2018年7月29日日曜日

第2回算数教科書活用セミナー


第1回算数教科書活用セミナーが終わりました。多くの先生方は,教科書を使って算数授業を行うことが多いのではないでしょうか。その際に困っていることが,様々にあることが分かりました。Q&Aコーナーでは,多くの先生方の切実な思いに触れることができました。

第2回算数教科書活用セミナーでは,先生方のご質問により多く答えられるように,時間設定を工夫していきたいと考えています。

第2回に日時等は次の通りです。
 日時 9月1日(土) 13時~
 会場 兵庫県尼崎市 尼崎文化総合センター(阪神尼崎駅から徒歩5分)

詳細は,以下の案内をご覧ください。


『算数教科書活用セミナー』・第2回 尼崎大会

◆算数授業に欠かせないアイテム、「教科書」。先生方はどのように使われていますか。教科書そのままの授業は盛り上がらないという声をよく聞きます。とはいえ、オリジナル教材を考える時間もない…。◆そんな先生方のために、「教科書を活用して盛り上がる」さらに、「教科の本質的な学びも深まる」、そんな算数授業のつくり方講座を開催します。◆教科書をどう見せるか。見せ方を変えるだけでも授業は大いに盛り上がります。そんなアイディアを、具体的授業例を通して紹介する講座です。

【プログラム】
13:00 受付開始

13:30~14:15
●講座『教材研究のコツを伝授 ~ 教科書を読みとくワザ ~ 』(45分)
 尾﨑正彦(関西大学初等部)

14:30~16:00
●教科書を活用した算数授業(模擬授業.30分×2本)
 ①「割合」(5年生) 小林秀訓 (広島大学附属東雲小)
 ②「かけ算」(2年生) 直海知子 (公立小学校)
  ※ 小グループで学びのシェア。
  ※ 尾﨑正彦先生のコメント。

16:15~17:30
●算数授業づくりQ&A・閉会

【会場】『尼崎市文化総合センター』(第2会議室)
・兵庫県尼崎市昭和通2丁目7-16
・阪神「尼崎駅」から徒歩5分

【参加費】2000円

申込は,以下のアドレス(コクチーズ)からお願いします。

http://kokucheese.com/event/index/529826/

2018年7月26日木曜日

ソリッソ&ワカヤマスで公開授業


11月17日(土),和歌山大学附属小学校を会場に開催される「第7回ワカヤマス公開授業研究会」に授業者&講演者として登壇します。ワカヤマスは昨年に続いての登壇になります。和歌山の熱き志をもった小谷先生をはじめとする先生方と,熱い算数授業を展開していきます。

私の算数授業は4年生,講演は「主体的・対話的で深い学びのある算数授業」の創り方を演習形式で行います。

日程や会の趣旨は,以下をご覧ください。

学習指導要領が改訂され,そのキーワードとして登場した「主体的,対話的で深い学び」。私たちはこのキーワードを授業で具現化していく必要があります。しかし,これまでも,子どもが主体的になるような授業,対話を大切にした授業,そして深まりのある授業づくりに取り組んできたはずです。となると,これまでの授業づくりをそのまま続ければいいのでしょうか?

 今回のソリッソワカヤマスでは,「主体的,対話的で深い学びのある算数授業」をテーマとし,開催いたします。午前はメンバーによる授業とワークショップ,午後からは尾﨑正彦先生(関西大学初等部)をお迎えして,尾﨑先生に授業と講演をしていただきます。

 ともに,子どもが主体的に対話しながら学びを深めていく姿を創造しましょう。


今年のソリッソ×ワカヤマスには尾﨑正彦先生をお迎えします!
大会テーマ「主体的,対話的で深い学びのある算数授業」
9:00~9:30 受付
9:30~10:15 公開授業Ⅰ 4年 授業者 向井大嗣(田辺市立芳養小学校)
10:20~11:50 協議会
11:00~11:50 ワークショップ
11:50~13:20 昼休憩
13:30~14:15 公開授業Ⅱ 4年 授業者 尾﨑正彦先生(関西大学初等部)
14:30~15:30 講演「主体的,対話的で深い学びのある算数授業の作り方」
        講師 尾﨑正彦先生

申し込みは以下のアドレス(コクチーズ)からお願いします。和歌山でお会いしましょう!


