2023年12月8日金曜日

ぴたっとはまあまあ多いの?

前回の学習で,子どもの中から「ぴったとくっつく形は,まあまあ少ない」という声があがってきました。つまり接着する辺に隙間ができないつなげ方でできる種類数は,少ないという声です。

本時は,この声を確かめることにしました。三角2枚の場合を考える中から,次の声が生まれてきました。

「三角が3枚だと,2枚よりも増えるよ」

「12月5日の折り紙の勉強でも、似ているのをやったよ」

「ぴたっとじゃないのはたくさんあった。ぴたっとは,それよりも少ないから,10の半分くらいで7かな」

多くの子どもたちは,三角を2枚つなげるぴたっとシリーズは10個前後できると考えました。そこで,各自で三角タイルを使って実験します。

結果は3個でした。この結果を受けて,次の声が続きます。

「3枚なら,4個できる」

「本当に4個?」

「1個ずつ増えてるよ」

「2枚で3個だから1個増えた。3枚も1個増えて4個になる」

「縦に見ても1個増える。3個から4個に1個増える」

「三角の枚数も2枚から3枚に1個増える」

「外側が+1でぐるぐる回ってる」

2枚の場合の1つの事例の中に,きまりを見つけていきました。そのきまりを,三角が3枚の場面にも当てはめていったのです。多くの子どもは,この予想に自信をもっていました。一方,何人かは半信半疑です。

そこで,3枚の三角で実験を行います。結果は,子どもたちの予想通りの4つになりました。

すると,「だったら,4枚なら5個できる」と類推的に考える声が生まれてきました。この予想の根拠は,前回と同じでした。今回はほとんどの子どもたちが,この予想に自信をもっていました。

子どもたちの予想通り,三角4枚の場合は5個のぴたっと図形ができるのでしょうか。この日はここで時間切れとなりました。しかし,何人かの子どもたちは,時間終了後もホワイトボードで三角4枚の場合の形作りを進めていました。

この授業は,授業テラスで3月に公開します。お楽しみに!

2023年12月7日木曜日

「図解 算数の授業デザイン」3刷決定!

明治図書からこの春に出版した「図解 算数の授業デザイン−主体的な学びを促す50のしかけ」が,ご好評につき3刷りが決定しました。

すでにお求めいただいた先生方からは,「シンプルで分かりやすい」「図解になっているので,理解が進みました」などのうれしい言葉をいただいています。

まだお求めでない方は,是非,この機会にお求めください。

お求めは,以下のアドレスからお願いします。

https://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-252226-0

「ぴたっと」と「あいだ」

「三角をつなげて,いろいろな形を作ろう」と子どもたちに投げかけます。
例えば2個の三角なら,どんな形をイメージできるのか,代表の子どもにタイルを動かし作成させます。
3枚のパターンが完成したときに,「まだあるよ」という声がたくさん聞こえてきました。その中で,おもしろい呟きをしていたのが,I男です。
「左の2つは,ぴったとだからまあまあいっぱいある。右のは間があるから,いっぱいある。」
I男は,3つの図形を2つに仲間分けしたのです。さらに,その仲間分けの根拠を2つの図形の接着部分の長さに目を付けて説明してきました。この仲間分け意味を,時間をかけて共有していきます。

次に,ぴったりだと「まあまあいっぱい」とは,どういう意味なのかを考えます。
「いっぱいの下だということ。」
「10個がいっぱいなら,その半分の5個くらい。」
「ぼくは,7個ぐらいだと思う」
辺同士がぴたっとくっつく形は,それほど多くはないと子どもは考えました。一方,辺の結合部に隙間ができるタイプは,「たくさんできる」「無限にできる」と子どもたちは考えました。

3つの図形を仲間分けを行うこと,さらにその根拠を説明できること,またそれぞれのタイプで構成できる図形のパターン数を考えていくという一連の考えが,授業の冒頭で生まれてきまいした。1年生の子どもたちの見方・考え方が着実に育っていることを実感する一瞬でした。

多くの子どもたちは,I男の考えに賛同しています。一方,怪しいなあと考える子どもも一部にいました。そこで,子どもたちに2枚の三角を配り自由に実験を行いました。
ホワイトボードには18種類の図形が貼られましたが,子どものノートにはまだまだ作成されていました。

次に,「三角を3枚に増やします」と投げかけます。すると,「もっとあるよ」「20は超えるよ」「28くらいできるよ」と,声があがります。三角が3個でできる図形のパターン数を,主体的に予想を始めました。
そこで,今度は3枚の三角を使って各自が実験を進めます。結果は,明らかに2枚よりも多くの図形がノートに描かれていきました。

複数の図形を組み合わせることで,その仲間分けとその先の数に目を向けた考えた生まれてきました。図形に対する見方・考え方の着実な進化に感動した時間となりました。




2023年12月5日火曜日

折り紙を折ると?

