2018年8月23日木曜日

佐渡真野小学校授業診断公開研修

校内研修のあり方に悩んでいる研究主任の先生も多いのではないでしょうか。校内研修の最大の目的は,全ての担任の授業力を高めることです。

では,そのためにはどのようなアプローチが必要でしょうか。私は,全ての担任の先生が授業公開を行い,その授業について成果と課題を客観的に診断し,その結果をもとに授業を改善していくことだと考えています。20人の先生がいれば,その成果と課題が同じであるはずはありません。一人一人違うのです。それを明確にすることが,学校全体の質を高めるのです。これは,医療現場では当たり前のことです。ところが学校現場では,これができていなのが実情です。代表の先生だけが授業公開しても,他の先生の授業の質はほとんど高まりません。医療現場で,一部の患者さんだけを医師が診断し,他の患者さんにも同じ薬を処方したら大変なことになります。しかし,それが当たり前のように行われているのが学校の校内研修です。

新潟県佐渡市立真野小学校では,全クラスの先生が授業を公開し,それぞれの授業に対して私が成果と課題を診断する「授業力診断」を7年前から進めています。今年度は,その授業診断のあり方を公開します。一人一人の先生の授業と各先生に対する指導の進め方を,
是非,ご覧いただきたいと考えています。

ついで?ですが,私も3年生に授業公開を行います。こちらもよければご覧ください。

日程は次の通りです。

2018年10月9日(火)
新潟県佐渡市立真野小学校

1 授業診断(1梅,1松)         9:2510:10
2 授業診断(2梅,まゆみ梅,まゆみ松) 10:3011:15
 授業診断(3梅,4梅,4年少人数)   11:2012:05
            ~休憩・給食~

4 授業診断(5梅,6梅,6松)     13:2514:10
 尾﨑先生による師範授業           14:2015:05

            ~移動・休憩~

6 尾﨑先生によるご指導及び講演会        15:3516:45

お問い合わせは,真野小学校 ☎(0259)55-2009 北川先生まで

佐渡島内の学校以外の先生方も,佐渡観光を兼ねてご参加ください。秋の佐渡は,果物も海の幸も最高においしいシーズンですので!



2018年8月18日土曜日

2019年度 全国算数授業研究会和歌山大会が開催決定

平成とともに歩んできた第30回全国算数授業研究大会が終わりました。台風が接近する気象状況の中にもかかわらず参加いただいた全国の先生方,ありがとうございました。

さて,この会の理事会で2019年度の冬の大会会場が決定しました。

2019年12月26日(木) 全国算数授業研究会和歌山大会
                 会場 和歌山大学附属小学校

関西地区で全国算数授業研究会の冬の大会が開催されれるのは初めてのことです。この会は,和歌山大学附属小学校の小谷先生の熱い想いと志で開催が決定しました。和歌山の先生は熱いです! 地元・和歌山の先生方の公開授業も多く行う予定です。

和歌山大会を通して,「主体的・対話的で深い学びのある授業の改善」のあり方を和歌山,さらには関西地区に発信できたらと考えています。開催まで,まだ1年以上ありますが,どうか日程を空けておいてください!

全国学力状況調査と授業改善

夏休みも,残り2週間あまりとなりました。7月末には,全国学力状況調査結果が発表されました。発表後,全国の先生方とお会いする機会が何度もありました。多くの先生方が,その結果に一喜一憂する姿が見られました。

ある県の校長先生と,学力状況調査について話をしていた時,次のようなことを話されていました。
「全国学力状況調査結果は,県内の市町村でかなりの差があります。また,一つの学校の中でも,クラスによる差があります。あるクラスは突出してよい結果を出しています」

ここまでは,よくある話です。クラスによる差があるのは,当然です。さて,先の校長先生の話は続きます。

「突出して結果がよいクラスの授業を見たんだけど,まったく普通の授業なんだよね・・・」

この話は,果たして一部のクラスだけの話なのでしょうか・・・。全国学力状況調査の目的は,授業の改善です。その改善のゴールは,「主体的・対話的で深い学びのある授業の改善」です。ところが現実は,授業の改善と全国学力状況調査の結果が比例していない事実があるのかもしれません。

現在の全国学力状況調査で,教師の授業改善の質を測定することはかなり難しいと私は考えています。本当に大切なことは,「主体的・対話的で深い学びのある授業の改善」を進めることです。この趣旨の授業を夏休み明け,子どもたちに提供できるように残りの2週間,作戦を練っていきましょう。

「主体的・対話的で深い学びのある授業の改善」を進めるための具体的授業創りのスッテプを12の視点にまとめて,来年,単著として発刊したいと考えています。現在,執筆中です。もうしばらくお待ちくださいね!