2018年7月14日土曜日

教科書の向こう側に見えるもの

3年生の「時刻と時間」の単元です。この日は,いろいろ策を考えたものの,よい案が浮かばず,教科書通りの展開で授業を始めました。提示したのは,次の問題です。

「午前7時50分に家を出ます。20分で学校に着きました。学校に着いた時刻を求めましょう」

多くの子どもたちは,7時50分+20分=8時70分,70分=60分+10分=1時間+10分だから,午前8時10分と考えました。同じ位同士を整数のたし算と同じようにたしたのです。この方法は,子どもたちも納得です。教科書にもある解決方法です。

ここで,K子が「別の方法があります」と手をあげます。K子は次の式を発表しました。

「7時50分に10分をたして,8時にします。そして,8時+20分=8時20分にします。さっき10分をたしたから,10分を引いて午前8時10分とします」

これを聞いた子どもからは,「なんでそんなことするの」「めんどうだよ」「8時にしたら,お話が変わっちゃうよ」と声があがります。そのまま計算することで納得していた子どもたちには,K子の考え方は面倒と感じられたのです。

ところがここで,Y子が「K子さんの気持ちが分かります」と声をあげます。

「これは前の勉強と同じです」

聞いていた子どもたちは,首を捻っています。私も,この段階ではY子の思いがまだ見えませんでした。Y子が続けます。

「これは暗算と同じです」

この説明に「あー」という声があがります。私も,この説明でY子の言いたいことが見えました。しかし,まだ多くの子どもたちには,Y子の気持ちは理解できていません。Y子が続けます。

「もし,39+41という計算があったとします。この39に1をたして40にしましたね。40+41で81。さっき1をたしたから81-1で80でしょ。これと同じです」

Y子の話を聞いていた子どもたちも,納得です。Y子は暗算で学習した工夫して計算する考え方が時間の計算にも共通していることに気づいたのです。そのことを,39+41という具体例を自ら取り上げることで説明したのです。すばらしい考え方です。

Y子の考え方は教科書にはありません。しかし,数学的に優れた考え方です。教科書通りの授業でも,このような見方・考え方は子どもから生まれてくるのです。その瞬間を見逃さず,その考え方を教師が取り上げクラス全体に共有化することが大切です。もちろん,その考え方を価値づけることも大切です。

子どもが教科書を大きく乗り越えていった1時間だったと言えます。

2018年7月12日木曜日

子どもの発想に寄り添う

京都の小学校で授業を行いました。4年生の子どもたちです。次のように投げかけました。

個の点をつなぎます。三角形はいくつできますか」

まずは,4個の場合で問題のイメージ化を図ります。正方形状に点を4個かくと,三角形は2個できます。線と線は交わらないというルールをここで確認します。

授業前は,この後,点が8個の場合を考える展開を予定していました。ところが,子どもから「中に点が入ったら3個できるかも...」と声があがります。素敵な声です。この授業のねらいは,点の位置により,できる三角形の個数が変わることです。予定では,点が8個の場合を実験することで,このきまりに気づかせようと考えていました。ところが,点が4個の段階で,それに気づいた声があがってきたのです。そこで,予定変更。子どもの声に寄り添って展開を修正します。

「本当に中に点が入ったら,三角形は3個できるのかな? 実験しよう」

このように,子どもたちに投げかけます。子どもたちは,ノートに実験していきます。やがて,「できた」という声が聞こえてきます。子どもたちの予想通りの結果になりました。
点が中に入ると,三角形が3個できることが見えてきました。

三角形が3個できることを見つけた子どもたちに,次のように投げかけます。
「点の数が変わっても,中に点が入るとできる三角形の数は増えるのかな?」
増えると予想する子どもが多くを占めますが,そうではないという子どももいました。子どもの考えにズレが生まれたのです。
そこで,点が5個の場合を実験します。子どもたちは,ノートに図を描いていきます。
「4個ができた」
「3個ができた」
という声が聞こえてきます。点が中に入ると,三角形が増えることは間違いなさそうです。
しばらくすると,今度は「5個もできた」という声が聞こえてきます。3個や4個の作図ができたことで満足していた子どもたちは,本当?という驚きの表情をしています。子どもたちの実験が,再び始まります。

やがて,点を中に2個入れると三角形が5個作図できることが見えてきます。5個の三角形ができた子どもたちは,大喜びです。とても素敵な表情が,授業終末には教室に溢れました。

教師の想定を超える発想が,授業冒頭で生まれた授業でした。指導案の展開とは全く異なりましたが,本時で発見させたいきまりを子どもたちは見つけていくことができました。子どもの素敵な発想に耳を傾け,それに寄り添った展開を進めることで,子どもの笑顔が溢れる授業が創れた1時間となりました。

