2018年12月20日木曜日

2つの観点を組み合わせた二次元表

4年生「整理のしかた」の学習です。この学習の前半は,二次元表にデータを整理する学習を進めます。けがの種類と発生場所などのデータを二次元表に整理する素材が,教科書などでは取り上げられています。

二次元表の整理の仕方を学習した子どもたちに,アンケートを行います。犬が好きか嫌いか、ネコが好きか嫌いかのアンケートです。30人の子どもたちにアンケートとった結果を発表します。発表は,右のようなカードを1枚ずつ黒板に貼りながら進めます。上のカードなら「犬は好き・ネコは嫌い」となります。一番下のカードなら「犬もネコも好き」となります。
これらのカードを,バラバラに黒板に貼ります。子どもたちは,「もっときれいに並べたい」と声をあげます。この声が,表につながっていく布石となります。バラバラに貼られたカードを,子どもたちは「犬だけ好き」「ネコだけ好き」「両方好き」「両方嫌い」の4つに分類して整理します。その後,「だったら表にもできる」と声があがります。そこで,この結果を表に整理していきます。

子どもたちはどのような表に整理するでしょうか。前時までの学習をもとに,ほとんどの子どもたちは右のような表に整理をしていきます。この表に整理したことで,子どもたちは満足感を持っていました。
ところが,表が完成してしばらくすると「あれ」という声が聞こえてきます。
「なんか変だよ」
「そんなことないよ。ちゃんと表に整理したよ」
「だって,合計が60人だよ」
「本当だ。なんで?30人しかいなのに,合計が60人になるのはおかしい」

子どもたちは,前時までの学習をもとに二次元表にデータを整理したのです。これまで通りの方法で整理をしたのです。ところが,合計数が異なるという不思議な事実に出会います。

子どもたちは,合計数が実際の人数の2倍になっていることに着目します。そこから,このからくりを探り始めます。
「2回カウントされているよ。だって,犬が好きでネコが嫌いな人は,アに入るしエにも入るよ」
「本当だね。犬もネコも好きな人は,アにもウにも入っている」
「両方嫌いな人も,イにもエにも入っている」
「だから,どのカードも2回カウントするから,2倍の60人になるんだ」

これまでの二次元表ではデータをうまく整理できないことが見えきました。子どもの中には,「だったらベン図を使えば整理できる」と考える子どももいました。教科書では左の表に整理する展開が見られます。この表自体は教師から教えないと子どもからは生まれてきません。しかし,いきなりこの表を与えるのではなく,一度,前時までの二次元表に整理したくなる場面設定を行うことが大切です。その上で,この表の限界に気づかせるのです。その上で,2つの観点を組み合わせる表に出会わせることで,子どもたちはこの表の便利さをより実感として体験することができるのです。