2023年5月15日月曜日

誰がいる?

 「誰がいるでしょうか」

このように投げかけ,動物が並んだ絵を提示します。

「右から4番目」

全員が「かえる」と答えます。さらに,次の声が生まれてきます。

「『め』がついているから1匹だけだよ」

前回の学習を踏まえた素晴らしい声です。

2問目は「左から2匹」です。この問題は,答えにズレが生まれました。

「犬とコアラ」

「コアラ」

果たして正しい動物はどれでしょうか。

「左から2匹目ならコアラ」

「目だから1匹だけだ」

「でも,先生は左から2匹と言った。だから,犬とコアラ」

2匹のあとに「め」が付く場合と付かない場合の違いを,しっかりと認識することができています。ここが,本時のポイントでした。2つの言い方の違いは,しっかりと認識できていました。

その後も,同様に問題を出していきます。ところが,答えにズレが生まれました。こちらは正しく問題を聞き取れないことが問題でした。正しく聞き取ることは,1年生では難しいのですね。





2023年5月13日土曜日

何番目?

子どもたちに「どこにいるでしょう」となげかけ,蛇が一部だけ隠れた画像を提示します。一斉に子どもから,声があがります。
「左から3番目」
「右から5番目」
基準となる位置を意識した声が生まれてきました。

次に,パンダが2匹隠れた画像を提示します。今度は,次の声が聞こえてきました。
「左から1番目と2番目だ」
蛇の問題での説明をもとにした声です。この説明で,パンダの位置を正しく表現することができます。
一方,次の声も聞こえてきました。
「違うよ。『め』は1匹だけだよ」
この声を共有するのは,時間がかかりましたがていねいに進めます。
「1番目は,パンダ1匹。2番目もパンダ1匹」
「目」が付く説明では,1匹分のパンダしか示せないということです。
「だから,左から2番と言えばいい」
「左から2番」という説明は厳密には正しい表現ではありませんが,この気持ちもクラス全体で共有していきます。「左から2ますにパンダがいる」という意味です。これなら,一度に2匹分の説明ができます。


次の問題では,犬を3匹提示しました。今度は,先ほどの説明を生かした声があがってきました。
「右から3番」
これなら一気に説明ができます。直前の学びを生かせる子どもたちの姿に,びっくりです。

その後,コアラを提示します。これには「真ん中」と声があがります。「真ん中ってなに?」の私の問いかけに生まれてきたのが,次の声です。
「3個と3個の間」
左に3ます,右に3ます,その間にはさまれた場所が真ん中という説明です。数字を使ってわかりやすく説明ができました。


 

2023年5月9日火曜日

じゃんけんおはじきゲットゲーム

 「じゃんけんおはじきゲットゲームをしよう」

このように子どもたちに投げかけます。クラスを2チームに分けます。代表の子どもが,順にじゃんけんをします。パーで勝つと3個,チョキで勝つと2個,グーで勝つと1個のおはじきをゲットできるゲームです。

1組目の代表の子どもが,じゃんけんをします。月チームがパーで勝ちました。おはじき3個ゲットです。私は,勝った子どもが3個のおはじきをどのように並べるのかを見ていました。その子は,横に3個並べました。そこで,次のように尋ねます。

「横に並べた気持ちは分かる?」

子どもたちが答えます。

「わかりやすいから」

「縦もあるけど,横がわかりやすい」

「次も勝ったとき,その下に横に貼っていくとわかりやすい」

子どもの中から,2回目以降のじゃんけんの話題が出てきました。場面を拡張する見方が,1年生のこの段階でも生まれてきたことにびっくりでした。そこで,2回目以降のおはじきを貼る位置を,改めて子どもたちに尋ねます。

「何回勝ったかわかりやすい」

「なに(じゃんけん)で勝ったかわかる」

下に並べていくことのメリットを捉えているようでした。

その後,じゃんけんを続けます。子どもたちは,前述の話題の通り,勝つ度に下に下にとおはじきを分けて貼っていきました。

1回戦終了時点では,板書を見るだけで星チーム2勝,月チーム8勝ということが一目瞭然となりました。

この授業では,使えるおはじきがなくなった時点で,その数を「0」と教えることが目的の一つでしたが,子どもたちはそれを上回る数の並べ方についても発想を広げていくことができました。



2023年5月8日月曜日

数の列車

 子どもたちに次のように投げかけます。

「数の列車のはいくつですか」

数字が書かれた列車の車両が順に画面に提示されることを説明します。最初に提示したのは,列車の左端車両の「1」です。この提示だけで,子どもから様々な声が聞こえてきました。

「次は2だ。1,2,3,4だから」

「3かも。1個飛ばしで,1・3」

「だったら,4や5もあるよ」

「1」という1つの情報だけで,子どもは実に様々な可能性のある数字を説明してきました。これまでの数字の学習の土台を確実に生かした発想です。

しかし,「1」だけでは次の数字の情報は確定できません。するとここで,次の声が聞こえてきました。

「次の列車も最後まで見ないと,どの数字か決められないよ」

1年生なりの言葉でしたが,数字の決定には情報が不足していることへの指摘です。そこで,次の車両を提示していきます。

2両目は「」です。これでは決められません。そこで,さらに車両を提示します。次は「3」です。これで多くの子どもたちは「やっぱり2だ」「1,2,3,4だ」と考えます。一方,別の数字をイメージする子どももいました。

