2021年1月28日木曜日

2連続の部屋が知りたい〜数の列車〜

 2年「1万までの数」の学習場面です。子どもたちに次のように投げかけます。

「数字列車の数字はいくつでしょうか」

最初に提示したのは次の問題です。

①-5000-6000--8000--

子どもたちは,見えている数字の情報をもとにの中の数字を見つけていきました。

2問目は,先ずは6個のだけを提示します。そして,子どもたちに求めてほしい場所に磁石()を貼ります。

②-------

磁石が貼られていない場所の数字は,この段階ではまだ空欄のままです。そこで,次のように子どもに投げかけます。

「どの場所を先に知りたいですか」

①の問題では,左から順に数字を入れていきました。この経験値から考えると,一番左のの数字を知りたくなりそうです。ところが,子どもからは別の声があがります。

「2つつながった-を知りたい」

「それが分かれば,全部分かるよ」

2つ連続する数字が分かれば,その他の場所の数字が全て見えてくるという主張です。しかし,この声の意味は一度では全員に伝わりません。時間をかけて共有化していきます。

「1つのだけ分かっても,だめだよ。もし,1つのが5000だとします。これだけだと,右のは,増えていくかもしれないし,減っていくかもしれない」

「増えたとしても,1000増えるのか2000増えるのか,これだけでは決められない」

「2連続で,もし2000-3000なら,1000ずつ増えると決められる。だから,2連続の場所を先に知りたい」

知りたい場所を子どもに尋ねたことで,子どもたちは数の変化のきまりを見つけるために必要な情報数やその位置関係に視点を当てて考えていくことができました。

数の変化を問う問題は,数と計算領域では必ず見かける問題です。機械的な指導になりがちですが,知りたい数値の場所を子どもに尋ねることで,子どもが主体的に数に働きかける瞬間を引き出していくことができるのです。



2021年1月26日火曜日

何文字あるのかな?〜きまりで次の単位が分かる〜

 2年生の子どもたちに,次のように投げかけます。

「何文字あるのかな?」

子どもたちは,しばらく前に2351文字の平仮名を数える学習を行っています。その経験があるため,「えー,また」と喜び!?の声をあげます。

さて,2351文字調べの経験から,子どもたちが次の話し合いを始めます。

「千の固まりを使えばいいね」


「百の固まりでもいいね」

「前は2行で100文字だった。これなら簡単だね」

「千の固まりで数えていけば簡単だね」

数えるためのよい視点が生まれてきました。

ここで,文字数がどれくらいあるのか予想を立てさせます。予想値は次のようには様々でした。

3200文字,4000文字,9000文字,3900文字,

予想値を考えるとき,2351文字のプリントを見ているI子の姿が見えました。この姿の意味を,クラス全体に投げかけます。

「2351文字が何個分くらいあるのか,比べて考えた」

「前は2行で100文字だったから,2行が何個分入るのかを比べている」

既習の2351文字と比較することで,現在の問題の文字数を予想できると考えたのです。このI子の気持ちを読解することで,自分の予想値を変えたいと思った子どももいました。その子どもたちは,次のように予想を修正してきました。

3300文字→6500文字  3600文字→6600文字

5900文字→6700文字  5700文字→7725文字

2351文字プリントと実際に比較することで,的確な予想値へと修正することができました。

予想した子どもたちからは,「同じプリントがほしい」と声があがります。プリントを配布します。すぐに子どもたちは文字数を調べ始めます。

調べ始めるとすぐに,次の声が聞こえてきました。

「2行で100文字だ」

「20行で1000文字だ」

「千で1固まりと考えたら,1000,2000,3000と数えやすいね」

1000ずつの固まりを作って数えるよさに気付く声が聞こえてきました。

1000文字ずつの固まりに印を付けていきます。しばらくすると,「1000の固まりが7個だ」「えっ,10個だよ」と声があがります。同じ文字を数えているのに,ズレが生まれてきました。

文字数が多いため,20行毎に印を入れているつもりなのに,実際は21行や19行で印を入れていたようです。そのズレが,1000の固まりの数のズレになって表れたのです。

再度,1000の固まりの数を調べ直していきます。その結果,固まりの数は10個あることがはっきりとしました。

「1000の固まりが10個でいくつになるのか」


答えは1万(10000)ですが,この数自体は子どもには未習です。そこで,次のように子どもに投げかけます。

「1000の固まりが10個集まった数は,まだ習っていないよね」

すると,素敵な呟きが聞こえてきました。

「1000の前にならった数は,100だったでしょ」

新しい数の表記を考えるために,前の1000を作り出した学習を想起したのです。この想起をきっかけに,次のように声が続いていきます。

「100の前は10を習ったでしょ」

「10の前は1を習った」

「0が1つずつ増えている」

「階段みたいになっている」

「だったら,1000の次も0が1つ増えて10000になる」

「それなら,この後も0が1つずつ増えていくね」

「どんどん0が増えて,大きな数が作れるね」

「千の位の最高は9999。ここに1増えると9が10になる。そうなると位が1つ増えるから,左側に数が増えていく」

1000が10個の表記を,これまでの数の学びの過程から類推していくことができました。さらに,その学びを活かして,10000から先の数の変化も類推していくことができたのです。学びを深める姿が生まれてきました。

1万文字の文字の多さを実感することだけでなく,数の位取りの変化を既習の学びとリンクさせることで発見していくことができた1時間となりました。








2021年1月24日日曜日

割合指導は分数で!

