2024年5月14日火曜日

リボンの長さが小数なのに・・・

次の問題を子どもたちに提示します。

「1m80円のリボンがあります。①のリボンの代金はいくらですか」 

①のリボンを提示します。「160円」という声が多数聞こえてきました。そこで,この気持ちを読解します。

「1mが2個あるから」

「80×2で160円」

①のリボンが1mリボンの2倍に見えていることから生まれた声です。しかし,本当の長さは2.1mです。すると,この結果を見て首をひねっている子どもの姿が見えました。その理由を尋ねます。

「小数のかけ算になりそうで・・・」

「そんなのあるの?」

子どもたちの既習は,小数×整数です。整数×小数は未習です。従って,かける数が小数の立式を行うことに不安を感じたのです。

すると,この声を受けて次の声があがってきました。

「でもさあ,(小数でも)増えるならあるよ」

「小数のたしざんは増えるだけど,あったよ」

子どもたちにとって,かけ算は答えが増えるイメージがあります。このスタンスに立てば,小数のたしざんができたのですから,小数のかけ算もあり得るという考え方です。既習とつなげたよき見方が生まれてきました。

その後,4ます関係表を使って,リボンの長さが2.1mのときの代金を求める式が,80×2.1になることを確認します。既習とつなげることで,小数のかけ算があり得ることを,子どもたちは納得していきました。

ところでリボンの長さは,2.1mではなく2.5mであったことを伝えます。2.5mに伸びても,考え方は同じです。80×2.5という式を作ることができます。

さて,式はできました。では,どうやって答えを求めたらよいのでしょうか。

子どもからは3つの考え方が生まれてきました。

ア.2.5を2と0.5に分けて計算するサクランボ計算。80×2は計算できます。しかし,80×0.5はできません。しかし,これは80の半分なので40と分かります。

イ.80×2.5を80×25に置き換えて計算します。小数の存在が嫌だからです。整数×整数なら計算ができます。しかし,この答えはもとの式を10倍したものです。従って,この答えを10でわる必要があります。もどしているのだ算です。

ウ.80×2.5を10×8×25÷10と置き換えます。さらにこの式を,10÷10×8×25と変身します。するとこの式は,8×25になります。これなら計算できます。サクランボ&入れ替え計算です。

子どもたちにとっては,もどしているのだ算がわかりやすいという声があがりました。



2024年5月13日月曜日

オナジン登場!

 子どもたちに「○と△の関係を式に表そう」と投げかけます。

①1mの値段80円のリボンを買うときの買う長さ○mと代金△円

子どもたちはこの問題文を見ても,最初は問題場面のイメージがつかめずにいました。そんなときに生まれきたのが「表とか図にしたらいいんじゃないの」というアイディアです。

そこで,問題文に沿って表を作成します。その結果,子どもたちにも問題場面のイメージができてきました。イメージができると,式も見えてきます。

子どもからは,次の2つの式が生まれてきました。

△÷○=80

80×○=△

次に,2つ目の問題を提示します。

②1mの重さが2.15㎏のパイプを買うときの買う長さ○mと重さ△㎏

この問題場面に当てはまる式を考えていたいときです。M子が次のように説明をしました。

「さっきの問題の80×○=△と同じで,これも2.15×○=△という式ができます」

1問目と2問目の立式には考え方の共通点があることに気づいた声です。「オナジン」というキャラクターを貼り,共通点に気づいた見方を褒めました。

するとこの手立てが,3問目でも生きてきます。

③1段15㎝の階段の段数○段と高さ△㎝

この問題でも,「最初の問題と同じで,これも15×○=△とできる」と説明が続きました。

算数では共通する部分を見つけていく見方・考え方が大切になります。よき見方が繰り返し生まれてきました。

本題材は,東洋館出版「板書シリーズ5年上」を参考にしています。



2024年5月11日土曜日

1を見い出す!

子どもたちに「六角形をつないでいくと・・・」と投げかけ,六角形が3つつながった形を提示します。子どもたちは,同じ形を配布したパターンブロックをなぞってノートに同じ形を作図していきます。

作図を終えたある子どもが,図の周辺部を指でなぞる姿が見えました。それと当時に「12」という声が聞こえてきました。そこで,この声の意味を共有していきます。

「周りが12本ある」

「それって5月9日と同じだ。階段も四角が増えて比例した」

前時の学習の比例の見方が生まれてきました。しかし,「まだ次がどうつながるか分からないと決められない」という声も聞こえてきました。

そこで,六角形を追加します。先ほどの図形の右側に3つの六角形を縦に並べます。子どもたちは,周りの長さを数えます。「18本」になることが分かります。それと同時に「6本増えた」「比例」という声も聞こえてきます。

子どもたちの中には「次も6本ずつ増えていく」「だから比例だ」と考える子どもたちがいました。一方,「本当に比例なの?」とその関係性を十分に納得できていない子どももいました。さらに,「もっと次を見ないと分からない」という早急な一般化を疑う声も聞こえてきました。この視点でのアプローチも大切ですね。

