生なのに,あんなにあたたかい空気感があるのですか?」
「6年生のこの時期なのに,男女がとても仲がいいのに驚きました」
 このような声は,1年前,子どもたちが5年生の時にも頂戴しました。

 あたたかな空気感のある私のクラスの子どもたちは,困っている友だちに寄り添ったり,仕事を忘れた子どものフォローをしたりという行動が自然にできるのです。

  学級集団にこのようなあたたかな空気感が生まれるのはどうしてなのでしょうか? もちろん,そのような素質が子どもたちに備わっていたこともあります。しかし,それだけではないと私は考えています。では,そこに必要なことはなんでしょうか?

 このようなあたたかな空気感が生まれる学級創り・算数授業創りの秘密を,6月30日(土)開催のMath Labo 算数講座の第2回でお伝えしたいと考えています。
 まだ1回目のMath Labo 算数講座も終わっていないのですが・・・。よろしかったら,第2回の講座にもご参加くださいね! こちらの受け付けは,第1回のMath Labo 算数講座終了後となります。

2018年3月14日水曜日

『小学校 新学習指導要領 算数の授業づくり』予約開始

明治図書からの新刊本『小学校 新学習指導要領 算数の授業づくり』の予約が始まりました。すでに多くの予約が入っています。ありがとうございます。予約サイトは,以下のアドレスからお願いします。

https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-274424-2

予約されたみんさん,販売までもう少しだけお待ち下さい!

2018年3月13日火曜日

卒業論文に挑戦!

 今年は6年生を担任しています。2月に入ると,算数はまとめの学習に入ります。これまでのブログで紹介してきたような卒業スペシャル授業を何本か行ってきました。それらの授業の中から1本を選んで,卒業論文に取り組みました。


 算数版卒業論文とは,スペシャル授業1時間分を再現するものです。子どもたちに白い画用紙1枚を渡します。その紙を縦に4分割させます。そこに授業場面を再現していくのです。教師役,子ども役のキャラクターが登場し,授業で交わされた言葉を再現していきます。教師の研究授業での授業記録をイメージしてもらえるといいかもしれません。
この論文は,真剣に授業に参加していないと書けません。今回の論文は,あらかじめ取り組むことを予告しておきました。子どもの中には,論文に備えて必要な情報をノートにこまめに記入している子どももいました。

 算数では論理的思考力を鍛えることが目的の一つです。論理的思考力を鍛える方法の一つが,学んだことを再現という方法で出力させることです。

 出力には,2つの方法があります。1つは音声による再現。もう1つは記述による再現です。前者は,ペア説明などを活用することで,短時間に全員が行うことができます。一方,この方法では全員のペア説明がきちんと行われているのかどうかを一度に教師が確認するのは困難です。

 その点,記述による再現は,再現内容が文章で残ります。1人1人の再現内容の確認ができます。ただし,時間がかかることがネックです。今回の卒業論文は,2〜3時間程度かかります。このタイプの再現活動は,1年に1〜2回が限度です。通常は,5〜10分程度のショートの再現活動をこまめに行うことがベストです。このショートの再現活動をくり返し経験していくと,この論文(レポート)への取り組みへのハードルの低くなります。


2018年3月7日水曜日

「小学校新学習指導要領 算数の授業づくり」発刊のお知らせ

新学習指導要領が2020年からスタートします。この4月からは,移行措置も始まります。

新学習指導要領では,主体的・対話的で深い学びによる授業改善を求めています。さらには,数学的活動という新しい用語も登場してきました。また,数学的な見方・考え方という用語も登場してきました。この他にも,新しい用語や,なんとなくは分かるけど実はよくわからい用語もたくさんあります。それらの言葉の本当の意味や,その意味を実際の授業場面でどのように具現していけばいいのでしょうか? 理論はなんとなくわかっても,実際の授業をどのようにすればよいのかわかならいという声をたくさん聞きます。

そんな声に応える本を作りました。新学習指導要領がめざす方向と,それに対応する具体的授業事例を紹介します。

間もなく明治図書から発刊です。もう少しだけ,お待ちください!

Math Labo! 算数講座増員しました!

4月21日(土)京都テルサを会場に,私と樋口先生(京都教育大学附属桃山小)・西村先生(京都市立醍醐西小)の3人で開催する算数授業づくり講座・Math Labo!への申し込み,ありがとうございます。当初の定員を超えたため,増員しました。参加申し込みをご検討の方は,お早めにお願いします。

 1回目の講座は4月21日(土)ですが,その後も別のテーマで講座を行います。全5回の講座です。5回連続で参加予定の方は,年間パスポートをお求めいただくと1回分が無料になります。かなりお得です! もちろん,ご都合のつく会のみの参加も大歓迎です。

 2回目以降の講座は,先生方のリクエストにより内容を変更することも考えています。
 例えば,
「学級経営のポイントを知りたい」
「算数の教科書のポイント知りたい」
「子どもとの関わり方を知りたい」
など,なんでもOKです! みなさんと作り上げる講座にしていきたいと考えています。


1回目 4月21日(土)
2回目 6月30日(土)
3回目 8月26日(日)
4回目 10月27日(土)
5回目 1月26日(土)


申込み・会の詳細は以下のアドレスからお願いします。

http://www.kokuchpro.com/event/mathlabo1/

2018年3月2日金曜日

新潟市での算数講座決定!