 子どもたちに「折り紙を半分におると,どんな形ができるかな」と尋ねます。

どのように折るかが,当初は問題になりました。そこで,「端と端をピタッと合わせる」ことが折り方のルールとして確認されました。

先ずは1回折るとどんな形ができるのか,実験します。結果は長方形と三角形の2種類ができました。

この結果を受けて,「だったら,2回折ったら3つできる」と声があがります。「1回折り:2つ」から考えた予想です。多くの子どもは,この予想に自信を持っていますが,半信半疑の子どももいます。

そこで,2回折りを実験します。結果は,子どもの予想通りになりました。すると,「だったら3回折ったら,4つできる」と子どもたちは考えます。今回は,多くの子どもが自信を持っています。ところが結果は5つの図形ができました。

すると新たな予想の声が聞こえてきます。「4回折ったら8つになる」「1個,2個と増えたから,次は3個増える」と,その根拠を説明してきます。しかし,この日は時間切れ。

「いろいろなかたち」単元の導入場面でした。本教材は,東洋館出版社「板書シリーズ1年」を参考にしています。


2023年12月1日金曜日

折り紙と人はたせない

 次の問題文を提示します。

「5人の子どもがいます。青の折り紙を1枚」

ここまで板書したところで,子どもたちが次々と声をあげます。

「折り紙と人はたせないよ」

「10月19日に,似た勉強をしているよ」

「単位が違うからたせないよ」

「この問題はだめだよ」

ここまでの問題文には,「人」と「枚」の2種類の単位が登場します。子どもたちは既習に立ち返り,この問題文では計算できないと考えたのです。問題提示の途中であるにもかかわらず,既習を活用して考える姿に脱帽です。

その後,「この後の文を見ないと,まだ分からないよ」という声もあがります。そこで,その後の問題文を提示します。

「ずつ配りました。4枚あまりました。青い折り紙は,はじめに何枚ありましたか。」

今度は,「まず,図を描いたらいいよ」「式は難しい」と声があがります。これも前時の考えがベースになっています。

そこで,図を描いてみることにします。これは,板書のような図が完成します。この図から,折り紙は9枚あったことが分かります。

続いて,式はできるのかを考えます。子どもからは「5+4=9」という式が発表されます。この式表記は全員納得です。しかし,式が示す数値の意味を本当に理解しているのかは,この段階ではあやふやです。

そこで,「式の5は,図のどこに見えますか」と尋ねます。すると,この反応にズレが生まれました。子どもの5と折り紙の5です。果たしてどちらの5なのでしょうか?

「子どもじゃないよ。それじゃあ,単位が違うよ」

「人と枚はたせない」

「子どもは人で,折り紙は枚。単位が違うからたせない」

「枚と枚ならたせる。だから,5は折り紙の5」

「同じ単位しかたせないんだよ」

授業冒頭で,異なる単位はたせないとの声があがりましたが,式と図を関連付ける場面で,彼らの理解が不十分であったことが見えてきました。やはり1年生は,類似場面を通してスパイラルに学習を進める必要があります。

それにしても,既習を子ども自身が活用しながら問題場面を乗り越えていったすばらしい学びの姿が見えた時間でした。25分ほどの算数の一コマでした。



明日は全国算数授業研究会宮城大会です!

 明日12月2日(土)は,全国算数授業研究会宮城大会です。会場は,仙台市にある白百合学園小学校です。3時間にわたる公開授業があります。本研究会のよさは,生の授業を見て語り合うことです。仙台は寒くなってきましたが,公開授業とその後に行われるパネルディスカッションを通して,熱い仙台になることでしょう!

今日は兵庫県小学校研究会です!

 今日は,兵庫県小学校教育研究会の指定研究大会に参加します。会場は淡路島にある小学校です。淡路島訪問は,夏以来です。

公開授業は3本が行われます。さて,どんな授業が展開されるのか楽しみですねえ!