2019年2月2日(土)の関西大学初等部研究会が開催されます。
今年度の研究テーマは,
「思考力育成を支える主体的学びを引き出す授業デザイン
〜ズレを引き出す具体的手立てを探る〜」
です。主体的学びを引き出すことができれば,新学習指導要領がめざす主体的・対話的で深い学びは自然に具現できると考えています。
思考力を育てるためには,子どもが主体的に学びの場面に向かうことが前提条件です。解決したいと考える強烈な問いを子どもに持たせることができれば,その解決の過程で子どもは思考力を発揮するはずです。そこにはもう形式は必要ないのです。それまでに子どもが学んだ内容を総動員して,問いを乗り越えていくと考えています。
今年度は,強烈な問いを持たせるために授業のどこかで子どもがズレを感じるような授業デザインのあり方を探っています。子どもたちがズレを感じる場面,またズレから浮き彫りになった問いを乗り越える場面を公開します。
今年は,午前に3時間の公開授業を行います。私の授業は3時間目です。体育館で3年生に授業を公開します。
午後は,それぞれの授業の協議会と,私の授業のパネルディスカッションを行います。
研究会の最後は,田中博史先生(筑波大学附属小学校)からご講演いただきます。思考力を育てるための授業のあり方について,ご講演いただきます。
申し込みは11月14日(水)から始まります。申込者が1000名を超えた時点で申し込みを修了とさせていただきます。お早めにお申し込み下さい。
詳細・申し込みは以下のアドレスからお願いします。
http://www.kansai-u.ac.jp/elementary/2018/11/post-632.html#Contents
2018年11月12日月曜日
小数のかけ算の筆算形式を任せる
4年生の子どもたちに,次のように投げかけます。
「1mの重さが□gのうまうま棒があります。このうまうま棒4mの重さは何gですか」
先ずは,□の中がどんな数なら計算しやすいかを考えさせます。子どもからは,1,10,20,100などの数字が発表されました。これらの数字なら,これまでの子どもたちの学習内容の範囲です。
続いて,□の中がどんな数なら計算しにくいのかを考えさせました。まず,生まれてきたのは桁数が億や兆の数です。しかし,これらの数字も計算は大変ですが,子どもたちの学習範囲で解決することはできます。
一方,解決できない数字も発表されました。1.5や0.3などの小数です。小数のかけ算は未習です。これらの数値は解決できません。そこで子どもたちに,「これは解けないね」と投げかけます。「できない」とあきらめ顔の子どももいましたが,「だったら」と声をあげる子どもも大勢いました。
「だったら整数にすればできるよ」
「1.5を10倍して15にすれば,15×4になって計算できる」
「答えが出たら,さっき10倍したから10でわって戻せばいいよ」
「これなら他の小数も計算ができるね」
小数を整数に置き換えることで計算ができることを,子どもたちは見つけていきました。さらに,この考え方を使えば他の小数でも計算できることも見つけていきました。
そんな子どもたちに,「この計算を筆算でしたら式をどう書きま
すか」と尋ねます。1行目の1.5まで板書し,その続きを考えさせました。小数のかけ算の筆算形式を子どもに任せたのです。
子どもからは右のような2つの筆算形式が生まれました。左を考えた子どもの考え方を予想させます。
「1.5の1と4は一の位だから,位を揃えた」
これまでの筆算では,位を揃えて計算を行いました。それと同じ考え方を,この計算にも当てはめたのです。
一方,この筆算形式に対する反論があがります。
「これだと,計算がややこしくなりそうだ」
「5の下が数字がないから,0とすればいいのかな」
「0を書くということは2段になるのかな。面倒だな」
位を揃える形式は理解できても,その後の計算を考えると面倒な形式だという声です。
5と4の位置を揃えるという考え方の気持ちを予想します。
「1.5では計算できないから10倍して15にした。だから,計算は15×4だから5の下に4を書く」
この説明は,整数に置き換えた後の数字として筆算することをイメージしています。
そこで,2つの筆算形式で実際に計算を行ってみることにしました。
右の筆算は,10倍して15×4を計算します。かけられる数を10倍しているので,答えを10でわります。これが小数点の移動になります。
左の筆算は,1.5×4を1.5×4.0と考えることで,計算の面倒さを乗り越えることができることが見えてきました。
