2016年7月14日木曜日

高知算数セミナーのご案内


間もなく夏休みです。1学期,クラスの子どもたちは算数授業を愉しむことができたでしょうか? 
先日,偶数と奇数の授業を行いました。「あきら君とゆう子さんがカルタ大会をしました。1回戦はゆう子さんが6枚差で勝ちました。2回戦は,ゆう子さんは1回戦よりも1枚多くカルタをとりました。あきら君とゆう子さんの差は何枚になったでしょう」の問題を考えました。カルタの枚数が明示されていないため,子どもたちは「例えばカルタが10枚だったとするでしょ」と具体例をあげて場面を分かりやすい事例に置き換えて考え始めました。10枚では,差は8枚になります。この事実を見た子どもたちは,「カルタ10枚の時は差は8枚だけど,他のカルタの枚数だと8枚にならないんじゃないかな?」と考えます。一般化の世界に子どもたちの思考が拡がっていきます。そこで,子どもたちに自由にカルタの枚数を設定して実験させます。実験の途中から「あれ? 2で割れる数の時にしか1回戦の差が6枚にならない」「11枚や13枚では1回戦の差が6枚にならない」ことに気づきます。6枚差ができる場合とできない場合を整理していくと,カルタの偶数枚数と奇数枚数に分けられていきます。偶数と奇数を用いて考える必然性に子ども自らが気づいた授業でした。
 
さて,7月25~26日は高知算数セミナーに参加します。7月26日(火)は高知大附属小学校の子どもたちに,公開授業を行います。5年生「単位量当たりの大きさ」単元です。高知の子どもたちに授業をするのは久しぶりです。子どもたちと算数を愉しみたいと考えています。
 
高知算数セミナーの詳細は以下の通りです。
 
 
 
【高知算数セミナー】
 
夏の研修として恒例となっている高知算数セミナーも今年で第46回を迎えることになりました。

今回は筑波大学附属小学校・関西大学初等部の先生方の格別のご理解とご協力をいただき,各方面の算数専門の先生が講師として参加してくださいます。同一単元・同一内容の授業を2人の先生にしていただき討議する『立ち合い授業』も計画しています。高知ではなかなか見られない参考になる授業,そして実践をもとにした講演,白熱した授業討議を展開してくださいます。

また,講師の先生方のご協力をいただき,高知会場に引き続いて,第31回幡多算数セミナーも開催いたします。夏限定の願ってもない研修の機会ですので,是非多くの方にご参加いただけますようここにご案内申し上げます。 
 
 
会 期  7月25日(月)・26日(火) 

   高知会館 (高知市本町5丁目6-42)088-823-7123

1.主 催 土佐教育研究会算数・数学部会  高知市算数研究会

2.共 催 高知県教育センター

3.後 援 高知県教育委員会 高知市教育委員会
 
      高知県市町村教育委員会連合会    
      
      高知県数学教育研究会 高知市教育委員会 

4.主 題 問題を解決する算数活動
      ~子どもの思考過程を大切にした授業づくり~ 


5.講 師 
 
正木 孝昌先生(前 國學院栃木短期大学)
 
田中 博史先生(筑波大附属小) 
    授業 3年 題材 「わり算」
 
山本 良和先生(筑波大附属小)
    講演 「算数授業とICT」
 
盛山 隆雄先生(筑波大附属小)  
    授業 6年 題材 「割合の表し方を考えよう」
 
大野  桂先生(筑波大附属小) 
    講演 「すべての子どもの学力に応じる算数授業のつくり方」
 
尾﨑 正彦先生(関西大学初等部) 
    授業 5年 題材 「単位量当たりの大きさ」
 
松岡  謙先生(高知市立泉野小)
    授業 6年 題材 「割合の表し方を考えよう」

 
7.日 程

7月25日(月)

8:30 9:00  9:55 10:05    11:00   11:50 14:00  15:00   16:00 17:00
 
受付
3年授業
(田中
先生)
休憩
開会行事
研究
討議
休憩
講 演
  (山本
  先生
昼食
6年授業
(松岡
   先生)
休憩
6年授業
  (盛山
   先生)
休憩
研究
討議
連絡