「4。だって,1と3を合わせると4になる」

子どもの発想は柔軟ですね。左右の数字の和が真ん中に入ると考えたのです。この論理も納得できます。こうなると,さらに車両を提示しないと,空欄の数字は決られません。

4両目は「」,5両目は「5」,6両目は「6」です。これでほとんどの子どもたちは,「は2と4だ」と考えました。数字が順番に増えていくという論理をもとにした考えです。

一方,先ほどの左右の合計数の和が真ん中に入る考えも,この場合は成立します。「1④3⑧56」の並びだからです。この立場に立てば,6の右隣が1だとすれば,「5⑥1」となるので,左右合計の考え方も成立します。

この後も,様々な数の列車問題を提示します。一気にすべての車両を提示するのでなく,1両ずつ車両数字を提示することで,その先を自然に予測する声を引き出すことができました。その中で,子どもたちの発想の柔軟さにびっくりした時間となりました。

ただし,数字を決めた論理を語ることは,1年生にはかなり難しいですね。友だちが納得できる理由を論理的に説明することは,この段階ではかなりハードルが高いことも見えてきました。様々なアプローチで少しずつ説明力を高めることが大切ですね。




2023年5月3日水曜日

1年生と具体的事例

 前回のブログで,1~10の数字カードを使って大きい数ゲームを紹介しました。

数字カードの7が引かれたとき,「勝った」「だって,あと3個だから」という声が聞こえてきました。子どもたちが考える「3」について,その後,話題にしていきました。

「3ってなに?」(私)

「あと3こあるってこと」

「あと3の3ってなに?」(私)

「だから,1,2,3の3」

うーん,彼らは3そのものの意味を語り始めるのです。7以降の数字が3個あることの中身,すなわち具体例を尋ねているのです。ところが子どものこの瞬間の思考は,その話題から離れて,単なる数字の3の意味へと移っていることが分かります。数字の3そのものの意味と,7以降の数字が3個あることを区別して考えることにハードルがあることが見えてきました。1年生のこの段階での思考は,似て非なるものを明確に区別して考えることが難しいことが見えてきます。どの時期から,多くの子どもがこの区別を明確にできるのか,これから探りながら授業を進めていきたいと考えていきます。

毎日が発見の連続の1年生です。学習内容そのものは,高学年のそれと比較したら簡単です。しかし,その背後にある数学的な見方・考え方を培っていくことは,高学年のそれよりもかなり難しいと言えるのかもしれません。だからこそ,教師が1年生の数学的な見方・考え方の表出場面を細やかにキャッチして共有していくことや,それを引き出す意図的な働きかけを継続する必要があると言えます。

さて,前述の授業のその後です。子どもからは,次の声が生まれてきました。

「だから,8,9,10の3」

この子は指を折りながら7以降の数字が3個あることを主張しました。「8,9,10」と「3」を結び付けたのです。この姿を,全員に見せました。3の意味を拡張した瞬間とも言えます。

1年生の数学的な見方・考え方は,少しずつ成長していきます。

2023年5月2日火曜日

大きい方が勝ちゲーム!

 「大きい方が勝ちゲームをしよう」

子どもたちに投げかけます。教室を2チームに分けます。代表の子どもが1人ずつ順に出てきて,裏に数字が書かれたカードを1枚ずつ引きます。カードに書かれた数字の大きい方が勝ちというゲームです。数字カードに書かれた数字は,1〜10です。それぞれ1枚ずつしかありません。

代表の子どもたちが,カードを引いていきます。数字が現れる度に,子どもから様々なつぶやきの声が聞こえてきます。

最初に7が引かれたときには,次の声が聞こえてきました。

「いい数字」

「7は大きい数字」

そこで,「大きい数字ってどういうこと?」と尋ねます。

「あとちょっとで10」

「あと3ということ」

「1,2,3あるってこと」

「あと3」の具体例を説明することが,1年生にはハードルが高いようです。すぐにはその具体例が生まれてきません。

「8,9,10があるってこと」

この説明が生まれるまで,少し時間がかかりました。

この他にも,5が引かれたときには「いい数字」「10の半分」,9と8が引かれたときには「1ちがい」などの声が聞こえてきました。

単にゲームを楽しむのではなく,そのゲーム中の生まれてくる声をキャッチし,共有していくことで数の感覚を培う時間となりました。


2023年5月1日月曜日

10はあるかな?

 本実践は,板書シリーズ1年上(東洋館出版社)の教材を活用したのものです。

「子どもたちに10はあるかな」と尋ね,右の25ますの数表を提示します。

子どもからは「10はない」と声があがります。10そのものは,表にはありません。しかし,すぐに「9と1で10ができるよ」と声があがります。複数の数字を組み合わせることで,10ができるという気付きです。この視点に立てば,もっとたくさんの10を作ることができそうです。

4つの事例を全体で共有した後は,右と同じ表を配布し各自で10を探します。

その後,別の表でも10探しを行います。2つの数の組み合わせだけでなく,3つや4つの数の組み合わせで10を見つける子どももいました。

その後,「みんなも自分で問題を作ることができるかな?」と投げかけます。ノートに,25ますの数表を自作させることにしました。子どもたちは,ランダムに1〜9の数字をますに記入していきました。

その後,自分の問題を自分で解いていきました。すぐに10を見つけられる子どももいれば,なかなか10が見つけられずに苦労をしている子どももいました。偶然かもしれませんが,右下に5が集まり,簡単に10を作れる子どももいました。

問題の自作は板書シリーズにはない展開です。1年生の子どもでも,自作できますねえ。