2021年1月22日金曜日

子どものこだわり〜式に0はいるの?〜

 前回お知らせした授業の翌日,次の問題を子どもたちに提示します。

「千の位が9,百の位が6,十の位が4,一の位が0の数は?」

子どもたちは,この数と式をノートに書いていきます。数字は9640です。この数字は全員が同じになりました。ところが,この数字を求める式にズレが生まれてきました。多くの子どもが書いたのは,次の式です。

9000+600+40=9640

ところが,「違う式を書きました」と声があがります。その式は次のものです。

9000+600+40+0=9640

「+0」が追加された式です。この「+0」に対して,「それはいらないよ」「昨日,やったよね」と声があがります。

前日の学習では,「+000」「+0」を式に入れると位が増えたときに大変なことになる。だから,意味のない「+0」の式は省略することを学んでいます。この既習学習から生まれた声です。子どもたちは,素直な学びの履歴で「+0」の式に向き合っていることが分かります。

さて,ここでは「+0」の式を入れた気持ちを全員で読解することにします。

「問題に『一の位が0の数は』と書いてあるから,+0を入れたんだと思う」

このように読解することで,子どもたちの気持ちに変化が生まれてきます。

「+0は,この問題ではいるね」

「式は問題の通りに書くと勉強したでしょ。だから,問題には『一の位が0』と書いてあるから,+0はいるよ」

「問題の『千の位が9』は式の9000でしょ。問題の『百の位が6』は式の+600でしょ。問題の『十の位が4』は式の+40でしょ。だったら,問題の『一の位が0』も式に+0と書かないとだめだよ」

「もし,『千の位が6,百の位が1,十の位が2の数は』という問題なら,6000+100+20でいいでしょ。でも,この問題は『一の位が0の数は』と書いてあるから+0はいります」(K子)

K子は式に+0がある場合とない場合では,問題文が変わることを「6120」を例に説明を行ったのです。今,話題になっている問題場面と反対の場面を例示できることは,2年生段階の子どもたちとしてはすばらしい見方・考え方です。

子どもたちは,+0の式を一律に省略するのではなく,問題状況に応じて使い分けることを学んでだ間ともなりました。