2024年6月30日日曜日

明日は福岡!

 福岡に来ています。明日は福岡県内の小中一貫校にお邪魔します。6年生と9年生の授業を参観します。その後,私も授業公開を行います。

中等部に当たる授業を参観するのは久しぶりです。楽しみですねえ!

2024年6月29日土曜日

24㎤になる式

 本日は本校のICT研究会でした。子どもたちに「24㎤になる立体の体積を求める式を読解しよう」と投げかけます。「読解ってなんですか?」と想定外の声があがります。まあ,この意味が分からなければ,問題ができませんからね。

24㎤の体積に取り組む前に,12㎤になる式で練習します。この後に作成するプレゼンのイメージ化を共有する意味もありました。

「3×1×4」の式を提示します。子どもたちは縦3㎝,横1㎝,高さ4㎝の直方体をイメージしました。そこで,私がヒント1の画面を提示します。そこにあったのは,1㎤が3個つながった画像です。想定外の画像に,驚きの声があがります。その後,「L字?」「平ら」「高くなっている」などの声があがります。ヒント1だけでは,立体の状況を確定することはできません。

そこで,ヒント2の画面を提示します。立体を真横から見たものです。L字になっています。これで立体の全体像が見えてきました。

最後に完成した立体の全体像を提示します。

子どもたちには,24㎤になる立体を前記の手順で好きなアプリを自由に選択させ作成させていきました。

活動が始まると,想定以上に時間がかかりました。子どもたちはきれいに立体を並べようとします。さらに,どの向きから写真を撮るのかにもこだわりました。写真を撮影しようとした瞬間に積み上げたブロックにタブレットがぶつかれ崩れ去る・・・なんていう現象も起きました。思い他,画面作成に時間がかかったしまいました。

さて,最後に「3×3×4ー1×1×3×4」という式を作ったM子の式を,全員で読解します。式の前半は,すぐにイメージができました。縦・横3㎝・高さ4㎝の直方体です。問題は,式の後半です。かけ算に3つではなく4つの数字が登場するからです。

この「1×1×3×4」は,さらに前半と後半に分解します。「1×1×3」と「×4」です。前者は,1㎤が3個縦につながった形です。後者は,この立体が4本あるということです。イメージ化できた子どもが,見取り図を作成します。他の子どもたちは手元のブロックで式に合う形を作成します。

M子のプレゼンの最後の全体像の画面では,子どもたちから拍手が起きました。

同じ式でも,様々な見方ができることに気付いた1時間でした。


2024年6月28日金曜日

「−3」の意味は?

前回の学習で疑問として残った「ー3」を取り上げます。
「辺+角ー3のー3は何?」
合同な多角形を作図するために必要な情報数を求めるためには,「辺+角ー3」という式でその数が求められるという考えが生まれてきました。この式で情報数を求めることはできましたが,「ー3」の意味が分かりませんでした。
そこで,三角形と四角形の2つ図形を限定して提示します。三角形は「2本の辺の長さと2つの角度」,四角形は「4本の辺の長さと1つの角度」で作図ができます。
「この図の中に,ー3はあるのかなあ?」
このように尋ねます。しばらくすると「分かった」「あ!」という声があがります。

「情報がない場所だ」
「三角形なら2つの角度ど1本の辺」
「四角形なら3つの角度」

使わない情報という逆転の発想が生まれてきました。子どもたちもこの視点に納得です。五角形でも確かめます。五角形の場合も,作図に使わない情報は3つでした。

「ー3」というのは作図に使わない情報数であることが分かった時間でした。


 

2024年6月26日水曜日

四角形に必要な情報数は?