2018年7月10日火曜日

ゲームで小数の計算を創る

4年生の「小数のたし算と引き算」の学習です。

体積の学習で使う1㎤のブロックを用意します。色は2種類用意します。私は黄色と赤を用意しました。それぞれ30個程度のブロックを袋の中に入れます。これで,準備完了です。

子どもたちには,次のように投げかけます。
「赤白対抗でブロックゲットゲームをしよう」
赤白の代表を2人ずつ決めます。彼らが,袋に手を入れてブロックをつかみます。ただし,使っていいのは親指・人差し指・中指の3本だけとしました。これだと,適量がつかみ出されます。

代表の子どもがブロックをつかみます。赤チームの1人目が,赤色12個,黄色7個を取り出します。赤ブロックは1個0.1点です。黄ブロックは1個0.001点です。従って,1人目の得点は,1.207点となります。

0.1が12個で1.2になること,0.001が7個で0.007になることを,じっくりと時間をかけて共有していきます。基準となる小数のいくつ分という見方を育てていくことが,この時間の大切なポイントの一つです。

次に赤チームの2人目がブロックをつかみます。赤色15個,黄色12個をつかみます。従って,この得点は,1.512点となります。

0.001が12個で0.012になることは,新しい学びです。どの位の数字も10個集まると1つ上の位に繰り上がります。この考え方をもとに,0.001が12個で0.012になることを共有していきます。

この2人の得点を合計します。これが赤組の得点となります。この場合は,1.207+1.512=2.719点となります。

続いて白組です。1人目が1.518点,2人目が1.715点でした。2人の得点を合計します。計算をしている子どもからは,「今度は繰り上がりがある」「2回も繰り上がりがある」「赤組は繰り上がりがなかったのに」と声があがります。赤白の計算に違いがあることに,子どもたちは気づきました。

この後も,同様にしてゲームを続けます。何回ゲームをしても,赤組は繰り上がりのない組み合わせ,白組は繰り上がりのある組み合わせのみが生まれました。偶然の結果ですが,不思議な1時間となりました。

このゲームはひき算に置き換えることもできます。また,ブロックの1個分の数を別の数値に置き換えることで,計算の種類が増えてきます。広がりのあるゲームです。

2018年7月4日水曜日

小数の世界を拡張する

4年生「小数」の学習の導入場面です。子どもたちに,次のように投げかけます。

「てん〇てんゲームをしよう」

子ども1人にブロックを25個ずつ配ります。隣同士でじゃんけんをします。グーで勝つとブロックを1個相手からもらえます。チョキなら2個,パーなら3個もらえます。

ルール確認後,1回戦のゲームスタートです。どのペアも,大盛り上がりです。やがて,手持ちのブロックがすべてなくなってしまう子どもも出てきます。

ゲームを止めて,ブロックの数を確認します。最少は0個でした。2個,3個,7個の子どももいます。しかし,このゲームは個数で競うのではありません。得点で競うのです。「てん〇てん」とは,「10個で〇点」という意味です。1回戦は,「10個で1点」であることを伝えます。
ブロックが2個の得点は,0.2点です。ここで,0.2点でよい理由を尋ねます。

「1点の1/10は,0.1点でしょ。0.1点が2個だから0.2点になる」
「10個の1/10が1個,1点の1/10が0.1点。どちらも1/10だね」

3年生で学習した小数第一位までの小数の見方が生まれてきました。子どもたちは,自分のブロックの個数を,小数で表します。

続いて2回戦を行います。同じように子どもたちは大盛り上がりです。
ゲーム終了後,ブロックの数を調べます。2回戦の「てん〇てん」は,「10個で0.1点」であることを伝えます。

2個のブロックを獲得した子どもの得点を尋ねます。多くの子どもからは,「れいてんれいに点」と声があがります。しかし,その意味が理解できない子どももいます。まだ未習の数の範囲です。理解できないのは当然です。

そこで,子どもたちに次のように投げかけます。
「ブロックが2個だと,れいてんレイニーと言っているけど,それってどういうこと? 雨が降っているの?」
子どもたちが,説明をしてきます。
「10個で0.1点でしょ。1個だと位が下がるんだよ」
「整数だと10個集まると位が1個左に増えたでしょ。今は小数だから,反対に位が1個右に行く」
「だから,0.の右に0が1個増えて,0.02となるんだよ」