私の故郷・新潟での算数講座が,この夏に行われます。今回は,久しぶりに新潟市を会場に開催します。主催は,新潟市総合教育センターです。日時などは,以下の通りです。

日 時:8月20日(月) 13:30〜16:40

テーマ:算数科・数学科授業つくり

内 容:
14:00〜
講演「『主体的・対話的で深い学び』を実現する算数・数学科授業づくりのポイント」
15:00〜
演習「『主体的・対話的で深い学び』を実現する授業の構想』

会 場:新潟市総合教育センター(新潟市西蒲区)

「主体的・対話的で深い学び」のある授業改善が,次期学習指導要領で求められています。ところが,現場ではこの授業改善を形式的な授業に子どもを当てはめることで展開しようとする傾向が見られます。形式的な授業に子どもを当てはめることは「主体的・対話的で深い学び」の授業改善とは真逆にあるものです。現場の先生は,形式がないと不安に感じるのかもしれません。しかし,そのようなことを続けてきた結果が,言われたことしかできない社会人を育ててしまったのです。今こそ,本気で教師自身が主体的に授業改善をする勇気をもつことが大切です。その方法を,先生方とともに演習形式で主体的・対話的に考え,深く学び合う時間にしたいと考えています。

申し込みは,4月以降,新潟市総合教育センターのHPからお願いします。ただし,この講座は,新潟市勤務の先生方対象となります。

2018年3月1日木曜日

面積が大きいのは?

 子どもたちに,「どちらの面積が大きいでしょう」と尋ねます。正方形の中に中心角が90°の扇型が収まった図形と,同じ大きさの正方形の中に円が内接する図形です。直感で大きさを比較させます。子どもの予想は,扇型・円・同じに分かれます。
 本当はどの面積が大きいのでしょうか。子どもたちは,正方形の1辺の長さを知りたいと考えました。長さが何㎝なら考えやすいのか尋ねると,「4㎝」と声があがります。そこで,正方形の1辺が4㎝として考えます。その結果,扇型も円も面積は12.56㎠になりました。面積は同じになったのです。

 次に提示したのは,正方形の1本の対角線で作られる
三角形と,同じ正方形の辺の中点同士を結んでできる正方形の面積です。この2つの図形については,「計算しなくてもわかる」と声があがりますが,念のために計算で面積を求めます。いずれの図形も,面積は8㎠になり面積は同じになりました。「計算しなくてもわかる」というのは,大きな三角形を4分割していくと,左の正方形とぴったり重なると考えたからです。

 この面積が同じであることがわかった後,「あっちと同じ」という声が聞こえてきました。この声の意味を考えていきます。この声の意味の捉えは,子どもによって様々でした。その中でも「左の形の縮小版が右の形の中に4つある」という見方がおもしろいものでした。円にも正方形にも,右側の図の縮図が4つ分入っています。この関係の場合,面積が同じになるきまりのようなものが見えてきたからです。
 

 さて,このきまりは他の図形でも当てはまるのでしょうか。子どもたちに,この関係にある図形を考えさせました。私の想定を超えるおもしろい図形が生まれてきました。子どもの発想は柔軟ですね!

 この実践は,「板書で見る全単元・全時間の授業のすべて 6年下」(東洋館出版社)を参考にしたものです。

サイコロの目の出やすさ

 サイコロの展開図に右のようなマークを付けます。このサイコロ2つを同時に転がします。どの組み合わせが一番多く出るかを子どもたちに尋ねます。子どもたち全員が,○-○が一番多いと考えました。
「○が3つあって一番多いから,出る確率が高い」
 全員が同じ理由でした。果たして,子どもたちの予想は正しいのでしょうか。

 2人1組で実験を行います。約7分間,子どもたちはサイコロを振り続けました。出たマークの組み合わせ数は,子どもの予想とは大きく異なるものでした。

 最多は289回の○-⬜︎です。子どもたちが最多と予想した○-○は223回でした。○-□とは圧倒的な差です。なぜ,予想に反して○-□が多くなったのでしょうか。その理由を考えます。しかし,これは難問でした。
 しばらくした「右と左で違う?」という声があがります。この声をきっかけに,○-□が多くなる理由が見えてきました。

「左のサイコロの○に①②③,右の○にも①②③と名前をつける。①-①,①-②,①-③,②-①,②-②,②-③,③-①,③-②,③-③の9通り」
「○-□だと左の○に①②③,右の□に❶❷と名前をつける。①-❶,①-❷,②-❶,②-❷,③-❶,③-❷の6通り」
「でも,○-□は左と右が反対もある。左が□で右が○もあるから,6×2で12通りある」

 
 サイコロの目に,名前をつけて説明出来る子どもたちのアイディアがすばらしい部分でした。
 ○-○の組み合わせは,サイコロの右と左の区別がつきません。一方,○-□はその区別ができるのです。このマークの区別の意識ができるか否かが,この問題解決のポイントでした。

 この実践は,筑波大学附属小学校の田中博史先生の追試です。