前回の学習の続きを行いました。
「角の情報があれば,4つの情報で合同な四角形は作図できるだろうか?」

辺の長さ4本の情報だけでは合同図形の作図ができませんでした。しかし,「角度が分かればできるかも」との声があがりました。そこで本時は,角度の情報を与えて実験を行うことにしました。
先ずは「辺3本,角1つ」の情報で実験します。しかし,うまく作図できません。
そこで,「辺2本,角2つ」の情報で実験です。しかし,これでもうまくできません。「右端の長さが分かればできる」と声があがります。そこで,右端の辺の長さが3㎝であることを教えます。すると「できました」の声が次々とあがってきます。つまり,合計5つの情報があれば合同な四角形の作図ができたことになります。
しかし,これは偶然かもしれません。そこで,「辺4本・角1つ」の情報5つのパターンでも実験を行います。結果は,このパターンでも作図ができました。

すると,子どもの中から声があがってきます。
「それなら五角形は7つあればできるね」
「3つ→5つと2つ増えたから,次も2つ増えて7つの情報だね」
「辺の数と角の数をたして,3を引いたらいいんだよ」
「三角形なら3+3−3で3つ。四角形なら4+4−3で5つ。五角形なら5+5−3で7つ」
「おー,すごい!」
「こわーい!」

合同な五角形の作図に必要な情報数7つを導き出す理由が,2つ生まれてきました。中でも後者の式を使った見方には,驚きの声が子どもからあがってきました。

そこで,五角形を実験します。「辺4本・角3つ」の7つの情報で実験です。しばらくすると,「できました」と声があがります。五角形は子どもたちの予想通り,7つの情報で作図できることが分かりました。

すると今度は,「それなら六角形は2つ増えて9つだね」「6+6−3でも9つだね」と声があがります。ここまでの結果をもとに,類推的に場面を拡張する声です。ここで時間となりましたが,最後に子どもから聞こえてきたのが,子どもたちが「こわい」と感じた「6+6−3」の式の中の「−3」の意味でした。「なんで3を引くの?」という疑問が生まれてきました。


 

2024年6月25日火曜日

合同の図形を作図しよう!

「合同な図形を作図しよう」
子どもたちに投げかけます。その後,隠しておいた三角形を一瞬だけ提示します。「もう1回見たい」と声があがりますが,もう見せられないことを伝えます。すると,この条件を聞いた子どもたちが話し始めます。
「辺の長さと角度があればできそう」
「辺の長さだけでできるんじゃない?」
「昨日の勉強で,四角形は長さだけではできなかったよ」
「でも今日は三角形だから,長さだけでもできるかもよ」
「長さと角度でもできるんじゃない」
「角度だけでもできる?」
「いや,角度だけではできないよ」

提示された形が三角形であることは,認識できています。しかし,分かっているのはそれだけです。そこで,辺の長さや角の大きさが分かれば作図できるのではないかという声が生まれてきました。

そこで,先ずは辺の長さ3本の情報だけで作図ができるのかを実験します。結果は,見事合同図形が作図できました。
するとこの結果を見た子どもから,「長さが1本と角度が2つでもできるかも」と声があがります。そこで,この条件でも実験を行います。見事,この条件でも作図はできました。
すると今度は「長さが2本と角度が1つでもできる」と声があがります。この条件でも,作図はできました。
その後,「角3つもできる」と声があがります。しかし,「それは無理だよ」という声もあがります。「無理だ」という子どもたちが説明します。
「角が同じでも,長いのと短いのができる」
「二等辺三角形だとします。下の角度が同じで上の角度も同じだけど,辺の長さが長いのと短いのができます」(例示の図を描きながら説明)
この説明で,子どもたちも納得します。これで,角だけの情報では合同図形の作図ができないことが分かりました。

するとここで,「三角形は3です」と声があがります。この「3」の意味を共有していきます。
「長さ3本の3.長さ1本と角2つで1+2の3。長さ2本と角1つで2+1で3」
「三角形は辺が3本あるから3つの情報なんだ」
「それなら,六角形なら6つできる」
「四角形なら4つできる」
「五角形なら5つでできる」

子どもたちは多角形の辺の本数と合同な作図に必要な情報数が等しくなると考えました。一方,そうはならないという子どももいます。果たして,子どもたちが見出した関係性は正しいのでしょうか。

そこで,「辺が4本」の条件を実験します。4本の長さを教えますが,「それはできないよ」と声があがります。
「だって,昨日の勉強で同じ4本の辺でも,正方形と平行四辺形ができたから,辺だけできないよ」

昨日の学習とつなげることで,辺の情報だけでは作図はできないことが明確になりました。しかし,これだけでは4つの情報で作図ができないことにはなりません。角度の情報があれば4つの情報でも作図ができるかもしれないからです。果たして結果は。この続きは明日に行います。



 

2024年6月24日月曜日

長さだけいいの?

