2023年11月30日木曜日

式だと答えが違う!

「12人の子どもが1列に並んでいます。あきらさんは前から7番目です。かずおさんは,後ろから2番目です。2人の間には何人いますか」と,問題文を提示します。
問題を見た子どもから,次の声があがります。
「図が分かりやすいね」
「式もできるけど,2個いるね」
「引き算かな?」
しばらく時間を与え,考えをノートにまとめさせます。途中で,「図はできるけど,式がわかんない」と声があがりました。
先ずは,図で問題場面を確認します。次に,式が「12−7=5,5−2=3」になることを,図と関連付けながら確認します。
ここまでで,「困ったら図にする」「図ができたら,式が見えてくる」という考えの道筋が見えてきました。

続いて,先ほどの問題の続きを提示します。
「さきさんは,前から2番目です。あきらさんとさきさんの間には,何人いますか」
この問題を図で確認すると,間には4人いることが分かります。これは全員が納得です。一方,式は,ズレが生まれます。
「式だと答えが3になる」
「えっ,4だよ」
「3だよ。12−2=10,10−7=3」
先ほどと同じように考えたのに,答えは3になってしまいます。すると,4という答えの子どもたちが式を説明します。
「12−6=6,6ー2=4だから4だよ」
ところが,「12−6」の式の引く数の6について,「6ってなに?」と声があがります。問題文にはない数だからです。あきらさんは,前から7番でなので「6」が式にあることに納得ができないのです。
すると,「分かった」とM子が声をあげます。
「さっきは,後ろと前でしょ。でも今は,前と前。だから,今の問題も後ろと前に変えたんだよ」
問題文の構成要素に差があることに,M子は気付いたのです。「あきらさんは前から7番目」を,「あきらさんは後ろから6番目」に置き換えたのです。これなら先ほどと同じ,引き算の式が適用できます。式に合わせて問題場面を置き換える考えが生まれるなんて,すごいですねえ!



 

2023年11月28日火曜日

引き算とわり算

子どもたちに「チョコが個あります。1人に6個ずつ配っていきます。チョコが余らなかったら当たりです」と,問題文を提示します。
この提示と同時に,次の声が聞こえてきます。
がわかないとできなよ」
「6個なら,余らないよ」
「7個だと,1人に6個だと1個余るよ」
「9個もあまるよ。1人に6個あげたら3個余るよ」

問題文は難解な文章です。しかし,子どもからに入る具体的な数値が発表されたことで,問題文の意味が一気に見えてきました。
ここから後は,裏返しに貼られた11〜19の数字カードを1枚めくっていきます。最初は,17が引かれます。「5個余る」という声が聞こえてきますが,まだそこまで見えていない子どももいます。そこで,「5個余る」のは本当なのかを考えていきます。
「17個から6個を引くと,11個余る」
「11個は,まだ次の人に配れる」
「11−6で5個あまる」
「5個だから,もう配れない」
「だから,これは外れだ」
「12個や18個ならいけるんだけどなあ」
17個では余りが出てしまいます。しかし,余りのある数を考えることで,余りの出ない12個や18個の数を引き出すことができました。

2回戦は19が引かれます。「1個余る」の声と同時に「おしい」「あと1個で当たる」と声があがりました。単なる当たり・外れから,数をどのように変えていけば当たりになるのかを考える声が生まれてきました。よい見方が育ってきました。

その後もゲームを続けますが,なかなか当たりは出ませんでした。7回戦であまりのない「12」がようやく引かれ,子どもたちは大喜びでした。

わり算の素地にもつながる,同じ数を何回も引いていく問題場面に挑戦した1時間でした。この問題は,東洋館出版社「板書シリーズ1年下」に掲載されている教材を活用しています。




 

2023年11月27日月曜日

「ちがい」の思い込み

 「あんパンが13個あります。あんパンとメロンパンの違いは」まで,問題文を板書します。この時点で,「違いは何個? このままじゃあできないよ」「式が作れないよ」などの声が聞こえてきました。問題文に不備があることを指摘する声です。鋭い視線で問題文を見る子どもたちです。

問題文の続きを板書します。

「5個です。メロンパンは何個ですか?」

板書を終えると同時に,「8個」という声がたくさん聞こえてきました。そこで,ノートに自分の考えを書かせます。「13−5=8」という式を書く子どもが多数いました。一方,「たすかひくかわからない」「たしざんでも引き算でもできるんじゃない」「『多い』と『少ない』がないから分からない」「式が2個?」などの声も聞こえてきました。

これらの声は,問題文が条件不足であることを指摘するものです。しかし,この声の意味はすぐには理解されません。なぜなら,多くの子どもたちは「13−5=8」という式になることを前提に問題文を見つめているからです。この考えに自信をもっているために,もう一つの式の存在に目が向かないのです。

そこで,「『多い』と『少ない』がないから分からない」の声の意味を読解していきます。

「メロンパンの方が多いなら8個」

「違うよ。あんパンよりもメロンパンの方が5個多いなら13−5だよ」

多くの子どもたちは,この問題文をイメージして「13ー5」と考えていたのです。では「少ない」というキーワードの問題文は存在するのでしょうか。

「あんパンよりもメロンパンの方が5個少ないだよ」

「これなら,13+5だよ」

この問題文で考えれば,「13+5」の式は存在します。「13−5」になるという問題場面の思い込みが,「13+5」の問題場面を排除したと考えられます。

「問題文に,『多い』『少ない』がないから,たしざんが引き算かが決められないんだよ」

「だから,最初の問題がダメなんだよ」

思い込みというものは怖いですねえ。今回の授業では,子どもたちはその思い込みで問題場面に正しく向き合いことができなかったことが見えてきました。


2023年11月24日金曜日

計算ピラミッドに引き算はあるの?