「1.5×4.0と考えて,両方の数を10倍します。15×40と考えます。これで計算します。答えは600です。さっき,10倍と10倍したから合わせて100倍です。だから,600を100でわります。だから,答えは6です」
1.5×4を15×40に置き換えて考えることで,一気に計算のハードルは下がりました。この考え方を理解した子どもから,今度は次の声があがります。
「だったら,小数×小数もできる」
「1.5×0.4なら,両方を10倍して15×4で計算ができる。答えは600。最初に10倍,10倍しているから100でわればできる」
小数×整数の筆算形式を考えることを通して,子どもたちは小数×小数のかけ算も同じように考えることで計算できることを発見することができました。形式を一方的に与えていたら,このような発見はなかったでしょう。子どもに任せることで,新しい計算の世界を子どもたちが発見した1時間でした。
「1mの重さが□gのうまうま棒があります。このうまうま棒4mの重さは何gですか」
先ずは,□の中がどんな数なら計算しやすいかを考えさせます。子どもからは,1,10,20,100などの数字が発表されました。これらの数字なら,これまでの子どもたちの学習内容の範囲です。
続いて,□の中がどんな数なら計算しにくいのかを考えさせました。まず,生まれてきたのは桁数が億や兆の数です。しかし,これらの数字も計算は大変ですが,子どもたちの学習範囲で解決することはできます。
一方,解決できない数字も発表されました。1.5や0.3などの小数です。小数のかけ算は未習です。これらの数値は解決できません。そこで子どもたちに,「これは解けないね」と投げかけます。「できない」とあきらめ顔の子どももいましたが,「だったら」と声をあげる子どもも大勢いました。
「だったら整数にすればできるよ」
「1.5を10倍して15にすれば,15×4になって計算できる」
「答えが出たら,さっき10倍したから10でわって戻せばいいよ」
「これなら他の小数も計算ができるね」
小数を整数に置き換えることで計算ができることを,子どもたちは見つけていきました。さらに,この考え方を使えば他の小数でも計算できることも見つけていきました。
そんな子どもたちに,「この計算を筆算でしたら式をどう書きま
すか」と尋ねます。1行目の1.5まで板書し,その続きを考えさせました。小数のかけ算の筆算形式を子どもに任せたのです。
子どもからは右のような2つの筆算形式が生まれました。左を考えた子どもの考え方を予想させます。
「1.5の1と4は一の位だから,位を揃えた」
これまでの筆算では,位を揃えて計算を行いました。それと同じ考え方を,この計算にも当てはめたのです。
一方,この筆算形式に対する反論があがります。
「これだと,計算がややこしくなりそうだ」
「5の下が数字がないから,0とすればいいのかな」
「0を書くということは2段になるのかな。面倒だな」
位を揃える形式は理解できても,その後の計算を考えると面倒な形式だという声です。
5と4の位置を揃えるという考え方の気持ちを予想します。
「1.5では計算できないから10倍して15にした。だから,計算は15×4だから5の下に4を書く」
この説明は,整数に置き換えた後の数字として筆算することをイメージしています。

右の筆算は,10倍して15×4を計算します。かけられる数を10倍しているので,答えを10でわります。これが小数点の移動になります。
左の筆算は,1.5×4を1.5×4.0と考えることで,計算の面倒さを乗り越えることができることが見えてきました。
「1.5×4.0と考えて,両方の数を10倍します。15×40と考えます。これで計算します。答えは600です。さっき,10倍と10倍したから合わせて100倍です。だから,600を100でわります。だから,答えは6です」
1.5×4を15×40に置き換えて考えることで,一気に計算のハードルは下がりました。この考え方を理解した子どもから,今度は次の声があがります。
「だったら,小数×小数もできる」
「1.5×0.4なら,両方を10倍して15×4で計算ができる。答えは600。最初に10倍,10倍しているから100でわればできる」
小数×整数の筆算形式を考えることを通して,子どもたちは小数×小数のかけ算も同じように考えることで計算できることを発見することができました。形式を一方的に与えていたら,このような発見はなかったでしょう。子どもに任せることで,新しい計算の世界を子どもたちが発見した1時間でした。
2018年11月10日土曜日
11月17日は和歌山で公開授業!