2018年8月4日土曜日

ようこそ先輩!佐渡高校編

私の母校は,日本海の離島・佐渡ヶ島にある佐渡高校です。佐渡高校では,毎年,卒業したOBの中から各方面で活躍している方を招聘し,在校生に講演会を開催しています。来年度のOB講師として,私が登壇することとなりました。

これまでは大学教授,オーケストラ指揮者,自動車エンジニア,市長など多方面で活躍されているOBが講師として登壇されています。高校生にとっては,小学校教師の私では,興味がないかもしれません…。

そんな佐渡高校生の思い出に残る話をしたいと,今から作戦を練っています。後輩のみなさん,お楽しみに!

この講座は,保護者や佐渡在住の学校の先生方の参加できるように調整中です。日程は,まだ最終決定はしていませんが,10月を予定しています。詳細が決まりましたら,お知らせします。

母校佐渡高校は,離島佐渡ヶ島の中核を担う進学校です。人生の進路に役立つ1時間にしたいと考えています。

2018年7月29日日曜日

第2回算数教科書活用セミナー


第1回算数教科書活用セミナーが終わりました。多くの先生方は,教科書を使って算数授業を行うことが多いのではないでしょうか。その際に困っていることが,様々にあることが分かりました。Q&Aコーナーでは,多くの先生方の切実な思いに触れることができました。

第2回算数教科書活用セミナーでは,先生方のご質問により多く答えられるように,時間設定を工夫していきたいと考えています。

第2回に日時等は次の通りです。
 日時 9月1日(土) 13時~
 会場 兵庫県尼崎市 尼崎文化総合センター(阪神尼崎駅から徒歩5分)

詳細は,以下の案内をご覧ください。


『算数教科書活用セミナー』・第2回 尼崎大会

◆算数授業に欠かせないアイテム、「教科書」。先生方はどのように使われていますか。教科書そのままの授業は盛り上がらないという声をよく聞きます。とはいえ、オリジナル教材を考える時間もない…。◆そんな先生方のために、「教科書を活用して盛り上がる」さらに、「教科の本質的な学びも深まる」、そんな算数授業のつくり方講座を開催します。◆教科書をどう見せるか。見せ方を変えるだけでも授業は大いに盛り上がります。そんなアイディアを、具体的授業例を通して紹介する講座です。

【プログラム】
13:00 受付開始

13:30~14:15
●講座『教材研究のコツを伝授 ~ 教科書を読みとくワザ ~ 』(45分)
 尾﨑正彦(関西大学初等部)

14:30~16:00
●教科書を活用した算数授業(模擬授業.30分×2本)
 ①「割合」(5年生) 小林秀訓 (広島大学附属東雲小)
 ②「かけ算」(2年生) 直海知子 (公立小学校)
  ※ 小グループで学びのシェア。
  ※ 尾﨑正彦先生のコメント。

16:15~17:30
●算数授業づくりQ&A・閉会

【会場】『尼崎市文化総合センター』(第2会議室)
・兵庫県尼崎市昭和通2丁目7-16
・阪神「尼崎駅」から徒歩5分

【参加費】2000円

申込は,以下のアドレス(コクチーズ)からお願いします。

http://kokucheese.com/event/index/529826/

2018年7月26日木曜日

ソリッソ&ワカヤマスで公開授業


11月17日(土),和歌山大学附属小学校を会場に開催される「第7回ワカヤマス公開授業研究会」に授業者&講演者として登壇します。ワカヤマスは昨年に続いての登壇になります。和歌山の熱き志をもった小谷先生をはじめとする先生方と,熱い算数授業を展開していきます。

