2024年4月18日木曜日

箱の中身を比べる

 周りの辺の長さが72㎝の箱を作りました。見た目では,中身の大きさが同じなのか違うのかはっきりとしません。

そこで,「どうやって中身の大きさを比べますか」と尋ねます。

子どもからあがってきたのは,「水を入れる」というアイディアです。このアイディアを巡る子どもたちのやりとりです。

「紙がやぶけちゃうよ」

「それならラップをしたらいいよ」

「でもさあ,隙間から水が漏れるよ」

「紙テープで補強したらいい」

こんなやりとりをしている間に,既に箱を補強し始める子どもたちが何人も現れます。水にやる気満々のようですが・・・。

ここで子どもたちに,「水を入れてどうするの?」と尋ねます。

「ますに入れて,目盛りを読む」

「目盛りを読んだら,何mLで比べられる」

水を入れることで,箱の中身の大きさを数値化で見える化できることが分かりました。

子どもたちの思いは,どんどん水実験に傾いていきます。そこで,水を入れて実験することにしました。ところが,隙間から水がもれたり,うまく水を入れられなかったりして正確には測定ができません。

そこで,「もっと正確に調べる方法はないかな?」と尋ねます。子どもたちが声をあげます。

「プラスチックで箱を作ったら,水は漏れない」

「金属でもいいねえ」

「それはできないよ」

「砂を入れるのはどうかな」

水から砂へと箱に入れるものが変化していきました。ここで,「砂を入れてどうするの?」と尋ねます。すると,「重さで比べる」と声があがります。重さであれば,見えない箱の中身の大きさを見える化できます。

そこで,砂場に行って砂を入れて重さを測定することにしました。結果は,箱の種類によりかなりの重さの幅があることが分かりました。立方体の重さが最大になりました。従って,立方体の中身が最大と言えそうです。ところが,立方体の重さにズレが生まれます。

「261g」

「290g」

「340g」

「360g」

「375g」

100g以上のズレが生まれました。この結果を見た子どもからは,「なんで?」「正確じゃない」と声があがります。正確に調べられると考えいた砂でしたが,うまくいきませんでした。

ここで聞こえてきたのが,「ブロックを入れる」という声でした。しかし,この日はここで時間切れ。続きは明日行います!


2024年4月17日水曜日

一番大きな箱を作る

子どもたちに「周りの辺の長さの合計が同じ四角い立体があります。立体の中身の大きさは同じかな?」と尋ねます。
ここで面積の学習を想起する声があがります。
「面積はそうじゃなかったよ」
「でも,それは面積でしょ。今日のは面積じゃないよ」
「面積も箱も(考え方は)同じだよ」
「粘土で四角い形作っても,丸い形作っても,粘土は変わらないよ。だから箱も同じだよ」
「でも,辺の長さは違うよ・・・」

同じ派,違う派,両者の意見が乱れ飛びます。子どもの考えにズレが生まれます。そこで,自分が中身が大きいと考える箱の見取り図をノートに描かせます。曖昧なイメージを明確にするためです。
子どもたちが作図した見取り図は,実に様々でした。立方体もあれば様々は形の直方体もありました。その後,辺の長さの合計が72㎝と決め,展開図作りを進めました。最後は,蓋なしの立体を組み立てました。果たして,箱の中身は同じなのでしょうか・・・。
結果は次回の算数で追求します。


 

2024年4月16日火曜日

じゃんけんアップダウンゲームⅡ

 小数学習の集大成として,じゃんけんアップダウンゲームⅡを行いました。類似のゲームは少し前にもしていますが,今回はルールが少し変わります。

勝ったじゃんけんの種類によって,持ち点がアップダウンします。

グーで勝つ 2倍(1/2倍)→( )内は負けた相手の得点変化

チョキで勝つ 10倍(1/10)

パーで勝つ 100倍(1/100)

このルールを聞いて,「だったら,ずーっとパーを出したらいい」という声があがります。ところが,その声に対して「だったらチョキを出したらいいよ」という声が続きます。相手の心理の裏を読み取ろうとする作戦です。結局,「普通にじゃんけんした方がいいんじゃないの」と声があがります。

最初の持ち点は,今日の日付から16点に設定しました。一斉にじゃけんを始めます。小数の集大成ですので,1/10や1/100倍の際の小数点の変化をていねいに確認します。

最終的に,勝負は大差がつきました。25分ほどのゲームでの小数復習授業でした。



2024年4月15日月曜日

本当に0.09㎜?

 子どもたちに,次のように投げかけます。

「コピー用紙の厚さは0.09㎜です」

ここまで問題文を板書したところで,「それって本当?」という疑いの声が聞こえてきました。そこで,問題文に続けて,次の言葉を付け足します。

「これって本当?」

子どもからは聞こえてきたのは,次の声です。

「測れないよ」

「薄いけどできるよ」

「定規の目盛りは1㎜までしかないよ」

「でも,1/10くらいは測れるよ」

子どもたちが持っている定規で,0.09㎜を測れるのかが話題となりましたが,なんとかできるのではないかとの声も聞こえてきます。そこで,コピー用紙1枚に定規を当てて測定してみることにしました。

結果は・・・,測れません。すると子どもたちは紙を折り始めます。折ることで定規で測れるようにしようと考えたのです。しかし,これでもズレがうまれてうまくいきませんでした。

