2025年6月26日木曜日

倍分から逆

前回の学習では,分数のわり算は倍分を使えば,どんな計算もできそうだということが見えてきました。しかし,まだ実験数が不十分です。そこで,3/4÷2/5になる問題場面で実験を行います。

分母分子をそれぞれ10倍の倍分することで,2/5で割り切ることができます。答えは15/8Lと計算はできます。しかし,その真偽は図で確認を行わないと分かりません。そこで,図で確認します。結果は,図の中に15/8があることは見えました。この答えを導くために,小さな長方形の数を計算で求めました。分母は4×2,分子は3×5で求められます。

すると子どもたちが,「逆数が見える」と気づきます。分母分子の総数を求めるかけ算のかける数の部分に÷2/5の逆数である×5/2が見えるというのです。また,この図が÷2/5に見えると同時に,かけ算の図のように×5/2の図にも見えるという気付きも生まれてきました。

すると今度は,「式の中にも逆数が見える」と声があがります。倍分を行った分子の計算は,3×10÷2でした。式後半の10÷2を先に計算すると3×5になります。分母の4×10÷5の後半10÷5を先に計算すると4×2になります。するとこの式の部分にも逆数のかけ算が見えてきます。

分数同士のわり算を倍分を使って計算を進める中から,逆数をかける意味や形式を見つけていくとができました。



2025年6月25日水曜日

今やったやり方について・・・

次の問題を提示します。
「1/2分で4/6Lのジュースを作るマシンがあります。1分では何Lのジュースができますか」
式は4ます関係表から見えてきます。4/6÷1/2です。しかし、この計算は未習です。そこで生まれてきたのが、「分数のかけ算みたいにするといい」という声です。
この声の意味を読解します。
「分数のかけ算は、分母と分子をかけたから、今度は分母は分母、分子は分子でわる」
「できるかなあ・・・」

先行学習をしている子どもは「逆数」を使う意識しかありません。このような考えの登場に戸惑っているのです。

これは分数のかけ算から類推した考え方です。子どもらしい素直な考えです。これで計算を行うと、答えは出ます。しかし、この答えが正しいか否かは分かりません。そこで、図で確かめます。

図でも答えが4/3になることが見えてきました。この結果から、分数同士の割り算もかけ算と同じように計算ができそうです。

ところがここで,「でも」という声が聞こえてきます。
「今はいいけど、割れなかったどうするの?」
「例えば、10/6÷3/5だったら割れないよ」

割り切れない数値の場合は、この方法の限界が来るという考えです。具体的な数値も提案されました。

すると、「あまりを出したらいいんじゃない?」と声が上がります。

「3あまり1/1あまり1」
「えー,そんな分数はないよ」
「倍分したらいいよ。№21の勉強でもやったよ」

倍分を使う計算は,分数÷整数で経験しています。この既習がここで想起されてきました。
そこで,倍分を使って10/6÷3/5を計算します。10/6の分母・分子を15倍することで,3/5で割れるように式が変身します。

この結果,倍分でも答えが求められそうだということが見えてきました。ところが,「まだ1回しかやってないから,3回やらないと分からない」と声があがります。早急な一般化に警鐘を鳴らす声です。
そこで,3/5÷2/4で実験を行います。このままでは,分母も分子も割れません。
「4倍で倍分したらいいよ」
「なんで4倍?」
「2/4の最小公倍数だからだらよ」

わる数の最小公倍数で倍分すればいいという声です。しかし,本当に最小公倍数でいいのか疑問を抱く子どももいます。
そこで,「最小公倍数はたまたまでしょ?」と投げかけます。
すると,ある女の子の視線が,別の問題を見ていました。彼女を指名します。

「たまたまじゃないよ。さっきの問題も最小公倍数だったよ」

彼女は1つ前の問題を倍分するときにも,わる数を最小公倍数をかけていたことに気付いたのです。このように複数の情報の共通点を見出せることも大切ですね。

さて,最小公倍数で倍分すると,この問題も計算ができました。ここで時間となりましが,ここまでの結果から「最小公倍数で倍分したら,どんな分数も計算できそうだ」ということが見えてきました。しかし,「大きい数になると,最小公倍数も面倒くさそう」という声も生まれてきました。ここは明日の課題となります。