私の算数授業は4年生,講演は「主体的・対話的で深い学びのある算数授業」の創り方を演習形式で行います。

日程や会の趣旨は,以下をご覧ください。

学習指導要領が改訂され,そのキーワードとして登場した「主体的,対話的で深い学び」。私たちはこのキーワードを授業で具現化していく必要があります。しかし,これまでも,子どもが主体的になるような授業,対話を大切にした授業,そして深まりのある授業づくりに取り組んできたはずです。となると,これまでの授業づくりをそのまま続ければいいのでしょうか?

 今回のソリッソワカヤマスでは,「主体的,対話的で深い学びのある算数授業」をテーマとし,開催いたします。午前はメンバーによる授業とワークショップ,午後からは尾﨑正彦先生(関西大学初等部)をお迎えして,尾﨑先生に授業と講演をしていただきます。

 ともに,子どもが主体的に対話しながら学びを深めていく姿を創造しましょう。


今年のソリッソ×ワカヤマスには尾﨑正彦先生をお迎えします!
大会テーマ「主体的,対話的で深い学びのある算数授業」
9:00~9:30 受付
9:30~10:15 公開授業Ⅰ 4年 授業者 向井大嗣(田辺市立芳養小学校)
10:20~11:50 協議会
11:00~11:50 ワークショップ
11:50~13:20 昼休憩
13:30~14:15 公開授業Ⅱ 4年 授業者 尾﨑正彦先生(関西大学初等部)
14:30~15:30 講演「主体的,対話的で深い学びのある算数授業の作り方」
        講師 尾﨑正彦先生

申し込みは以下のアドレス(コクチーズ)からお願いします。和歌山でお会いしましょう!


2018年7月14日土曜日

教科書の向こう側に見えるもの

3年生の「時刻と時間」の単元です。この日は,いろいろ策を考えたものの,よい案が浮かばず,教科書通りの展開で授業を始めました。提示したのは,次の問題です。

「午前7時50分に家を出ます。20分で学校に着きました。学校に着いた時刻を求めましょう」

多くの子どもたちは,7時50分+20分=8時70分,70分=60分+10分=1時間+10分だから,午前8時10分と考えました。同じ位同士を整数のたし算と同じようにたしたのです。この方法は,子どもたちも納得です。教科書にもある解決方法です。

ここで,K子が「別の方法があります」と手をあげます。K子は次の式を発表しました。

「7時50分に10分をたして,8時にします。そして,8時+20分=8時20分にします。さっき10分をたしたから,10分を引いて午前8時10分とします」

これを聞いた子どもからは,「なんでそんなことするの」「めんどうだよ」「8時にしたら,お話が変わっちゃうよ」と声があがります。そのまま計算することで納得していた子どもたちには,K子の考え方は面倒と感じられたのです。

ところがここで,Y子が「K子さんの気持ちが分かります」と声をあげます。

「これは前の勉強と同じです」

聞いていた子どもたちは,首を捻っています。私も,この段階ではY子の思いがまだ見えませんでした。Y子が続けます。

「これは暗算と同じです」

この説明に「あー」という声があがります。私も,この説明でY子の言いたいことが見えました。しかし,まだ多くの子どもたちには,Y子の気持ちは理解できていません。Y子が続けます。

「もし,39+41という計算があったとします。この39に1をたして40にしましたね。40+41で81。さっき1をたしたから81-1で80でしょ。これと同じです」

Y子の話を聞いていた子どもたちも,納得です。Y子は暗算で学習した工夫して計算する考え方が時間の計算にも共通していることに気づいたのです。そのことを,39+41という具体例を自ら取り上げることで説明したのです。すばらしい考え方です。

Y子の考え方は教科書にはありません。しかし,数学的に優れた考え方です。教科書通りの授業でも,このような見方・考え方は子どもから生まれてくるのです。その瞬間を見逃さず,その考え方を教師が取り上げクラス全体に共有化することが大切です。もちろん,その考え方を価値づけることも大切です。

子どもが教科書を大きく乗り越えていった1時間だったと言えます。