2018年4月26日木曜日

『新学習指導要領の授業づくり』(明治図書) 増刷決定!

2020年学習指導要領算数解説書の内容を, 具体的な授業事例とつなげた拙著『新学習指導要領の授業づくり』(明治図書),早速,増刷が決定しました。発刊後,わずか1カ月あまりでの増刷です。お求めいただいた先生方,ありがとうございます!

「 算数が研究教科の校内の研究主任をしています。
 最新の指導要領の内容に即した取り組むべきことがわかりやすく
 書かれていてとても参考になりました。
 スローガンに踊らされずに本質を見越して指導する事は私もおぼろげに
 考えていた事ですが、明瞭でわかりやすい文章でその事が書かれており、
 スッキリしました。また、校内の先生方にもすぐに伝えました。」

「具体的な授業とつなげて書かれているので,指導要領がめざす方向のイメージが持てました。若い私でも理解できました。他の似たタイトルの本とは全く違います。お勧めです。」

本を購入いただいた先生の声です。算数解説書を解説して終わるのではなく,どのように授業に生かせばいいのかを具体的に述べています。是非,お求めください!

2018年4月21日土曜日

第2回 Math Labo 学級経営編開催

第1回Math Labo 「算数の授業つくり初めの一歩」講座に参加された先生方,ありがとうございました。授業ビデオを視聴しての先生方の話し合いでは,ディープな視点での協議が続けられました。授業を見る視点を鍛えることも,この講座の目的の一つです。

今回の講座では,沖縄から参加していただいた先生も2名いらっしゃいました。沖縄本島と小浜島からのご参加でした。本当にありがとうございました。学び続ける意欲に本当に圧倒されました。懇親会にも参加いただき,沖縄のディープな教育事情も学べました!

さて,次回は6月30日(土)の開催です。次回のテーマは「学級経営」です。学級経営と算数授業に接点はあるのでしょうか? 私は大きな接点があると考えています。その接点を,具体的な授業を通してみなさんと一緒に学んでいきたいと考えています。次回の講座も,多くの先生方のご参加をお待ちしています。会場は,京都テルサです。申し込みは,以下のアドレスからお願いします。

http://www.kokuchpro.com/event/math2/

2018年4月16日月曜日

角度の必要感を引き出す

4年生に,右の図を提示し次のように投げかけます。

「大中小の3つのビルがあります。一番傾いているのは,どのビルでしょう」

子どもたちは,提示されたビルの図を見つめます。ビルの傾きに合わせて頭を傾ける子ども,2本の指で傾きに合わせた角を作る子どもなど,さまざまな姿が見られました。

 この時点での子どもたちの考えは,バラバラでした。友だちの考えとのズレが生まれました。
 子どもたちの考えは分裂しています。どうすれば傾きの決着をつけることができるのでしょうか。比べ方を子どもたちに尋ねます。

「2本の指を傾きに合わせて比べる」
 間接比較の方法です。子どもらしい発想です。この方法を実験します。ところが,子どもによって結果がバラバラになりました。これでは正しく比べられません。指を移動する間に,指の幅が変わったのです。

「2本の定規をビルと地面に合わせて角を作り,他のビルと比べる」
 これも間接比較です。この方法も実験します。しかし,ここでも結果にズレが生まれました。正確には比べられません。定規が移動する間にズレてしまったのです。

「ビルの長さを測る」
 長さと角は比例関係にはありません。子どもからは,「それじゃあ,大きいビルが大きいに決まっている」と声があがりました。ところが,「だったら,ビルの高さを小さいビルに揃えたらいい」とアイディアがあがります。この方法なら正しく比較できそうです。ところが実際に実験すると,どのビルもほぼ同じ数値になりました。この結果が正しいとすれば,3つのビルの傾きは同じということになります。しかし,どう見ても3つのビルの傾きは同じには見えません。この方法も正しくはないようです。
 しかし,この方法には前述の2つの方法と明確に異なるよさが含まれています。この方法のよさを子どもたちに尋ねます。
「数字にしていること」
「見えないことを数字にして,見えるようにしている」
「長さと同じだ」
「重さと同じだ」
 長さは数字で表現します。見えない角の大きさを数値化することで,比較しやすくなると考えたのです。この点で,非常に優れた視点になります。数値化するというアイディアのよさ,すばらしさを価値付けました。