子どもたちは,整数の位取りの見方・考え方を,小数にも当てはめて考えたのです。同じように考えれば,10個集まる毎に右に位が増えていくことも納得です。

その後,ブロックが3個だと0.03点,8個だと0.08点になることを確認します。さらに,12個だと0.12の表記になることも納得です。しかし,この数字の読み方は「れいてんいちに」なのか「れいてんじゅうに」なのか,子どもたちに尋ねます。
子どもたちは,次のように説明してきます。
「もし,3.141597・・・・・78と1億個数字が続くとすると,小数第一位の1は1億と読む。小数点の右に数字がいくつ続くかで,読み方が変わるとおかしい」
「小数点の右に2個数字が続いたら十,3個続いたら百と読んだらめんどう」
「だから,いつも同じれいてんれいれいにと読まないとだめなんだ」

小数の範囲を拡張していくことで,小数の正しい読み方を子どもたちが見つけていくことができました。

10個のブロックの点数を変えることで,小数第3位や第4位へと小数の場面を拡張していくことができます。ゲームを通して,小数の範囲を拡張したり,位取りの意味を確認したりできた1時間でした。


2018年7月2日月曜日

算数教科書活用セミナーのご案内

算数授業に欠かせないアイテムは,教科書です。この教科書を先生方はどのように使われているでしょうか。教科書そのままで授業を行っても,授業が盛り上がらないという声をよく聞きます。かと言って,まったくオリジナルな教材を考える時間もないし・・・という悩みもありますよね。

そんな先生方のために,教科書を活用した盛り上がる算数授業の創り方講座を開催します。教科書をどう見せるのか,見せ方を変えるだけでも子どもは盛り上がります。そんなアイディアを,具体的授業例を通して紹介する講座です。

日時 7月28日(土)午後2時~

会場 大阪府吹田市『dios北千里 』(パフォーマンスホール)

是非,ご参加ください。詳細は以下の通りです。

『算数教科書活用セミナー』・第1回

◆「たのしい算数授業をいかにつくるか」。尽きない悩みです。◆算数教科書の使い方について、フレッシュ先生の悩み、ベテラン先生の悩みを解決する研究会が発足しました。◆「算数教科書はこう使えば子供たちの学力がつきます」。そんな提案に満ちた半日講座。「算数授業が大好き!」。そんな子供が増えることをめざして、ご一緒に学びましょう。

【プログラム】
●12:30 受付開始

●13:00~14:00
講座『教科書を活用した算数授業づくり』(45分)
尾﨑正彦先生(関西大学初等部)

●14:00~15:30
教科書を活用した算数授業(模擬授業.30分×2本)
 ①上学年・松岡克典先生(近畿大学附属小)
 ②下学年・樋口万太郎先生(京都教育大学附属桃山小)
  ※ 小グループで学びのシェアリング。
  ※ 尾﨑正彦先生のコメント。

●15:45~16:30
 『9月単元攻略法』
(全6学年!学年グループごとの教材研究会)
教科書をもとに算数科の本質を読み解きましょう。そして単元づくり・授業づくりのポイントを小グループで、深くじっくり語らいましょう!

●16:30~17:00
算数授業づくりQ&A

【会場】『dios北千里 』(パフォーマンスホール)
・大阪府吹田市古江台4-119
・阪急千里線「北千里駅」から徒歩3分

【参加費】2000円

申込は以下のアドレスからお願いします。

https://kokucheese.com/event/index/526635/

2018年7月1日日曜日

第3回MathLabo算数講座-教材づくり― 開催

7月に入りました。もうすぐ夏休みですね。夏休みの最終日曜日の8月26日(日)に第3回Math Labo算数講座を,京都テルサで開催します。

今回のテーマは,「教材づくり〜子どもの問いを作り出すコツ〜」です。多くの先生方から,「どうやったら,子どもたちが喜ぶ授業が創れますか」「算数が愉しいと子どもたちが言ってくれる教材は,どうすれば作れますか」という質問を多く受けます。
そこで,今回は教材作りのポイントを,実際に私が教室で実践した授業を先生方に体験していただきながら紹介していきます。

当日のタイムスケジュールは次の通りです。

教材づくり〜子どもの問いを作り出すコツ〜

タイムスケジュール
1300~1320 受付
1320~  オープニングトーク
1325~1350 Math Labo!メンバー授業ビデオ
1355~1415 グループに分かれて授業について検討
1415~1440 協議会 (尾崎先生、樋口を交えて協議していきます。)
1445~1515 講座① 樋口万太郎(京都教育大学附属桃山小学校)
1520~1620 講座② 「算数の授業づくり はじめの一歩」
              尾崎正彦(関西大学初等部)
1625~1640 質問コーナー

申込は,以下のアドレスからお願いします。夏休み最終日,2学期に子どもの笑顔をためによい学びを時間を過ごしましょう!

https://www.kokuchpro.com/event/26cb0a896eec4dcdf3866b066aba315b/