2017年2月15日水曜日
比例の見方を引き出す
2017年2月13日月曜日
算数授業作り講座IN西宮 増員しました
4月のスタートは,1年間のクラス作りの点でも,子どもたちの思考力を育てていく点でも重要です。何を,どのように提示し,価値づければ,子どもたちはアクティブに動き出すのでしょうか。私の他にも3名の現場の先生方を講師として,みなさんといっしょに考えていく1日にしたいと考えています。
詳細・申し込みは,以下のアドレスからお願いいたします。春の西宮でお会いできることを楽しみにしています。
【日 程】2017年4月15日(土) 10:30~17:00
【会 場】西宮市立教育会館(兵庫)
【参加費】3000円 (学生さん、春から教壇に立つフレッシュ先生は1000円)
【講 師】
尾崎正彦(関西大学初等部)
直海知子先生(大阪府公立小学校)
松井恵子先生(兵庫県公立小学校)
榎並雅之先生(姫路大学)special guest
http://kokucheese.com/event/
かけ算とわり算をつなげる
「□分で6/8Lジュースを作るマシンがあります。1分では何Lのジュースを作ることができますか」という問題を提示しました。この問題に出会った子どもたちから,「逆だ」「わり算だ」と声があがりました。前時までに子どもたちは,分数のかけ算の問題に取り組んでいました。その問題との違いに,問題文を分析することで感じたのです。これだけでも十分にすばらしい感覚です。
この「逆だ」の声を,クラス全体で共有していた時のことです。「もし□が1よりも大きかったら,答えは小さくなるし,1よりも小さかったら答えは大きくなる」という声があがってきました。□に入る数の大きさで商の大きさが異なることを指摘する声です。さらに,「もし□が0.1なら・・・」「もし□が2なら・・・」と具体的数値を代入して説明する声も生まれてきました。このような見積もりのできる子どもたちに姿にもびっくりしました。
その後,□に2/4を入れて問題を考えます。子どもからは,6/8÷2/4と2/4÷6/8の2つの式が生まれました。どちらの式が正しいのかを,今度は4ます関係表を使って子どもたちは,説明していきました。この姿にも,参観の先生方から驚きの声があがっていました。
4ます関係表を使って,6/8÷2/4の式であることがわかりました。この式を見た子どもから,「今までと同じでいいじゃん」「分子同士,分母同士でわればいいんじゃないの」と声があがります。分数のかけ算での計算の仕方を,分数のわり算にも当てはめることができるだろうと考えたのです。このような見方は,一般化につながる見方です。よい考え方が生まれました。
この考え方で計算すると,分子は6÷2,分母は8÷4となり,答えは3/4となります。この計算の確かめを,図で行います。図でも同じ答えになることが確認できました。しかし,子どもから「でもさあ,われない数だったらどうするの」と声があがります。一般化の限界を指摘する声です。例外を探そうとする見方が生まれることも素敵な考え方です。
子どもから生まれてきたのは,6/8÷2/3という式です。この場合,分子は6÷2=3とわりきれます。しかし,分母は8÷3=2.666・・・となりわりきれません。先ほどの方法では,確かにうまくいきません。
ここで生まれてきたのは,倍分の考え方です。「だったらわれるようにすればいい」「倍分すればいい」「分母と分子を3倍ずつして18/24なら2/3でわれるよ」と子どもたちの声が続きます。倍分の考え方は,分数÷整数で学習しました。その時の学びが,この場面とつながったのです。このような単元を超えた見方ができる点も,子どもたちの素晴らしい姿でした。
授業では,図で答えの確かめをしていた時に,「あっ,図から見える式が逆になっている」「6/8÷2/4が6/8×4/2になっている」という,次の時間につながる逆算の見方も生まれてきました。
既習の学習内容を使いこなす子どもたち,さらには新しいことを発見する子どもたち,様々な数学的見方が発揮された1時間となりました。
2017年2月7日火曜日
「だったら・・・」の向こう側ー分数のわり算ー
子どもたちと,分数÷分数の計算のやり方を考えていたときのことです。先日の公開研究会で公開した授業と同じ場面を,別の場所で行った一こまです。
最初に,6/8÷2/4の計算を考えました。子どもたちは,それまでに学習した分数×分数と同じ考え方で,分数÷分数も計算ができると考えました。分母同士・分子同士をわり算するのです。分数のかけ算の計算方法をわり算にも適用しようとする子どもらしいアイディアが生まれてきました。
この問題は,分子が6÷2=3,分母が8÷4=2なので3/2となります。この答えが正しいかどうかは,このままでは検証できません。そこで,図を描いて確認します。結果は,3/2となりました。この結果から考えると,分数÷分数の計算は,分母同士・分子同士をわり算すれば計算ができそうです。
ところが,答えの確かめを図で考えているときに「でも,われない計算だったらどうするの」と声があがってきました。「例えば,9/10÷2/3だとわれない」と具体例をあげて説明する声が生まれてきました。割り切れない具体例を挙げられる点が,すばらしい発想です。
さて,このままわり算すると,先のわり算は 4.5/3.333・・・ となります。この結果を見て,次の声があがってきました。
「だったら,四捨五入したらどうかな。約5/3と答えを書けばいいよ」
概数の考えと関連づけて考えたのです。とても子どもらしい発想です。概算を使えば,わりきれない中途半端さを解決することができます。私の予想を超えた反応でした。私も「そうか。おもしろいなあ。四捨五入すれば,割り切れない計算もできるね」と子どもたちに投げ返しました。「だったら」から見えてきた子どもらしい発想の背景を理解し共感することも大切です。
この発想,子どもたちから「それでは正確じゃないよ」「分数は正確に計算できるんだよ」と声があがってきて,正確に計算できる方法へと子どもたちの追究は向かっていきました。つまり,分母・分子を6倍ずつします。54/60なら2/3でわることができます。倍分を使った計算方法です。分数同士のわり算は,倍分を使えばどのような式でも計算ができるのです。これなら正確に答えを求めることができます。
「だったら」の向こう側にあるのは,目の前の課題を乗り越えようとする子どもらしい発想です。その発想のよさに共感し,価値づけることも大切です。
2017年2月1日水曜日
子どもの考えと教師の考えのズレ
ズレに出会うと,何とか教師の想定していた世界に強引に子どもたちを連れて行こうとすることもあります。しかし,多くの場合,その強引な展開はうまくいきません。そんなときは,少し展開を子どもに任せてみます。
先の考えに対して,次の指摘の声があがってきました。
かける数と積の大きさの関係からの指摘です。さらに,次の声もあがってきました。
「今の考え方だと,12/15×10/15の計算と12/15×10の計算が同じことになります。最初の式が違うのに,その後の式も答えも同じになるのはおかしい。だから12/15×10/15の計算の仕方は違うと思う」
分数のたし算のように考える方法の矛盾点を指摘する声です。この説明は分かりやすい説明でした。①の計算方法では,うまく計算ができないことが見えてきました。