11月17日(土),和歌山大学附属小学校を会場に開催される「第7回ワカヤマス公開授業研究会」に授業者&講演者として登壇します。和歌山では,来年の12月に全国算数授業研究大会が開催されます。その前哨戦も兼ねた研究会です。和歌山は算数授業の改革に向けて燃えている先生が多々がたくさんいらっしゃいます。地元和歌山の先生方の授業もお楽しみください。
私の算数授業は4年生,講演は「主体的・対話的で深い学びのある算数授業」の創り方を演習形式で行います。
日程や会の趣旨は,以下をご覧ください。
学習指導要領が改訂され,そのキーワードとして登場した「主体的,対話的で深い学び」。私たちはこのキーワードを授業で具現化していく必要があります。しかし,これまでも,子どもが主体的になるような授業,対話を大切にした授業,そして深まりのある授業づくりに取り組んできたはずです。となると,これまでの授業づくりをそのまま続ければいいのでしょうか?
今回のソリッソワカヤマスでは,「主体的,対話的で深い学びのある算数授業」をテーマとし,開催いたします。午前はメンバーによる授業とワークショップ,午後からは尾﨑正彦先生(関西大学初等部)をお迎えして,尾﨑先生に授業と講演をしていただきます。
ともに,子どもが主体的に対話しながら学びを深めていく姿を創造しましょう。
今年のソリッソ×ワカヤマスには尾﨑正彦先生をお迎えします!
大会テーマ「主体的,対話的で深い学びのある算数授業」
9:00~9:30 受付
9:30~10:15 公開授業Ⅰ 4年 授業者 向井大嗣(田辺市立芳養小学校)
10:20~11:50 協議会
11:00~11:50 ワークショップ
11:50~13:20 昼休憩
13:30~14:15 公開授業Ⅱ 4年 授業者 尾﨑正彦先生(関西大学初等部)
14:30~15:30 講演「主体的,対話的で深い学びのある算数授業の作り方」
大会テーマ「主体的,対話的で深い学びのある算数授業」
9:00~9:30 受付
9:30~10:15 公開授業Ⅰ 4年 授業者 向井大嗣(田辺市立芳養小学校)
10:20~11:50 協議会
11:00~11:50 ワークショップ
11:50~13:20 昼休憩
13:30~14:15 公開授業Ⅱ 4年 授業者 尾﨑正彦先生(関西大学初等部)
14:30~15:30 講演「主体的,対話的で深い学びのある算数授業の作り方」
講師 尾﨑正彦先生
申し込みは以下のアドレス(コクチーズ)からお願いします。和歌山でお会いしましょう!