そこで「100枚ならできる」と声があがります。この声の意味を共有していきます。

「1枚は0.09㎜だと測れない。だから,100枚にする」

「100枚なら,0.09㎜の100倍だから9㎜になる」

「9㎜なら定規で測れる」

100倍すると,小数点が右に2個移動します。0.09㎜が9㎜に変化します。これなら定規で紙厚を測れます。

そこでコピー用紙100枚の厚さをチームごとに測定することにしました。しばらくすると,「本当に9㎜だ!」という感動の声が聞こえてきました。

100枚で9㎜ということは,1枚なら9㎜を1/100にするので小数点が左に2個動きます。結果は,0.09㎜となります。コピー用紙会社の説明通りの結果となりました。

100倍・1/10倍と小数点の移動の関係を使って,コピー用紙の紙厚を調べていきました。



2024年4月13日土曜日

『小学校算数「きまり発見」の授業のつくり方』5月24日刊行!

算数授業で最もよく聞こえてくるのが「きまりがあります」という声です。この声は1年生でも自然に発する声です。このきまり発見をベースに,類推・一般化・演繹など様々な数学的な考え方へと子どもたちの数学的な考え方を培っていくことができます。

きまり発見をベースにした数学的な考え方を培う授業のつくり方に焦点を当てた本が,いよいよ5月24日に明治図書から刊行されます。刊行迄,もう少しお待ちください!


 

2024年4月11日木曜日

50に近い方が勝ち!

子どもたちに「50に近い方が勝ちゲームをしよう」と投げかけます。
十の位〜小数第3位までの空欄がある数を設定します。その中に,裏返された数字カードから1枚を開き好きな位に入れていきます。数字カードは,0〜9の10枚です。同じ数字は1枚しかありません。
このルールを説明しただけで,子どもが話し合いを始めます。
「それなら十の位に4か5を入れたらいい」
「5なら一の位は0か1」
「4なら一の位は9か8」
「4か5が出ても,その後の数もあるから,4・5だけでは勝負は決まらない」
「例えば59になったらアウト」
具体的な数字を例に出しながら,説明を進めることができました。このように具体例を提示して話を進めると,50に近い数のイメージが持てます。

その後,ゲームを進めます。1回戦は,29.601対53.478という結果となりました。
続いて2回戦を行います。「4□□□」対「2.□□□」(グラウンドチーム)までカードが引かれました。グラウンドチームが2のカードを一の位に入れましたが,このままではグラウンドチームは負けてしまいそうです。
こんな状況で聞こえてきたのが,次の声です。
「次は5が出てほしい」
「5は1/7で出る」
突然,分数の話題が生まれてきました。そこで,この意味を読解します。
「残りのカードは8枚。相手が次に引くから,5が出るのは1/8」
「もし相手が5を引かなければ,グラウンドチームが5のカードを引くのは1/7になる」
「5じゃないカードが出るのは6/7」
子どもたちは,分数を使うことで,5とそれ以外の数字が出るリスクを確率的に考えていったのです。5年生は割合の学習を行いますが,そこにつながる見方が生まれてきました。
最終的に,41.635対92.078という結果になりました。出てほしいと願った5を出すことは,グラウンドチームはできませんでした・・・。
小数の学習を通して,割合の見方につながる考えが生まれてきた1時間となりました。


 

2024年4月10日水曜日

じゃんけんアップダウンゲーム!


子どもたちに「じゃんけんアップダウンゲームをしよう」と投げかけます。
クラスを2チームに分けます。最初の持ち点は両者123点です。代表がじゃんけんを行い,勝ったら得点が10倍,負けたら得点は1/10になるルールです。
このルールを聞いた子どもから,声があがります。
「1/10だとわれないんじゃない?」
「えっ,われるよ」
「負け続けると,小数になるよ」
「もし1点なら,負けたら0.1点になるよ」
「たくさん負けたら,小数になるんだよ」

負け続けると,小数に数値が変化していく見通しが生まれてきました。
さて,この見通しは本当でしょうか? 持ち点123点でスタートします。
ゲームが進んで,両者の得点が「1.23」対「12300」という大差になりました。ここで生まれてきたのが,次の声です。
「100倍したら同点になる」
「小数点が2個動く」
倍数と小数点の動きに関係性があることを指摘する声です。しかし,この声はすぐには共有されません。なぜなら,かなり抽象度の高い説明になっているからです。

そこで,この声の意味を考えていきます。
「1を10倍すると10になって,小数点が1個右に行く。もう1回10倍すると,また小数点が1個右に行く」
「10倍,10倍で100倍だから,小数点は右に2個動く」
「小数も同じで,1.23を10倍したら12.3になって,小数点が右に1個動く。12.3を10倍したら,また小数点が1個右に動く。100倍したら,2個右に動く」
「だから,整数と小数は100倍したら同じように小数点が動く」

整数値を10倍,100倍した見方を,小数の世界にも当てはめていく見方が生まれてきました。見方が適用できる範囲を拡張した説明です。このような見方で対象を見つめていくことは,算数では大変に価値のあることです。よい見方が生まれてきました。
この説明で,全員が倍数と小数点の動きを納得することができました。

その後もゲームを続け,最後は両者仲良く引き分けという結果で終わりました。