2024年10月31日木曜日

1番大きなゼリーは?

「一番大きなゼリーはどれかな?」
このように子どもたちに投げかけ,3つの図形を順次提示します。子どもの判断は分裂しますが,多くの子どもは全部同じ面積と予想しました。

果たして,本当に同じ面積なのでしょうか? 子どもたちに提示した図形と同じものを配布します。しばらくすると,いろいろな声が聞こえてきます。
「えっ?」
「2は違う!」
「2は小さい」
「3は大きい」
同じと予想していた子どもたちが,それとは異なる結果に戸惑いを見せ始めます。ところが,それからしばらくすると「また同じ」「また同じだ」という声も聞こえてきます。

そこで,1番目(黄),2番目(緑)の図形の面積を求めます。いずれも三角形に分割して面積を求める方法を提示します。

この後,「『また同じ』と言っていた人の気持ちは分かる?」と尋ねます。
「底辺の長さが同じ」
「高さも同じ」
「3番目(赤)も同じだよ」
「3番目も底辺7㎝で高さ2㎝」
共通点に着目するよき見方が生まれてきました。
授業冒頭では異なって見えた図形ですが,底辺・高さの視点で見つめ直すと,いずれも等しい長さであることが見えてきました。
さらに,子どもの声は続きます。
「№80の勉強と似ている。平行四辺形が変わっていくのと同じだ」
「№83も似ているよ。三角形が変わっていくのとも同じ」
「4月22日の№9も似ている。箱の大きさを比べたのと似ている」

半年前の4月の学習とも,考え方や問題場面が似ていることに気づく声も聞こえてきました。素晴らしい気づきの目をもった子どもたちです。


 

たこ型のゼリー

 ゼリーの面積問題も,残り少なくなりました。4本の棒でたこ型を作った子どもがいました。今回は,そのたこ型の面積を求めました。

問題に出合った子どもからは,解決方法のアイディアが生まれてきました。

「切ったらいい」

「直角が必要だね」

「2つの三角形ができるね」

「縦や横に切ったらできるね」

子どもたちは,これらをヒントに面積を求めていきました。今回は,式だけを提示し,式を読解することをメインに展開しました。子どもたちが悩んだのは,「11×8÷2」の式でした。多くの子どもが等積変形を考えていました。しかし,このやり方は倍積変形です。ここに気がつけることが素晴らしいですね。


2024年10月30日水曜日

個別最適の目的はなにか?

 昨日は,個別最適をテーマに淡路島の学校と授業公開を通してその意味を考えました。

算数科でこれまでよく見られる実践は,授業後半の練習問題的な部分を個別最適と位置づけたものでした。そこで登場するのがタブレットです。

このような展開での個別最適の目的は知識・技能の定着です。果たして,このような個別最適な設定は将来の日本を担う人材を育てるという目的から鑑みて妥当なのでしょうか?

残念ながら個別最適が目的化している実践が多いのが実情ではないでしょうか? 個別最適は単なる手段です。手段が目的化していることが現在の現場の大きな問題点です。

なんのために,その場面で個別最適を取り入れるのかを明確にする必要があります。個別最適な場面を設定することで,子どもがなにか新しいことをそこに見出す,問いを見出すことが必要だと私は考えています。そこで見出されたことを,再び全員での学びの舞台に取り上げ,協同的な学びの軸に設定していけばいいのです。

単に知識・技能の定着が目的の個別最適であれば,塾となんら変わりはありません。

2024年10月29日火曜日

ゼリーの面積最大は?