2018年11月9日金曜日
数学的な見方・考え方を高める研修
京都府向日市第2向陽小学校で「学力向上システム開発校」の研究発表会が行われました。「数学的な見方・考え方を養う」ことを研究主題にした発表会でした。
4年生と5年生の公開授業7クラスが行われました。どのクラスからも,子どもたちの素敵な呟きが聞こえてきました。また,先生たちが子どもの呟きに耳を傾け,授業の舞台に載せていこうとする姿も見られました。参加された多くの先生方も驚かれるレベルの高さでした。
学校研修の難しいのは,学校全体で研修レベルが高まらないことです。一部の先生だけががんばるものの,その他の先生がなかなかついてこないということがよくあります。
しかし,第2向陽小学校は先生方の質が違います。どの先生方も,研修に対するモチベーションが高いのです。研修で学んだことをすぐに実践に移すスピードの速さに,質の高さの要因があるのです。すぐに学んだことを実践することで,子どもの変化がすぐに実感できます。すると,もっと子どもの質を高めたいと先生方に研修に対するやる気が生まれます。
これは,2020年学習指導要領がめざしている主体的・対話的で深い学びの授業改善の姿と同じです。主体的・対話的で深い学びは,子どもではなく教師にこそ必要な姿勢なのです。
第2向陽小の先生方は,研修を愉しんでいます。それは子どもの変化を実感できるから楽しめるのです。スピード感や研修内容を全ての先生方で共有するシステムもあります。これらの手だてで,教師が研修を愉しんでいます。そのことで,子どもも算数を愉しむようになるのではないでしょうか。
すぐにやる・できるまでやる・納得するまでやるという
4年生と5年生の公開授業7クラスが行われました。どのクラスからも,子どもたちの素敵な呟きが聞こえてきました。また,先生たちが子どもの呟きに耳を傾け,授業の舞台に載せていこうとする姿も見られました。参加された多くの先生方も驚かれるレベルの高さでした。
学校研修の難しいのは,学校全体で研修レベルが高まらないことです。一部の先生だけががんばるものの,その他の先生がなかなかついてこないということがよくあります。
しかし,第2向陽小学校は先生方の質が違います。どの先生方も,研修に対するモチベーションが高いのです。研修で学んだことをすぐに実践に移すスピードの速さに,質の高さの要因があるのです。すぐに学んだことを実践することで,子どもの変化がすぐに実感できます。すると,もっと子どもの質を高めたいと先生方に研修に対するやる気が生まれます。
これは,2020年学習指導要領がめざしている主体的・対話的で深い学びの授業改善の姿と同じです。主体的・対話的で深い学びは,子どもではなく教師にこそ必要な姿勢なのです。
第2向陽小の先生方は,研修を愉しんでいます。それは子どもの変化を実感できるから楽しめるのです。スピード感や研修内容を全ての先生方で共有するシステムもあります。これらの手だてで,教師が研修を愉しんでいます。そのことで,子どもも算数を愉しむようになるのではないでしょうか。
すぐにやる・できるまでやる・納得するまでやるという
2018年11月5日月曜日
3年「重さ」は微妙な図形でスタート
3年生「重さ」の学習は,子どもたちが目に見ない重さを数値化することで見えるようにすることが目的です。しかし,g(グラム)の発想自体は子どもから生まれてはきません。しかし,重さを数値化ようとする発想であれば引き出すことができるのではないかと考え,次のような授業を行いました。

右のような3種類のブロックを用意します。これらのブロックの重さの差はかなり微妙です。ほぼ7gずつの差です。これらを見せて,次のように投げかけます。
「一番重いブロックと一番軽いブロックはどれでしょう」
班に1セットのブロックを配布します。子どもたちは,班の子どもと協力しながら重さを調べます。先ずは,手に持って重さを感覚で調べます。しかし,これは班のメンバーで結果が異なり曖昧過ぎることに彼らは気づきます。すると子どもたちは,別の調べ方を模索します。
同じ高さからブロックを落とす実験をする班がありました。一番早く落ちたブロックが一番重いと考えたのです。ところが何回実験しても,3つのブロックはほぼ同時に落下します。
ブロックの大きさを頼りに,重さを比較できると考える班がありました。2つのブロックをくっつけて,はみ出した部分が多い方が重いと考えたのです。ところが,子どもから次の指摘があがります。
「大きさは関係ないよ。だって,小さい鉄の玉と大きい綿だったら重いのは鉄の玉でしょ。だから大きさは関係ない」
大きさと重さに比例関係がないことが見えてきました。