 

7月26日(火)
 
8:30 9:00  9:45 10:00      10:40  10:55       11:45   12:00
 
受付
5年授業
(尾﨑先生)
休憩
研究討議
休憩
講 演
(大野先生
閉会行事


 

8.会 費 3,000円(土佐研会員及び高知市市教研会員)
      
      3,500円(その他の参加者)
 
      1,000円(大学生)
 
9.申し込み先
 
高知・幡多会場とも,当日受付が可能です。
(高知県教育センター教職員研修管理システムによる事前受付もできます。)
 
 

2016年7月10日日曜日

熊本でアクティブ算数体験しましょう!

8月3日(水)午前9時~正午迄、熊本市立池上小学校でアクティブな算数授業の作り方を体験するワークショップ型研修を開催します。参加される先生方に授業プランを考えて頂きながら、アクティブな算数授業の作り方を実感して頂きます。

巷には、アクティブラーニング関連の本が多数溢れています。ある形式に子どもを当てはめることで、アクティブラーニング成功と主張する本もあります。しかし、アクティブに追究する子どもは形式に当てはめられるのでしょうか?本当にアクティブな子どもは、形式から飛び出していくはずです。そんな授業の作り方を御一緒に学んでいきましょう!

池上小学校の藤本校長先生は、私と同じ研究会で長年ご一緒してきた盟友です。きっと藤本校長先生からも素敵な算数の話をお聞きできると思います!

ご参加の方は、学校名・参加者名をFAX にて池上小学校までお申し込みください。

池上小学校特別校内研修

(公財)日本教育公務員弘済会熊本支部 学校教育研究助成事業

学校名
(              )小学校
参加者名

(30)池上小学校 FAX096-312-1578

2016年4月22日金曜日

「アクティブ・ラーニングでつくる算数の授業」 発刊のお知らせ

4月がスタートしました。先生方の算数も順調に進んでいることではないでしょうか? 今年,私は5年生担任です。3年連続の持ち上がりです。3日前から,周りの辺の長さの合計が52㎝で中身が一番大きい箱を作ろうという学習に取り組んでいます。この学習は盛り上がりました。まずは,縦・横・高さの3辺の合計が13㎝になる組み合わせを考えれば,簡単に周りの辺の長さの合計が52㎝の箱を見つけられることに子どもたちは気づきます。これなら,当てずっぽうに辺の長さを探さなくとも簡単に題意の箱の候補を見つけることができます。これだけでもすごい発見! 
その後,中身の比べ方へと子どもたちの興味が移ります。子どもは砂や粘土を入れて,重さを数値化することで比較しようと考えました。数値化で比較ができることへの気づきも,すばらしいです。さて,箱の中に砂や粘土を入れる実験をしました。その結果,どんなことが起きたと思いますか? 同じ箱に同じように粘土を入れたのに,重さはバラバラになりました。この結果に,「これでは正確に調べられない」と子どもたちは考えます。比較できると考えていた方法での比較が,壁にぶつかります。そこで生まれてきたのが,「だったら同じ大きさのブロックを入れて,その数で比べる」という発想です。重さからブロックの数へと数値化の中身が変化します。この活動の中から体積の公式への気づきも生まれました。愉しい3時間でした。ときにはゆったりと活動を愉しむ算数も大切ですね。


 4月末,「アクティブ・ラーニングでつくる算数の授業」の単著が,東洋館出社から発刊されます。
国立教育制作研究所の小松信哉氏の特別寄稿もあります。「アクティブ・ラーニング」は,次期学習指導要領のキーワードです。しかし,実際にどのように授業を変革していけばよいのかは漠然としています。一部では,ある形式に当てはめることで「アクティブ・ラーニング」の授業ができたと勘違いされている実践も見られます。では,どのように授業を変革すればよいのしょうか? そのポイントを,具体的実践例を通して紹介していきます。是非,ご覧下さい。目次は以下の通りです。

