2022年5月27日金曜日

学級経営&算数講座終了!

 昨晩は,新潟大学教育学部附属長岡小学校主催の「学級経営&算数講座」が開催されました。北は北海道〜南は九州・熊本まで230名を超える先生方にお集まりいただきました。2時間の長丁場でしたが,熱い先生方の思いが伝わる時間となりました。先生方の明日からの学級経営や算数授業作りの参考になったでしょうか。

今回の講座には,我が家の娘の同級生も参加してくれていました。家族ぐるみで交流のある娘さんです。時のたつのは早いなあと実感しました。

一方,私と同期の先生方も多数参加されてくれていました。多方面の世代の先生方と交流を深めることが出来ました。

次回は,11月19日(土)に,対面形式で長岡市で講演会を開催します。お楽しみに!

2022年5月25日水曜日

分数を図で表すのは難しい!

 分数×分数の学習場面です。次の問題を提示します。

「縦8/9m,横3/4mの長方形の面積を求めましょう」

計算で答えを求めること自体は,子どもたちには簡単です。そこで,「図で答えが本当に正しいのか確かめよう」と投げかけます。

分数の作図自体は,これまでにも何回も経験しています。ところが,しばらくすると子どもたちの鉛筆が止まる姿が目に入りました。右図まで描いて止まっているのです。

そこで「どこを困っているのか考えよう」と投げかけます。

「緑のますが,縦に8個・横に3個あるから,8×3で24個」

「だから答えは24/24㎡・・・」

図をこのまま見たら「24/24㎡」になる気持ちを共有します。しかし,なんとなく図から見えたこの答えに違和感を多くの子どもが抱いていました。しかし,その原因が明確に見えていない子どもたちも多数いました。

そこで,この違和感の原因を追及していきます。

「全体の図を描いたら分かるよ」

「8/9mは本当はもう1つますが増えて1mになる」

「3/4mも,もう1つますが増えて1mになる」

「だから,縦1m・横1mの全体がもとになるから,全体は9×4=36個」

「24個/全体で考えるから,24/36㎡になる」

本時の問題は,量分数を扱っています。従って,その基準量は1mです。この意識が飛んでしまうと,分母の数が見えなくなってしまいます。

今回は面積の問題を作図することを通して,分数の基準量を再認識することもできました。





2022年5月24日火曜日

分数×整数が使える

 子どもたちに次の問題を提示します。

「1分で4/5Lのお茶を作るマシンがあります。2/3分では何Lのお茶を作ることができますか」

4ます関係表を使って,式を確認します。「4/5×2/3」で立式できることが見えてきました。ここで,次のように子どもたちに投げかけます。

「この計算,どうやって計算したらいいのかなあ?」

すると,子どもたちから次の声が聞こえてきました。

「分数×整数と同じように考えたらいい」

「分数×整数は分子をかけた」

「今度も分子はそのままかけて,分母のそのままかけたらいい」

分数×整数の計算方法を活用し,分数×分数も同じように考えたのです。よい考え方が生まれてきました。

子どもたちが考えた計算方法で実験すると,先の計算は8/15Lと答えが出ます。ところがここで,「でも,それって合ってるのかなあ?」と声があがります。この声に続いて,「だったら図を描いたらいい」という声もします。そこで,確認することにします。

4/5Lの図を描くところまでは,順調でした。ところが,その先が進まずに困っている子どもたちの姿が見えました。そこで,彼らの悩みを先ずは共有します。

「4/5Lはできたけど,そこをどうやって2/3にするのかが分からない」

4/5Lの図をどのように2/3倍にするのかで,悩んでいたのです。分数の乗除場面を図で表現することが,分数学習の最大の難問です。計算はできても,作図ができない子どももいます。これは,分数の意味が本当はよく分かっていないことになります。