 昨日,割合指導をテーマにしたオンラインセミナーを実施しました。割合指導のポイントは,問題場面を分数で表現することです。全体量(もと)を分母に,部分量(比べられる量)を分子に位置付けます。

バスケットボールのシュートをします。「10回中7回入りました」という問題場面では,7/10と表現したくなるのが子どもの自然な発想です。

割合の導入場面では,「赤っぽいのはどちらでしょうか」「青っぽい空はどとらでしょうか」という実践をこれまで行ってきました。この実践は,全国の学校でも飛び込み授業を行ってきました。どの学校でも,分数表記は生まれてきました。やはり分数で表現するのが子どもの自然な感覚なのですね。

オンラインセミナーでも紹介した「まるごと割合の指導」(小学館)には,5年生「割合」単元の授業の展開はもちろん,その前後の割合につながる系統的指導についてもまとめています。2013年発刊のため,すでに小学館では取り扱いが終わっているようですが,Amazonなどのサイトでは中古本が出ています。ご興味のある方は,お求めください。




2021年1月22日金曜日

子どものこだわり〜式に0はいるの?〜

 前回お知らせした授業の翌日,次の問題を子どもたちに提示します。

「千の位が9,百の位が6,十の位が4,一の位が0の数は?」

子どもたちは,この数と式をノートに書いていきます。数字は9640です。この数字は全員が同じになりました。ところが,この数字を求める式にズレが生まれてきました。多くの子どもが書いたのは,次の式です。

9000+600+40=9640

ところが,「違う式を書きました」と声があがります。その式は次のものです。

9000+600+40+0=9640

「+0」が追加された式です。この「+0」に対して,「それはいらないよ」「昨日,やったよね」と声があがります。

前日の学習では,「+000」「+0」を式に入れると位が増えたときに大変なことになる。だから,意味のない「+0」の式は省略することを学んでいます。この既習学習から生まれた声です。子どもたちは,素直な学びの履歴で「+0」の式に向き合っていることが分かります。

さて,ここでは「+0」の式を入れた気持ちを全員で読解することにします。

「問題に『一の位が0の数は』と書いてあるから,+0を入れたんだと思う」

このように読解することで,子どもたちの気持ちに変化が生まれてきます。

「+0は,この問題ではいるね」

「式は問題の通りに書くと勉強したでしょ。だから,問題には『一の位が0』と書いてあるから,+0はいるよ」

「問題の『千の位が9』は式の9000でしょ。問題の『百の位が6』は式の+600でしょ。問題の『十の位が4』は式の+40でしょ。だったら,問題の『一の位が0』も式に+0と書かないとだめだよ」

「もし,『千の位が6,百の位が1,十の位が2の数は』という問題なら,6000+100+20でいいでしょ。でも,この問題は『一の位が0の数は』と書いてあるから+0はいります」(K子)

K子は式に+0がある場合とない場合では,問題文が変わることを「6120」を例に説明を行ったのです。今,話題になっている問題場面と反対の場面を例示できることは,2年生段階の子どもたちとしてはすばらしい見方・考え方です。

子どもたちは,+0の式を一律に省略するのではなく,問題状況に応じて使い分けることを学んでだ間ともなりました。



2021年1月21日木曜日

子どものこだわり〜000はいるの?〜

算数の授業で1万迄の数の学習を進めています。

先日,数字を式で表す場面がありました。子どもたちは,次のように数字を式で表現していきました。


3900300+900   ②50705000+70   ③67426000+700+40+2


 4問目の問題は,「3085」でした。この問題も「式にできる」と子どもたちは考えました。多くの子どもは,「3000+80+5」と立式しました。ところが「他の式もあります」と声があがります。その式は,

3000+000+80+5

でした。この式を見た子どもから,000ってなに?」という声や,000はいらない」という声があがってきます。


 先ずは,「000」の意味を共有していきます。

「百の位の数字は0でしょ。だから,000とかいた」


 意味の共有ができると,この「000」が必要か否かの話し合いが始まります。

000はない数だから,いらないよ」

000があった方が,3085の百の位の数字が0ということが分かる」

「それなら,あってもなくてもいいのかな?」

 

 両者それぞれの意見が生まれてきました。するとここで,次の声が聞こえてきます。

000を入れるなら,②の問題も0を入れないといけなくなるよ。50705000+000+70+0になる」

「それなら①もだよ。39003000+900++0になる」


 それまでの子どもたちの話し合いの視点を転換する意見の登場です。「000」を式に入れるのであれば,これまでの式表現の仕方も変えなければいけなくなるという視点です。素晴らしい発想です。