 

2025年6月24日火曜日

京都の小学校を訪問

 今日は京都府南丹市の小学校を訪問しました。全校6学級の小さなが学校です。

全クラスの算数授業を参観しました。どの教室からも,子ども達の素直な声が聞こえてきました。今回の授業訪問では,指導力の向上が著しい若手の先生がいらっしゃいました。これまでの私の訪問での指導や日ごろの勉強の成果が,着実に現れていますね。

やはり教師も常にアップデートが必要ですね。「常にアップデートが必要」あるすごい先生が使われていた言葉です。これはまたどこかの講座で紹介しますね。

2025年6月23日月曜日

分数をかける

 次の問題を提示します。

「あかりさんは180ページの本を4日間で読みました。1日目は全体の2/5,2日目は残りの1/3を読み,3日目はその時に残っていたページの5/8を読みました。」

アイテムに掲載されている問題です。先ずは「2日目には何ページ読みましたか」と尋ねます。

半数の子どもは,次の式を書きました。

180×2/5×1/3

この気持ちを読解します。

「1日目に2/5読んで,2日目に1/3を読んだからかけ算した」

この式を書いた子どもは納得しています。ところが,「それは違う」と声があがります。

「2日目は残りの1/3を読んだと問題にあるから,1日目の残りのページから考える」

「その残りの1/3になる」

「2日目は基準が違うようになるんだよ」

計算を簡単にしようとして,多くの子どもは一気に「×2/5×1/3」をしたようです。しかし,それでは問題場面に合いません。基準が2日目は異なるからです。その指摘が子どもから生まれてきました。

後半は,「分数÷分数」につながる作図をする問題に取り組みました。0.5分で1/3Lの水が入る図を描きます。その後,「1分では何L入るか図を描こう」と投げかけます。

半数の子どもが,板書のパーの図を描きました。答えは2/3Lなのでこれでよさそうです。ところが,「それは違う」と声があがります。

「この図だと,0.5分で2/3Lの水という話になる」

「話は1分で2/3Lだから図が違う」

分数の面積図はかなりハードルが高い場面です。少しずつ,その見方を育てています。



2025年6月18日水曜日

全国算数授業研究会今年も開催!

全国算数授業研究大会が今年も8月4日(月)~5日(火)に,筑波大附属小学校を会場に開催されます。お申し込みは,以下からどうぞ。詳細は以下の案内をご覧ください。

https://www.kokuchpro.com/event/b1dca1a9e364ad8dc46c1cdee4e5c339/







2025年6月17日火曜日

体積もできるかな?

「辺の長さが分数でも立体の体積は求められるかな?」
直方体の辺の長さが分数になっても,体積は求められるか尋ねます。縦横高さが分数値の辺の長さを提示します。
多くの子どもたちは,3本の辺の長さを一気にかけ算をして計算しました。一方,最初の2つのかけ算を行った後で,その答えと3つ目をかけ算する子どももいました。その子は,「なるほど,そんなやり方もあるのか」と感心していました。

その後は,「仮分数でもできるよ」の声を受けて,分数の範囲を拡張して計算を進めていきました。


 

2025年6月16日月曜日

大きいのはどっち?

「大きい方が勝ちゲームをしよう」
このように子どもに投げかけます。「3/7×□」の□に入る数字を,赤いカードを裏返して決めていく2チーム対抗ゲームです。

最初は,かけられる数の3/7が固定されています。従って,赤いカードが裏返されるたびに,「あー」「終わったー」などの声が聞こえてきました。
「終わったー」という声は,1よりも小さいカードが引かれた時に生まれてきました。一方,「あー」という喜びの声は,1よりも大きいカードが引かれた時に生まれてきました。

後半は,かけられる数もかける数も赤いカードから決めるという展開に変更しました。このルール変更で,一層わくわく感がアップしました。

赤いカードには小数値も混じっています。子どもたちは,それを分数に置き換えることで計算していました。ところが,計算結果の両者の分母が異なった場合は,通分ではなく再度小数に置き換えていました。状況に応じて数値を使い分けることも大切な見方・考え方ですね。