どのように2/3倍にするのかを,考えていきます。

「(左右の)端から端までで1分」

「そこを縦に3つに分けます」

「左端は1/3分の場所」

この説明で,多くの子どもから「分かった!」と納得の声が聞こえてました。

「真ん中の図のところまでだと,2/3分になる」

「右端まで行くと,3/3分になる」

「だから緑で塗られた2/3分の部屋は,8個ある」

「1L全部の部屋は15個あるから,8/15Lになる」

1/3分が2つ分で2/3分なる見方を理解するのに時間はかかりましたが,最後は全員が納得しました。

分母同士・分子同士をかけ算する方法でも,正しく計算が出来ることが図からも見えてきました。この後は,この方法の妥当性を他の問題を通して確かめていきました。




2022年5月20日金曜日

論理から新しい論理が生まれる

 分数÷整数の計算を,倍分することで計算ができることを発見した子どもたち。この方法が,他の問題で適用できるのかを試していきました。

「4分で5/6Lのココアを作るマシンがあります。1分では何L作れますか」

この問題も,倍分で解決ができます。

5/6÷4=(5×4÷4)/6×4=5/24

答えを見つけることができました。しかし,本当にこの計算が正しいかは,図で確認する必要があります。その結果,図でも5/24Lになることが確認できました。

さて,この計算をしている途中で,何人かの子どもたちが「気付いたことがあります」と声をあげます。この気付きを,時間をかけて共有していきました。

「分子の5×4÷4は消える」

「×4÷4は結局1だから,分子は5」

「だから,分母だけ計算したらいい」

「5/6÷4は5/6×1/4をしていることと同じになるんだよ」

最後の説明は,すぐには子どもたちに理解されませんでした。論理の飛躍があるからです。

そこで,÷4を×1/4と考えることができるのかを,クラス全体で考えていきます。

「問題は4分を1分にするんだから,÷4をする」

「でも,4分を1分にするのは1/4と考えることもできる」

この最後の説明は,子どもたちにフィットしました。「そういうことか」と納得の声が聞こえてきました。

これで子どもたちは,分数÷整数の2つの計算方法を発見したことになります。ここには書き切れませんでしたが,この他にも白熱した議論がたくさん交わされました!




2022年5月19日木曜日

論理で壁を乗り越える

 分数×整数の学習を終えた子どもたちに,次の問題を出します。

「2分で4/5Lのジュースを作るマシンがあります。1分では何L作ることができますか」

子どもたちは,4ます関係表で式を確定していきました。式は「4/5÷2」となります。そこで,「この計算は,どうやったらいいかなあ」

と投げかけます。すると,子どもから「かけ算のやり方でできる」という呟きが聞こえてきました。そこで,この声を共有していきます。

「『かけ算のやり方でできる』とは,どうことか気持ちは分かるかな」

ここで,すばらしい説明が生まれてきました。

「この前のかけ算では,4/5×2だったら,(4×2)/5と分子を計算しました。だから,わり算も分子だけ4÷2と計算すればいいということです」

具体的なかけ算の式を例示したことで,子どもたちが一気にその意味を理解することができました。

分子だけをわり算すると,答えは2/5Lとなります。しかし,この答えは本当に正しいのでしょうか。そこで,図で確認をします。

すると,2/5Lになることが分かりました。つまり,分子を計算すれば,分数÷整数の計算もできるということになります。

ところがここで,「中途半端な数ならどうするの」「割れなかったら?」と声があがってきます。分子がわきりれないと,今回の計算方法は使えないという限界を指摘する声です。鋭い指摘です。

そこで,具体的問題場面で考えることにしました。

「3分で4/5Lのジュースを作ります。1分では何L作れますか」

式は「4/5÷3」です。先ほどと同じように計算すると,分子は「4÷3=1.333・・・」となりわりきれません。やはり,この方法は限界があるのでしょうか。

すると,「だったら通分したらいいんじゃない?」という声が聞こえてきました。今度は,この声を読解していきます。

「4/5を変えればいい」

「3をかければいい」

「(4×3)/(5×3)ならわれる」

4/5の分母・分子に3をかけて12/15に変身させます。この分数なら,分子を3でわることができます。「12/15÷3=4/15」でうまく分子をわりきることができました。しかし,これはあくまでも計算上です。正しいかどうかは,図で確認します。