 子どもたちに「ゼリーの面積が大きいのはどれかな?」と投げかけます。3種類の図形を順次提示します。

「3番目が大きい」

「全部同じ」

「№80でやった形は,高さが同じで面積も同じだったから,これも同じ」

「もう1回見たい」

子どもたちは,しっかりと1回目の提示の図形を見ていませんでした。そのため,子どもの判断にはズレが生まれてきました。

そこで,2回目の提示を行います。子どもたちは,自分の席から定規を目に当てて,辺の長さを測定しようとしています。

子どもの自席からの測定では,底辺は同じ長さでした。しかし,高さは同じか自信のない子どももいました。そこで,紙に印刷された図形で長さを確認します。

結果は全ての底辺も高さも等しいことが分かりました。従って,面積は全て同じでした。

後半は,自分で底辺の長さと高さを設定し,3種類の三角形を自由に作図させました。同じ長さのパターンで20種類以上の三角形を作図する子どももいました。



三重県伊賀市を訪問

昨日は三重県伊賀市を訪問しました。訪問前に新堂駅前の図書館&カフェも訪問しました。2階が図書コーナー,1階がカフェも兼ねた読書スペースになっていました。駅前にこんな素敵な図書館があるなんて,地元自治体の教育に掛ける意気込みが伝わる施設でした。

訪問校では伊賀市指定研究発表会が行われました。3本の公開授業が行われました。いずれの授業も,問いが連続することを前提にした指導案が作成されていました。小学生の学びの実態に合ったすばらしいプランニングです。この発想で作られた指導案は全国を見回してもそうそうありません。
実際の授業では,授業者の想定外の発想が子どもから生まれてきました。授業者は内心困っていたようですが,子どもに寄り添って授業展開を修正していました。指導案を捨てた展開でした。この大胆さも大切ですね。きっとこれからもよい授業が展開され,子どもたちも算数が好きになってくれるでしょう!




 

2024年10月27日日曜日

明日は三重県伊賀市を訪問

 明日28日(月)は三重県伊賀市の公立小学校を訪問します。伊賀市の指定研究発表会です。私は,昨年から校内研究に何回か関わっています。先生方の学びの姿が高い,やる気に満ちた教師集団です。きっと明日もよい授業が展開されるのではないでしょうか。訪問が楽しみです!

2024年10月24日木曜日

子どもたちに次のように投げかけます。
「三角形の面積は,引っ越し作戦じゃないと求められないのかな?」
前回,三角形のゼリーの型枠の面積の求め方を考えました。その際は,倍積変形・等積変形のアイディアが生まれました。しかし,これらは操作活動が必要です。そのため「面倒」という声があがりました。その声を受けた問題文です。

この問題に出合ったすぐに聞こえてきたのが「二等辺三角形だけできるんじゃない?」という声でした。前回取り扱ったのは特殊な三角形です。従って,その方法が一般化できるのかどうか不安に思うのは当然です。子どもたちもこの方法が一般化できるかの判断にはズレが生まれました。

そこで,一般三角形で実験を行います。2枚つなげることで平行四辺形に変身することができました。
一方,二等辺三角形の上の頂点から底辺部に垂線を下ろして,右半分を左に移動して長方形を作る方法はうまくできませんでした。

ところが,この垂線を下ろした後で,別の操作を行えば長方形ができると声があがります。垂線で生まれてきた左右の三角形をコピーして、別々に隣につなげることで,長方形が完成しました。前回とは異なる操作ですが,長方形に変身することができました。
これらの活動を通して,三角形の面積は「底辺×高さ÷2に結局はなっている」と,求め方の共通点を指摘する声が聞こえてきました。

これらの求め方に対して,「でも,ヘンテコな三角形ならできるのかなあ」という疑問の声があがります。斜めに大きく傾いた三角形です。
そこで,この三角形を実験していきます。その結果,平行四辺形にも長方形にも変身することができることが分かりました。長方形は,そのままでは難しいので回転してから長方形に変身するアイディアが生まれてきました。
さらに,三角形はそのままの状態でも,分割部分をうまく移動して,長方形と平行四辺形が合体した形に変身するアイディアも生まれてきました。この発想には私もびっくりしました。子どもの発想は柔軟ですねえ!