子どもたちに「お話に合う絵はどれでしょう」と投げかけ,次の問題文を提示します。
「籠に玉が5個入っています。後から2個入れたら,玉は全部で何個ですか」
問題文を板書する途中から,子どもたちが様々なことを呟きます。
「増えるのかな」
「たし算じゃないかな」
問題文から,その先を予想していく声が生まれてきました。
さて,1枚目の動画を提示します。5個と2個の玉が同時に籠に入る動画です。動画を見た子どもからは,「合ってる」という声が聞こえてきました。ところが,しばらくすると「だめー」という声も聞こえてきました。「合ってる」「だめ」のズレが生まれてきました。
「合ってる」と考える子どもたちは,たし算だから「合ってる」と考え,両手を頭上で合わせるジェスチャー表現までしています。
一方,「だめ」という子どもたちもいます。彼らは,次のように考えました。
「先に5を入れるんだよ」
「『籠に玉が5個入っています』だから,最初から入っているんだよ」
「(前の)ワニみたいにするんだよ」
ワニの発言は,増加場面の学習で子どもから生まれてきたジェスチャー表現のことです。この「ワニ」に意味を共有していきます。
「最初に5個あって,そこに2個増えるからワニだよ」
子どもたちは,ここでも両手を使ったジェスチャー表現を使いながら増加場面の動きを表現していきました。1年生では,言葉だけで理解を進めるのは難しいのです。そのために,このようなジェスチャー表現が考えを共有していく上で有効に働きます。
これらの話し合いから,最初の動画は合併場面であるために,問題文に合っていないことが見えてきました。そこで,もう1枚の動画を提示します。今度は最初から籠に5個の玉が入っています。その後,2個の玉が籠に入る動画を見た子どもたちは,「そうそう」「これこれ」と声があげました。
合併と増加の場面を,両手を使ったジェスチャー表現を行うことでその違いを明確にしていくことができた1時間でした。