 分度器を使った角の大きさ自体は教えることです。しかし,角の大きさを数値に置き換えるよさを子どもたちに実感させてから,角度や分度器に出合わせることが,この学習では最も大切なことではないでしょうか。
 角の大きさを数値化する必要感を引き出した授業でした。


2018年4月3日火曜日

小学校 新学習指導要領 算数の授業づくり


新学習指導要領算数解説書の趣旨を授業レベルで具体化した拙著『小学校 新学習指導要領 算数の授業づくり』(明治図書)が発刊しました。多くの先生方から好評をいただています。お買い求めの先生方,ありがとうございます。

 本書は,難解とも言われる学習指導要領算数解説書の趣旨を,分かりやすく授業の具体的事例をもとに述べたものです。若い先生からベテランの先生までお役に立てる本をめざして作成しました。
 目次は次のようになります。

まえがき
第1章 学習指導要領のキーワードに振り回されないために
1 キーワードに振り回されてきた学校現場
2 新しい学習指導要領のキーワード
3 キーワードの具現は形式的な指導では進まない
第2章 「資質・能力」と授業づくり
1 「資質・能力」とは
2 生きて働く「知識及び技能」とは
3 生きて働く「知識及び技能」を習得させる授業
4 「思考力,判断力,表現力等」における「見通し」
5 「思考力,判断力,表現力等」における「統合的・発展的」
6 「学びに向かう力,人間性等」の具体的な様相
第3章 「主体的な学び」と授業づくり
1 ふわっとした「主体的・対話的で深い学び」
2 本当の意味での「主体的な学び」
3 子どもの問いが「めあて」に
4 形式的な指導は「対話的な学び」「深い学び」につながらない
5 「主体的な学び」を引き出すしかけ
6 しかけのポイントはズレ
7 導入が授業の8割を決める
第4章 「対話的な学び」と授業づくり
1 形式的な対話では子どもは動かない
2 道徳授業に見る「対話的な学び」のしかけ
3 問いをもち解決方法が見えると話したくなる
4 新しいことや共通点が見えると話したくなる
5 別の場面が見えると話したくなる
6 既習との関連が見えると話したくなる
7 「対話的な学び」に必要な教師のアンテナ
第5章 「深い学び」と授業づくり
1 発展問題ができれば「深い学び」?
2 「主体的な学び」「対話的な学び」が「深い学び」を左右する
3 子どもが問題場面を創造する
4 「深い学び」に導く偶然性の指摘
5 深く学ぶと,見えないものが見えてくる
6 子どもに任せることで,学びは深まる
第6章 「数学的な見方・考え方」と授業づくり
1 「数学的な見方・考え方」とは
2 帰納的な考え方
3 類推的な考え方
4 演繹的な考え方
5 単位の考え
6 そろえる
7 観点を決めて分ける
8 同じものを見つける
9 絞り込む
10 置き換える
11 拡げる
12 形式指導に陥ってはいけない「~に着目して」
第7章 「数学的活動」と授業づくり
1 「算数的活動」から「数学的活動」へ
2 活動は目的ではない
3 その「数学的活動」に問いはあるか
第8章 新領域「データの活用」と授業づくり
1 「データの活用」とは
2 データを分類整理したくなるしかけ
3 データを批判的に考察したくなるしかけ
第9章 「考えを表現し伝え合う活動」と授業づくり
1 積極的な導入が求められる「考えを表現し伝え合う学習活動」
2 ただ表現すれば,「思考力,判断力,表現力等」は高まる?
3 「まとめ」に取り組ませる目的
4 説明活動とノート記述をリンクする
5 記述による表現のポイント
6 タイミングとタイムラグ
あとがき

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