2021年6月29日火曜日

ます目,足りる?

算数の時間,「好きな食べ物調べの結果を棒グラフに表そう」と投げかけます。


事前に調査したポチ君のクラスの右の調査結果を提示します。


この結果を棒グラフに表すのですが,子どもから「ます目,たりる?」と不安そうな声が聞こえてきます。前回使ったグラフ用紙の横幅は,10目盛り分しかありません。右表の種類は18あります。このままでは,グラフ用紙に収めることができません。よい気付きが生まれてきました。


では,どうしたら右のデータをグラフ用紙に収めることができるのでしょうか。「グラフ用紙を横向きにしたらいい」というアイディアも生まれてきましたが,今回は縦向きのままでの解決策を考えさせました。すると,子どもたちがジェスチャーを使って自分の頭に浮かんだ解決策を表現してきます。言いたいことがあると,子どもたちは自然と体全体でその思いを表現してくるようです。

さて,そのジェスチャー中に,両手を下から上に交互に動かす姿が見えました。このジェスチャーの意味をクラス全員で読解していきます。

112種類もあるから,ここをなんとかしたい」

1人を集めたらいい」

1人を上に積んでいったらいい」


1人しかいないデータをまとめて積み上げることで,グラフに収められそうです。このデータの集合を「その他」と呼ぶことをここで教えます。


その他を使うアイディアで,棒グラフ作りを始めます。

ところが,始まってしばらくすると「その他は12人だから一番左?」という声が聞こえてきましした。棒グラフはデータの多い順に左から描くことを前回学習しています。その学びから生まれた疑問です。これも子どもらしい素直な疑問です。


果たして,その他は一番左でいいのでしょうか?

「ラーメンは1つの種類で8人。その他は,いろんな種類で12人」

1人を全部合わせて12人がその他。元は1人。ラーメンはラーメンで8人」

「だから,一番左はやっぱりラーメンの8人だよ」


その他の中身を分析することで,その他は右端でいいことが見えてきました。子どもの素直な疑問からグラフの新しいステージが見えてきました。



2021年6月28日月曜日

貼り方,そうか・・・

算数で好きな果物調べの発表を行ったとき,発表の「カードを貼ってほしい」と声があがりました。そこで,この日の授業は好きなスポーツ調べの結果カードをホワイトボードに貼るところからスタートしました。


「ドッチボール」

「水泳」

「サッカー」

と貼っていきます。次に「ドッチボール」を右のように貼りました。その瞬間,「貼り方,そうか・・・」「バラバラ」という声が聞こえました。この声の意味を,全員で考えます。


「そこに貼るとバラバラになるから,ちゃんと揃えた貼った方がいい」

「種類毎に分けて貼るといい」

「多くなると,それが飛び出して分かりやすくなる」

「そうだよ。パッと見て分かりやすくなる」



種類毎にカードを揃えた方が分かりやすくなると考えたのです。そこで,全てのカードを右のように種類毎に並べ替えました。これなら分かりやすそうです。ところが,これを見ていた子どもの中に,ジェスチャーで階段を作る姿が見えました。その意味を,今度は全員で考えます。


多い順に並べた方が,もっと分かりやすくなる」

「多いところんも山と少ない所の谷がないから,階段になる多い順は分かりやすい」

「高さが順番だから分かりやすい」


その後,好きなスポーツ調べのデータを多い順に直してグラフ用紙に表現してみます。ホワイトボードの凸凹状態のグラフと多い順に並べ直したグラフを比較させます。子どもたちは一斉に,

「多い順の方が分かりやすい」


「隣との差もすぐに分かる」

とそのよさを実感することができました。カードを貼る活動から,多い順にデータを並べ替える棒グラフを作る活動へとつなげていくことができた1時間でした。

2021年6月27日日曜日

第2回愉しい算数授業を作る研修会開催のお知らせ

 第2回「愉しい算数授業を作る研修会」を開催します。新型コロナの感染が落ち着いていることが前提ですが,対面での開催です。

子どもが「算数は愉しい」と感じる授業はどのように作ればよいのかを,実際の授業ビデオを見ながら,参加の先生方と考えていく研修会です。

大まかな日時や内容は以下の通りです。

2021年9月4日(土)12時15分~

大阪府池田市立池田小学校

〖会費〗3000円 

〖定員〗収容可能人数の40%まで

12:15 受付開始

12:40~13:10           

森谷 明夫先生の授業(低学年)

(ビデオ上映)

13:10~13:35

授業討論会

13:45~14:30

講座 尾﨑 正彦先生

『子どもから問いが生まれる授業とは』

14:40~15:00

若手による実践発表

15:10~15:40

盛 佑輔先生の授業(高学年)

(ビデオ上映)

15:40~16:10

授業討論会

16:20~16:50

算数授業QA・閉会


〖参加申し込み〗下記のアドレスにお申込みください。

morimoriaki504-tanosiisansuu@yahoo.co.jp

先生方にお会いできる日を,楽しみにしています!




