「1分間で4/5Lのジュースを作るマシンがあります。3分では何Lのジュースができますか」
子どもたちに尋ねます。式が4/5×3になることは,すぐに分かります。しかし,この計算は未習です。
すると次の声があがってきます。
「分子だけ計算したらいい」
「4×3で12」
「だから12/5」
ところが,納得できない表情の子どもがいます。分子だけかけ算をして,分母はかけ算を行わないからです。また,この答えがそもそも正しいのかも分かりません。
すると,子どもたちが説明を始めます。
「5年の分数で,4/5+5/5の時は9/10とはしなかった。分母はたさなかった」
「図でも説明できる。ピザを5つに分けた4つ分と5つに分けた5つ分をたすと,9つ分」
「9/10だとすると,ピザの中が10等分されることになって,ピザの分け方の大きさが変わるからおかしくなる」
「ジュースも同じ。コップの絵でみたら,1/5が12個で12/5になる」
分子はかけても分母はかけない理由を,5年生の分数のたしざんや図を使うことで,子どもたちは説明を進めてきました。
また,4/5+4/5+4/5=12/5というたしざんでも12/5Lになることを証明することができました。ところがこの方法に対しては,次の声があがります。
「何分の数が大きくなったら大変だ」
「切手の問題も,列が大きくなったら計算が大変になったのと似ている」
分子だけを計算する有効性が見えてきました。すると,どんな数でもこの方法が有効に見えてきます。ところが,「でも3回やっていないから分からないよ」と,早急な一般化に警鐘を鳴らす声が聞こえてきました。
本時は30分ほどの授業時間のため,1問だけで終わってしまいましたが,よい見方が生まれてきました。