目次

はじめに

1章 「アクティブな授業」ってどんな授業?
 1 ごく普通の導入なのに…
 2 子どもが次の課題を創り出す瞬間
 3 子どもがアクティブに授業を創り出す
 4 「小学校教育は既にアクティブ」説は本当か?
 5 文部科学省の解説からアクティブ・ラーニングを考える
 6 能動的な学びがなければアクティブ・ラーニングではない
 7 学習方法のキーワードはアクティブ・ラーニングの目的ではない

2章 最初の3ヵ月で子どもが変わる
 1 子どもは教師の出方を見ている
 2 子どもは教師の授業スタイルに3ヵ月で染まる
 3 教師が変わらなければアクティブな展開はできない
 4 自由に表現できる雰囲気作りは最初の3週間が勝負
 5 子どもの発想を鍛えるのは最初の3ヵ月が勝負
 6 2学期から子どもが変わる
 7 子どもに委ねると授業は愉しくなる
 8 子どもがアクティブになると教師も子どもも愉しくなる

3章 「問い」の連続がアクティブ・ラーニングをつくる
 1 能動的な学習を展開しているつもりではありませんか?
 2 「問い」がアクティブ・ラーニングへつながる
 3 アクティブ・ラーニングを深化させる「問い」の連続
 4 仕掛けがなければアクティブな追究は生まれない
 5 「ズレ」を仕掛ける

第4章 「12の仕掛け」でアクティブな授業をつくる!
 仕掛け1 先行知識が役立たない場面をつくる
 仕掛け2 似て非なる課題がズレを生む
 仕掛け3 情報を整理しないで提示する
 仕掛け4 あいまいさを自覚させる
 仕掛け5 子どもの安定感を崩す
 仕掛け6 認識とのズレを生む
 仕掛け7 きまりの連鎖で仕掛ける
 仕掛け8 大量の情報を提示する
 仕掛け9 見せ方を変える
 仕掛け10 条件を不足させる
 仕掛け11 関係性がありそうな発問で仕掛ける
 仕掛け12 答えがない問題を提示する 

5章 こんな「授業スキル」で子どもはもっとアクティブに!
 形式を真似るだけでは授業はアクティブにはならない
 スキル1 子どもの呟きや態度をキャッチする
 スキル2 価値ある呟きや態度を共有化する
 スキル3 価値ある呟きや態度を価値付ける
 スキル4 一般化の考えを育てる
 スキル5 教師が親切に解説しすぎない
 スキル6 念押し発問でアクティブに方向付ける
 スキル7 技能を鍛える

6章 授業で大切にしたい「7つのアクティブ・ワード」
 ワード1 「だったら」――相反する2つの意味
 ワード2 「例えば」――混沌をアクティブへと転換
 ワード3 「たまたまじゃないの」――実験範囲の拡張につながる
 ワード4 「絶対に」――表現したいことが高まる
 ワード5 「もし…だったら」――対象の一般性を吟味する
 ワード6 「でもさあ」――素直な疑問の出発点
 ワード7 「やっぱり」――数学的な考え方に確信をもつ

7章 「アクティブ・ラーニング」=「問題解決授業」?
 1 問題解決型ではいけないの?
 2 形骸化している問題解決型学習
 3 焦点化されていない数学的な考え方
 4 「わくわく」「ドキドキ」がない課題提示
 5 答えを教えられてしまう見通し
 6 クラスが二極化する自力解決
 7 聞いたふりをしている発表会
 8 ピントがズレた話し合い
 9 まとめていないまとめ
 10 形骸化した問題解決型授業で育つ子ども像
 11 形式で学力は育たない

特別寄稿 小松信哉(国立教育政策研究所)
 アクティブ・ラーニングがめざす方向
 1 教育課程企画特別部会「論点整理」より
 2 新しい学習指導要領等が目指す姿~育成すべき資質・能力~
 3 学習活動の示し方や「アクティブ・ラーニング」の意義等
 4 学習評価の在り方について

あとがき

東洋館出版社 http://www.toyokan.co.jp