「合同な四角形を見つけよう」と投げかけます。この投げかけだけで,子どもたちが動き出します。
「重ねたらいい」
「だからすぐ分かる」
「長さ・面積・角度が同じだね」
前時の合同条件を自然にふり返る声が生まれてきました。

子どもたちに目を閉じさせ,探していく四角形を提示します。元は青の四角形です。探す対象は赤の四角形です。目を開けてしばらくすると,「④が当たりだ」「⑥も当たりだ」と声が聞こえてきます。なかなかよい感覚をもっています。

さて,ここで子どもたちに「今日は重ねてはだめだよ」と比較条件を提示します。すると「できない」と声があがります。しかし,すぐに「定規と分度器で調べたらできる」と声があがりす。合同の条件が長さ・面積・角度ということは分かっていますので,これらを測定したら合同図形を判別できるという声です。

子どもたちに同じ図形を配布します。定規や分度器を使って測定していきます。最終的に④⑥が合同図形であることが分かりました。測定している中で生まれてきたのが,次の声です。
「長さだけ調べたらいいね」

測定は長さだけでいいのでしょうか。そこで,この声を取り上げます。「長さだけでいい」という声も聞こえますが,「角度もいる」という声もします。このとき生まれてきたのが,4本指を使って例示でした。
「正方形を斜めにすると,平行四辺形みたいになる。形が変わる」
具体例が生まれることで,辺の長さが同じなのに,異なる形が生まれることのイメージが伝わりました。つまり,角度も調べないと合同かどうかを判定できないということも分かってきました。ところが,子どもの声はさらに続きます。
「四角形はそうだけど,三角形は角度いらないんじゃない」
「三角形で辺が同じで違う形ってあるのかな」

合同の図形探しを通して,合同の条件を精査していくこともできました。


 

2024年6月21日金曜日

全く同じ形はどれ?

 「全く同じ形を見つけたら当たり」

このように子どもたちに投げかけます。すると,「簡単だよ」「でも,1㎝位違ったら」と声があがります。そこで「1㎝位違ったら」の言葉の意味を読解していきます。

「全て全部いっしょっていうことだよ」

「長さが同じということ」

「重さも同じ」

「『同じ形』の形を探すから,重さは関係ないよ」

「面積も同じ」

「角度も同じだな」

子どもたちは,「長さ」「面積」「角度」の3つの視点が同じであれば,全く同じ形と判断できると考えました。すると「結構難しいね」と声があがります。「簡単」という当初のイメージは飛んでいきました。さらに,「長さ・角・面積が分からないと比べられないね」と難しさの要因に着目した声があがります。ところが「それなら重ねて比べたらすぐ分かるよ」と声があがります。よい比べ方の視点が生まれてきました。

その後,青の三角形と全く同じ形をカードを裏返して探していきます。

1枚目のカードが引かれます。「うーん,違う?」「小さい」などの声が聞こえてきます。すると今度は,目元に定規を当てたり,2本指で間を測定したりしながら,2つの三角形の長さや角の大きさを目測する姿が見えてきました。目測ではありますが,長さと角度に視点を当てたよき調べ方です。子どもたちの目測では,赤の三角形の辺の長さ短く見えるなどの理由で同じではないと考える子どもが多数いました。

最後は,2つの図形を重ねて調べます。結果は,外れです。赤の方が辺の長さが小さいことが分かりました。

3枚目に引かれたのは,もとの三角形とは反対向きの図形でした。すると,この図形を引いた子どもが,カードを回転させます。この行動の意味を読解します。

「裏返しても同じ形なら,当たりでいいんだよ」

「だから,カードを裏返したんだよ」

「裏返した方が比べやすいね」

そこで,カードを裏返した状態で「全く同じ形」かを考えさせます。裏返すと,青の図形と同じに見えてきます。目測でも辺の長さ,角度が同じに見えました。最後に,2つの図形を重ねて調べます。結果は,ぴったり重なります。

その後も同様に当たりを見つけていきます。2枚の図形を重ねることで,長さ・角度・面積の3つの視点で全く同じ図形を見つけることができることが分かりました。このような図形を合同と言いますが,合同の見方をゲームを通して引き出した1時間でした。