次のように投げかけます。
「周りの辺の長さが32㎝の正三角形と正方形,面積が大きいのはどっち?」
正方形が大きいと考える子どもが多くいました。彼らは,次のように考えていました。
「三角形は最後に÷2をするから,一気に小さくなる」
「辺が4本だと大きいかも」
一方,正三角形が大きくなると考える子どもは,次のように考えました。
「1本の辺の長さは正方形よりも大きいから」
さらに「周りの長さが同じだから,面積も同じ」と考える子どももいました。いずれも納得できる理由です。
そこで,実際の面積を計算します。
正方形は,簡単です。「32÷4=8 8×8=64(㎠)」と計算できます。一方,正三角形は高さが分かりません。そこで,高さの情報9.3㎝は提示します。計算すると「32÷3=10.666≒10.7 10.7×9.3÷2=49.755(㎠)」となります。つまり,正方形の方が面積が大きいことが分かります。
すると,この結果から「辺の数が大きい方が面積が大きくなるのではないか」という予想が生まれてきます。きまりへの予感です。ほとんどの子どもたちは,この予想通りになると考えました。
そこで,正五角形,正十六角形と順に面積を求めます。子どもたちは中心を頂点とする二等辺三角形の面積を求めて,それを辺の数だけ倍をする方法で面積を求めました。
結果は,辺の数が大きくなるほど,面積が増えていくことが確かめられました。
すると,「円が一番大きい?」と声があがります。多くの子は,「円が最大」と考えます。一方,「円には辺がないよ」「曲がっているから,きまりは当てはまらないかも」「とんがっているところが,円にはないから違うかも」と考える子どももいます。図形の構成要素の要件が,それまでの正多角形と円では明らかに異なります。そこが違和感の原因となっているのです。
子どもの円の面積の予想は分裂したままで時間切れとなります。これで円の面積を求める必然性が生まれてきました。実際の面積は次回求めます!