その後,六角形をもう1列増やします。周りの辺は「24本」になりました。ここで「きまりがある」「6本ずつ増えている」「比例になっている」と声があがります。ここで比例の意味を再確認します。「片方が2倍・3倍になったら,もう片方も2倍・3倍になる」という関係です。しかし,最初の周りの本数「12本」をもとにすると2倍・3倍の関係は見えません。そのために,「比例なの?」と疑っている子どもたちも何人もいました。

そんなとき,「最初の1個を動かす」という声が聞こえてきました。左端の1個の六角形を切り離すと,その本数が6本であることが見えてきます。「これをもとにしたら,2倍・3倍になる」とそれまで見えなかった比例関係が見えてきます。見えなかった基準量になる1を見出す姿が生まれてきました。この基準量が見えると,比例関係もすぐに見えてきます。

基準量を見出す姿を引き出すことを目的にした比例の授業でした。 


2024年5月9日木曜日

比例はあるかな?

 前回の階段問題を続きです。段数を13段,25段に伸ばした場合の周りの長さを考えました。子どもたちは,いずれも4×13,4×25という4の段のかけ算を使って計算で求めました。この段数まで来ると,図を描いて調べるのはかなり大変な作業になります。

その後,この考え方が「比例」であることを説明します。

「比例」の用語を学んだ子どもたちに,「比例するものはあるかな」と尋ねます。子どもからの声を,一つ一つ確認していきます。

①正方形の1辺の長さと周りの長さ→比例

②ノートのサイズと周りの長さ→比例ではない

③ぼくと兄の年齢→比例ではない

④看板の枚数と重さ→比例

⑤双子の年齢→比例

⑥身長と体重→比例ではない

この他にも,「私とおばあちゃんの年齢」との声も聞こえました。「1歳の時におばあちゃんが60歳。比例したら,2歳になったらおばあちゃんは120歳?」となりありえない状況が発生します。これも比例ではありません。

このように考えると,比例になる場面はあまり多くはないようですね。


2024年5月8日水曜日

階段と演繹

比例学習の1時間目に入りました。教科書にもある階段と周りの長さの関係を取り上げました。

階段を2段積んだ時点で,「きまりがある」「次は16㎝?」「12㎝じゃない?」「まだ次を見ないと分からないよ」と声が続きます。2つの情報から,きまりを見つけ出そうとする姿が育ってきました。さらに,少ない情報数で一般化することへの危惧を示す声があがってきたのも素晴らしい視点です。

その後,子どもたちは,「4㎝ずつ増える」「1段の長さが2倍・3倍になる」の2つの決まりを見つけていきます。この学習では,きまり発見の声と同時に演繹的な声もあがってきます。「どうして4㎝ずつ増えていくのか」という声です。この部分は,きまりを発見したばかりの子どもたちにはハードルが高い内容です。今回の授業でも,階段が3段になった時点でそれが生まれてきました。演繹の声を早い段階で授業の中心にしてしまうと,多くの子どもが混沌としてしまいます。

授業の最後には,10段になったら何㎝になるのかを問いました。ジャンプした階段数です。この段数になると,全員が4×10という倍の考え方を使いました。「かけ算は楽」「早く計算できる」と声があがりました。

比例の見方を引き出した1時間目でした。 


2024年5月7日火曜日

式を読解する

ホワイトボードにある立体を提示し,「体積を求めよう」と投げかけます。

多くの子どもたちは,縦に3分割する方法,細長い直方体が9個分という方法で求めました。

飛び出している7番の直方体を5番の上に移動し階段状に変形する子どもがいました。この階段を2つ合わせると直方体ができます。最後にこの体積を半分にします。この方法は1週間前に学習した方法です。既習を活用するよきアイディアです。いずれも式が4本,2本必要です。

最後に,30×30×30という式を提示します。これは1本の式です。式を見た子どもからは,「なんで?」という声が聞こえてきます。もとの立体には,30が2個はあっても3個はないからです。

そこで,この式の意味を読解していきます。飛び出している1番を5番の上に移動します。そうすると欠けていた穴が埋まります。これで直方体に立体が変身し,高さが30㎝になります。これだと1本の式で求められます。ここでも「№14と同じだ」と既習の求め方との共通点に気がつく声が聞こえてきました。ここまで25分の授業でした。


2024年5月2日木曜日

今夏の全国算数授業研究大会は8月5~6日開催!

 筑波大学附属小を会場に開催される全国算数授業研究大会は,8月5日(月)6日(火)の2日間開催されます。今大会では,合計10本の公開授業が行われます。

今夏の大会テーマは,本質に導く授業力 ―多様な学びが求められる今、教師の役割を問うー」です。大会テーマの算数の「本質」とは,「単元で最もポイントとなる内容の数学的な見方・考え方」です。この本質を引き出し培う授業力を発揮するために必要な教師の役割を,全10本の公開授業を通して議論をしていきます。

本研究大会は,事前申し込み制です。申し込み開始まで,もう少しお待ちください。詳細は,以下のアドレスからお願いします。

https://zensanken.jimdofree.com/%E7%A0%94%E7%A9%B6%E5%A4%A7%E4%BC%9A/