2021年6月25日金曜日

好きな果物調べ

 事前に子どもたちに「好きな果物調べ」を行いました。その結果を,授業の冒頭に発表します。

「パイナップル,りんご,いちご・・・」

次々と果物の名前を発表していきます。子どもの様子を見ていると,ニコニコしながら発表を聞いている子どもが多数です。しかし,子どもたちの中にはノートに一生懸命にメモをしている子どももいます。正の字でメモをする子ども,〇をその都度つけている子どもがいました。なかなかいい活動をしています。

全ての発表が終わった後で,子どもたちに次のように聞きます。

「人気3位は何だった?」

「えー」「メモしてなかったよ」という声があがります。一方,「分かります」という声も聞こえてきます。その声をあげて子どもを指名します。

「みかんです」

「ぶどうだよ」

「いちごだよ」

「ブルーベリーだよ」

「さくらんぼです」

「パイナップルです」

「桃だよ」

「マンゴーです」

「メロンです」

なんと,人気3位が9種類も発表されました。そこで,次のように子どもに投げかけます。

「人気3位は9つもあるんだね?」

子どもからは,「違う!」と声があがり,次々と声が続きます。

「数えていなかったから分からない」

「ノートにメモもしていない」

「2年生のグラフのように,〇を付けていけばいいよ」

「メモをすれば大丈夫だよ」

「メモするなら,正の字でするといいね」

「正は5画だから,きりのいい数」

「正は,メモが途中で終わっても,7人なら5画と2画だからわかりやすいね」

「縦と横だけでできているし,曲がっていないから分かりやすい」

「パット見て,分かるね」

「他の5画は,例えば田なら,曲がる部分があるから分かりにくいね」

正の字でメモを行えば,正しく3位が判断できるという声が生まれてきました。

そこで,好きな果物を再度,発表していきます。子どもたちは,メモをするから時間がほしいと声をあげます。子どもたちは,ノートに果物の名前11種類を書いていきます。

その後,果物の名前を順次発表していきます。子どもたちは,発表に合わせてノートに正の字でメモを行っていきます。

その結果,第3位はブルーベリー,さくらんぼ,パイナップルの2人であることが分かりました。子どもたちは,正の字でメモする方法のよさを発表します。

「分かりやすかった」

「真っすぐな棒で書くから,すぐメモできた」

「他のゲームで正の字をつかっているね」

複数の情報がある際には正の字を使ってメモをしていくことで,情報の状況を正しく判定できることが見えた1時間でした。子どもたちがメモしたノートは,表の原型そのものです。









2021年6月24日木曜日

「授業づくりと問いが深まる発問のポイント」セミナーの満席です!

兵庫県西宮市で7月開催の「授業づくりと問いが深まる発問のポイント」セミナーですが,お陰様で満席となりました。お申し込みいただいた先生方,ありがとうございました。当日,お会いできることを楽しみにしています!

残念ながら,お申し込みできなかった先生,次回までお待ち下さい。9月にも対面の講座を開催する予定です。近々,案内をお知らせします。もう少しお待ち下さい。


2021年6月17日木曜日

「授業づくりと問いが深まる発問のポイント」セミナーのお知らせ

 緊急事態宣言が解除されそうです。ようやく対面の講座も開始できそうです。


教員サークル「わっしょい」主催で,「授業づくりと問いが深まる発問のポイント」をテーマとして対面講座を開催します。今回は3時間の連続講座です。子どもが算数を愉しいと感じる授業作りのポイントだけではなく,学級作りについての講座も開催します。是非,ご参加下さい。

日時 2021年7月22日(木曜日・祝日)

会場 『西宮市若竹生活文化会館』

参加費  2,500円

「わっしょい」の先生方の講座も開催されます。若い先生方の講座も楽しみです!

詳細・申し込みは以下のアドレスからお願いします。

https://www.kokuchpro.com/event/b4787744a1efdd3695005ae47397cd56/

2021年6月16日水曜日

5000000に近い方が勝ちゲームをしよう!

算数の時間,子どもたちに「5000000に近い方が勝ちゲームをしよう」と投げかけます。クラスを半分に分けた対抗戦です。裏返しになっている数字カードをお互いに1枚ずつ引きます。引いたカードは一の位から順に並べていきます。


ルールを確認すると,「5000001が出たら,1違いで最高!」と声があがります。果たして,子どもたちの予想通りになるのでしょうか・・・。

 

代表の子どもたちが,順にカードを引きます。ネコチームが「91」,ここほれワンワンチームが「87」まで数字を引きました。次にネコチームが引いたカードは「5」でした。この瞬間,「終わった−」と悲しみ?!の声があがります。しかし,この声の意味はまだクラス全体には伝わっていません。

そこで,「終わった-」の声の意味を読解していきます。

500万に近いが勝ちだから,百万の位に5がほしいからだよ」

「でもさあ,46でもいいよ」

「えっ,4の方が500万に近いよ」

「どっちも同じでしょ」

 

百万の位に出てほしい数字の話題が生まれきました。百万の位の数字は,4でも6でも同じ近さなのかが,次の子どもたちの議論の中心となりました。456だけ見たら,465とは1違いですが・・・。子どもたちが,話し合いを続けます。

「もし,499万と500万なら1万違い。500万と600万なら100万も違う」

46785916342587なら,百万の位が4の方が500万に近い」

400万と600万ならどちらも100万違いで引き分け。4000001になったら,4の方が近くなる」

「だから,百万の位は6より4の方が近い」

具体的な数字の例が生まれることで,先ほどの議論のゴールが見えてきました。百万の位の数字は,6よりも4の方が500万に近いことが分かりました。


その後,ここほれワンワンチームが百の位の数字カードを引きます。なんと,このチームも「5」を引いてしまいます。ネコチームの悲しみは杞憂に終わったようです・・・。

最終的には,ネコチーム「8746591」,ここほれワンワンチーム「0412587」でした。500万との差を計算で求めていきます。その結果,ネコチームの圧勝でした。

5」が早く出たからといって,必ずしも悲観することはなかったようです。ゲームを通して数の大小判断や差の考え方を学んで1時間でした。

本実践は,「板書で見る全単元・全時間の授業3年上」(東洋館出版社)掲載の実践の修正追試です。