その結果,図でも4/15Lになることが見えてきました。すなわち,分子が割れない場合は,わられる数を倍分(子どもは通分と言っていましたが)することで計算を進めていくことができるのです。

これまでに子どもたちが学習してきた学びを論理的に組み立てていくことで,目の前の壁を乗り越えていくことができたのです。



2022年5月18日水曜日

ズレは国語でも生まれる

 昨日は,大阪府内の小学校とオンラインで国語研修を行いました。その中で,説明文指導にもズレを引き出すことはできるのかを話題にしました。もちろん,説明文でもズレを引き出すことは可能です。ズレの視点は,算数だけではありません。どの教科でも,子どもの反応を教師がしっかりと見つめていればズレを引き出すことはできるのです。

3年生「ありの行列」の教材文をもとに模擬授業でズレを参加されていた先生方にも実感していただきました。この学校とは,算数指導だけではなく国語指導でも交流を行っています。

大谷翔平選手ではありませんが,二刀流で指導を行うこともあります・・・。かつて基幹学力研究会で国語の先生方とも随分とバトルを繰り広げましたが,その経験値がここでも生きています。

2022年5月14日土曜日

長方形の周りの長さは同じ?

子どもたちに,「長方形の周りの長さは何㎝?」と投げかけ,長方形を板書します。しかし,これだけでは分かりません。子どもからは「縦の長さを教えてほしい」などの声が聞こえてきます。そこで,長方形の中に正方形を1つ加えます。しかし,これだけでもまだ長さは分かりません。そこで,右のように一部の長さを知らせます。

しかし,まだこれだけでは情報不足のようです。そこで,a㎝の部分の長さなら教えられることを伝えます。子どもからは,「a㎝が5㎝なら計算ができそうだ」と声があがります。そこで,a㎝=5㎝で考えることにしました。

これで,少しずつ長方形の部分の長さが見えてきます。横の辺のa㎝の左の辺の長さは「12ー5=7㎝」と分かります。また,反対の右側も「8ー5=3㎝」と分かります。真ん中は正方形なので,長方形の縦の長さは5㎝です。従って,周りの長さは,「(7+5+3+5)×2=20×2=40㎝」と求められました。

この求め方が分かれば,aが他の長さになっても計算ができそうです。そこで,a㎝=7㎝の場合を計算することにしました。

しばらくすると,「同じだ」「えっ?」「なんで」という声が聞こえてきました。この声の意味を共有していきます。

「答えが40㎝になった」

「さっきと同じ長さになったから」

「これは,aが何㎝になっても40㎝になるんだよ」

子どもたちは,aがどんな数値になっても,周りの長さが40㎝なる理由に気が付ていきました。

「aが長くなると,こっちは短くなる。逆に,aが短くなると,こっちは長くなる。でも,12㎝は変わらない。8㎝も同じことだから,40㎝になる」

「結局,aと縦の長さはいつも同じなんだから,40㎝になる」

身振り手振りで,一生懸命に頭に浮かんだことを伝える姿が見られました。このような必死の思いが生まれてくるのは,言いたいことが溜まっている証拠ですね。

この後,これまでに学習した文字式で説明できるのかを考えました。周りの長さを求める式を文字式で表現すると,次のようになります。

(12-a+a+8ーa+a)×2

この式を見た子どもから,次の声が生まれます。

「ーaをして+aをしたら,結局プラス・マイマスしているから,aは消える」

「だったら,もう一つの場所のaも消える」

「だから(12+8)×2だから,20×2=40になるんだ」

文字式を使って,aがどんな数でも40㎝になることを証明することが授業でした。

この授業アイディアは,田中博史先生の講座で教えていただいたものをアレンジして授業を行ってみました。