 この意見に対して,

「それなら,000を入れた方が分かりやすくなる」

「百の位,一の位の数字が0だということがよく分かる」

という声があがります。これまでの式表現を見直したい気持ちになった子どもたちも生まれてきました。すると,今度は新たな視点が生まれてきます。


「もっと大きい位になったら,式に0を入れると大変になるよ」

 子どもたちが学習しているのは,まだ千の位迄です。もし,この位がもっと拡大し「1020304050」になったら,「1000000000+000000000+20000000+0000000+・・・」となり,0を書くと大変なってしまいます。0を式に入れる限界を指摘する声です。こちらも素敵な声です。

 式における0の存在の必要性を深く考える1時間となりました。






2021年1月20日水曜日

平仮名は何文字?

 2年生の子どもたちに,「平仮名は何文字ある


かな」と投げかけます。右の平仮名を大型テレビに投影します。子どもたちに,パッと見た予想の数値を考えさせます。

1081,460,900,950,

3050,6000,3500

予想の数値にズレが生まれました。この予想をしているとき「6000はありえない」と声があがります。その理由を尋ねます。

「平仮名は46文字でしょ。それが17行くらいあったと思うから,6000文字は多過ぎだと思う」

「平仮名は五十音だから,50文字あるんじゃないかな」

子どもたちはパッと見ただけで,投影された文字が五十音の並びであることを見抜いたのです。さらにそこから,五十音の総文字数から全文字数を類推できると考えたのです。鋭い見方が生まれてきました。

子どもの予想にズレが生まれました。子どもたちは,「文字の書いてある紙がほしい」と考えました。そこで,平仮名の書かれたプリントを配布します。子どもたちは,一斉に文字数を数え始めます。

数え始めてしばらくすると,次のような声があがってきました。

「1行分が分かれば,何文字かすぐに分かるね」

「100の固まりを作ると簡単だね」

「それなら1000の固まりを作った方が,もっと簡単だよ」

「1行が50文字あるよ」

「だったら,2行で100文字だね」

「4行なら200文字だ」

2行分で100文字分あることの発見で,子どもの追究が一気に加速します。文字を100文字ずつ線で囲み,100の固まりが見えやすくしていきました。その後,100の固まり,1000の固まりとそれらの数を調べていきました。

最終的に,子どもたちは文字の総数が2351文字であることを突き止めます。

1000が2個で2000


 100が3個で 300

  10が5個で  50

   1が1個で   1

位毎の数を合計していくことで,2351文字であることを見つけることができました。

子どもたちは,100や1000の固まりで数えるのが簡単だと捉えていました。その理由を次のように説明します。

「固まりで数えると,途中でもどこまで数えていたのかすぐに分かる」

「100や1000は切りがよい数だから分かりやすい」

「100ずつ数えると,速く計算ができる」

「前の勉強でひよこの数を調べました。その時も,固まりで数えると速く計算ができました。その勉強と似ています」(R子)

ひよこの数を調べる学習では,10の固まり,100の固まりで数えるよさを学びました。R子はその学習と,今回の学習の見方・考え方が共通している点に気付いたのです。素晴らしい指摘です。

100の固まり,1000の固まりで数えるよさを,実際に2351文字の平仮名を数える体験を通して発見していくことができた1時間でした。




2021年1月18日月曜日

教室は1mだらけだ!

算数の学習で,1mという新しい長さの単位があることを学習しました。その後,紙テープを使って,My1m定規を作成しました。紙テープに,先ずは10㎝刻みで目盛りを入れます。次に,それらの刻みの中間地点に,今度は5㎝刻みの目盛りを入れていくという手順でMy1m定規を作成しました。

 

 完成したMy1m定規を使って,教室にある様々な長さを測定します。自分の机の高さ,床からホワイトボードまでの高さ,大きなテーブルの横幅は全員で測定します。この3つの測定が終わった子どもから,好きな場所の長さを測定することにしました。

 子どもたちは,教室中のありとあらゆる場所の長さの測定を始めました。しばらくすると,「ぴったり1mだ」という声が聞こえてきました。右写真の踏み台の横幅が,ぴったり1mあることを発見したのです。


すると,この発見をきっかけに子どもたちの視点は,学校にある1mぴったりの長さ探しへと向かいます。


 1mぴったりの長さは,他にもあるのでしょうか?
 子どもたちの再測定が始まってしばらくすると,それらが見つかります。


廊下側窓枠の横幅

掲示板の縦

ハンガー掛けの縦のポール


この結果から,次の声が聞こえてきます。

「掲示板の縦が1mということは,窓は正方形だね」

「本当だ。窓は正方形なんだ」


以前に学んだ正方形の図形学習と長さの学習が,ここでリンクしてきました。よい視点が生まれてきました。また,次の声も聞こえてきました。


「教室は1mだらけだ」


本当に1mの長さは意外に多いのです。これも実測を行ったからこそ感じることができたのでしょう!やはり,このような実測体験は大切ですね。