 「計算ピラミッドを完成させよう」と,子どもたちに投げかけます。問題提示と同時に,「10月30日にやっている」と,前のノートを見返す姿が見られました。素敵な姿の表出です。

最初の2問は,最下段の数字だけを提示し,上段を完成していきました。この時点で,子どもから次の声があがります。

「1番下が分かれば,上ができるね」

「真ん中が分かったら,できるのかなあ?」

「引き算を使えば分かるんじゃないかな?」

「前に,式を反対から計算したら最初の数に戻ったよ」

最下段の数値が分からない問題に出合ったら,空白の四角の数字が分かるのだろうかと子どもたちは考えはじめました。問題場面を拡張して考える姿です。この姿は,すごいですね。

さらに,その場合の解決方法のアイディアも生まれてきました。しかし,これは具体的な問題場面が目の前にはまだないので,難しい内容でした。そこで,具体的な問題場面を提示して,「引き算で四角の数字が分かるのか」を実験することにしました。

板書写真のア・イ・ウ以外の数字を四角に記入します。11・2・6です。子どもからは「分かった」と声があがります。

一番簡単に分かる場所はどこの四角かを尋ねます。「ウが簡単」と声があがります。

「11−6で分かるよ」

「6と5で11ができるからね」

ここで,先ほどの引き算のアイディアが活用できることが見えてきました。

4問目は,上の段から19,6,4の数字のみを板書します。残りのア・イ・ウの四角は,すべて引き算で求めることができました。子どもたちからは,「全部引き算でできた」と声があがりました。

25分ほどの授業でしたが,計算ピラミッドを通して引き算が活用することができることが見えた1時間となりました。

本実践は,東洋館出版の「板書シリーズ算数1年生」の教材を活用しています。



2023年11月23日木曜日

大阪で割合の授業公開!

昨日は,大阪の小学校で5年生「割合」の授業公開を行いました。オセロゲームの白の強い盤を判断する問題場面を設定しました。問題提示と同時に「白の数を調べたらいい」という数値化に視点を当てた声があがってきました。割合学習のポイントの一つは,場面を数値化する声を引き出すことです。この点で,すばらしい見方が育っている子どもたちでした。

子どもたちの素直な声が次々とあがる,すてきなクラスでした。最後は割合を小数化する声も生まれてきました。

授業終了後には,「楽しかった!」という声が次々と聞こえてきました。私も楽しい1時間でした! 


2023年11月21日火曜日

きまり発見!

「 1になる式を作ろう」と投げかけます。「これじゃあ,式はできない」「真ん中のを教えて欲しい」などと声があがります。

そこで,引く数(ア)を提示します。ア=1の場合を考えます。「式はできない」という声がありましたが,実験を行うと「10-1=9」の式があることが分かります。式は存在しました。すると今度は,「アを変えてもできる」「アが2なら式は2つできる」と声があがります。子どもたちから,アの数字を変えたいと考える前向きな見方が生まれてきました。

アに2を入れて,実験します。今度は,「11-2=9」「10-2=8」の2つの式があることが分かりました。すると「おもしろいことがある」「次は3」「アが3なら式は3」と声があります。子どもたちは,アに3を入れた時の式の数を予想し始めました。

この気持ちを,時間をかけて共有していきます。きまりを発見できるのは,一部の子どもです。そのきまりを時間をかけて共有していくことが大切です。

果たした,アが3なら式も3つできるのでしょうか。この予想については,半信半疑の子どももまだいます。そこで,実験を行います。

その結果,「12-3=9」「11-3=8」「10-3=7」と3つの式があることが分かりました。子どもたちが見つけたきまりは,一般化できそうです。その後も,ア=4の場合も実験を行います。

きまりを見つけながら,たくさんの計算も進めた1時間でした。


2023年11月20日月曜日

数を分析的に見る

 「小さい方が勝ちゲームをしよう」と子どもたちに投げかけます。

クラスを2チームに分け,代表者が交互に計算カードを箱からり出します。答えが小さい方が1ポイントです。

最初に引かれたのは「11−5」のカードです。それと同時に,「あー」という声が聞こえてきました。そこで,この声の意味を読解していきます。

「少し大きい数だからだよ」

「相手が1だったら,負けるよ」

「1だけじゃないよ。2,3,4,5でも負けるよ」

「でも,7,8,9なら勝てるよ」

「負ける数の1,2,3,4,5は5個あるけど,勝てる数は7,8,9の3個。5個の方が多いから負けるよ」

子どもたちはひきざんの答えの種類を,くじで引かれた答えの6と比較しながら考えることができました。種類数で考えると,後攻のハムスターチームがかなり有利だと考えられます。

ハムスターチームが計算カードを引きます。引かれたのは「14−8」です。なんと多くの子どもの予想を裏切る同点のカードが引かれました。奇跡です!

2回戦はハムスターチームが「17−8」を引きます。答えは9です。「もう負けた」という声がハムスターチームから,聞こえてきます。この声を読解します。

「9より大きい数はないよ」

「1,2,3,4,5,6,7,8を相手が出したら勝つよ」

ここでも答えの9と残りの答えの種類を比べて,ハムスターチームが勝てない理由を説明してきました。

ライオンチームがカードを引きます。なんと「16−7」を引きます。またもや同点。2回連続の奇跡です。子どもからは,「ずっと奇跡?」「仲良しなんだ」というかわいい声が聞こえてきました。

その後もゲームを続けますが,奇跡はここまででした!