多くの班は,定規をシーソー代わりにして3つのブロックの重さを測定していました。ところが,測定している子どもからは「微妙」「ほぼ一緒」と声があがりました。ブロックの重さが,シーソーを使った実験ではほぼ一緒に見えたのです。そのことに,彼らは困ったのです。微妙な重さの違いをどのようにはっきりさせるのかが,子どもたちの問いとなりました。
そこで子どもたちが考えたのが,微妙なブロックをシーソーの載せた時の,地面とブロックまでの高さを測定することでした。すると,次のような声が聞こえてきました。
「2㎜の差で円のブロックが重たいよ」
「1㎜の差で長方形のブロックが軽いよ」
微妙な重さの違いを,シーソーの高さの違いという長さに置き換えることで見えるようにしようとしたのです。これは,重さを数値化しようとする発想です。この発想の素晴らしさを価値づけました。
数字に置き換えることで,それまで見えなかった重さが見えるようになってきたのです。素晴らしい発想力をもった子どもたちです。
右のような3種類のブロックを用意します。これらのブロックの重さの差はかなり微妙です。ほぼ7gずつの差です。これらを見せて,次のように投げかけます。
「一番重いブロックと一番軽いブロックはどれでしょう」
班に1セットのブロックを配布します。子どもたちは,班の子どもと協力しながら重さを調べます。先ずは,手に持って重さを感覚で調べます。しかし,これは班のメンバーで結果が異なり曖昧過ぎることに彼らは気づきます。すると子どもたちは,別の調べ方を模索します。
同じ高さからブロックを落とす実験をする班がありました。一番早く落ちたブロックが一番重いと考えたのです。ところが何回実験しても,3つのブロックはほぼ同時に落下します。
ブロックの大きさを頼りに,重さを比較できると考える班がありました。2つのブロックをくっつけて,はみ出した部分が多い方が重いと考えたのです。ところが,子どもから次の指摘があがります。
「大きさは関係ないよ。だって,小さい鉄の玉と大きい綿だったら重いのは鉄の玉でしょ。だから大きさは関係ない」
大きさと重さに比例関係がないことが見えてきました。
多くの班は,定規をシーソー代わりにして3つのブロックの重さを測定していました。ところが,測定している子どもからは「微妙」「ほぼ一緒」と声があがりました。ブロックの重さが,シーソーを使った実験ではほぼ一緒に見えたのです。そのことに,彼らは困ったのです。微妙な重さの違いをどのようにはっきりさせるのかが,子どもたちの問いとなりました。
そこで子どもたちが考えたのが,微妙なブロックをシーソーの載せた時の,地面とブロックまでの高さを測定することでした。すると,次のような声が聞こえてきました。
「2㎜の差で円のブロックが重たいよ」
「1㎜の差で長方形のブロックが軽いよ」
微妙な重さの違いを,シーソーの高さの違いという長さに置き換えることで見えるようにしようとしたのです。これは,重さを数値化しようとする発想です。この発想の素晴らしさを価値づけました。
数字に置き換えることで,それまで見えなかった重さが見えるようになってきたのです。素晴らしい発想力をもった子どもたちです。
2018年11月1日木曜日
第5回マスラボ講座のご案内
第4回マスラボが終わりました。今回は深い学びをテーマに,参加の先生方と愉しい研修時間を過ごしました。なんとなくイメージしていた深い学びを,くっきりと思い描くことができた研修となりました。
次回は第5回マスラボです。マスラボシリーズの最終回です。これまで大好評をいただいていたこの企画もラストです。これまで参加を逃していた方も,是非,おいで下さい!
日程 2019年1月26日(土)13時〜17時
会場 京都テルサ(予定)
内容は以下の予定です。
https://www.kokuchpro.com/event/ml5/
次回は第5回マスラボです。マスラボシリーズの最終回です。これまで大好評をいただいていたこの企画もラストです。これまで参加を逃していた方も,是非,おいで下さい!
日程 2019年1月26日(土)13時〜17時
会場 京都テルサ(予定)
内容は以下の予定です。
タイムスケジュール
1300~1320 受付
1320~ オープニングトーク
1325~1350 Math Labo!メンバー授業ビデオ参観
○年「 未定 」 西村祐太(京都市立醍醐西小学校)
1355~1415 グループに分かれて授業について検討
1415~1440 協議会 (尾崎先生、樋口を交えて協議していきます。)
1445~1515 講座①「クラス全員をアクティブな思考にする算数授業のつくり方」
樋口万太郎(京都教育大学附属桃山小学校)
1520~1620 講座② 「 未定 」
尾崎正彦(関西大学初等部)
1625~1640 質問コーナー
申し込みは以下のアドレスからお願いします。
https://www.kokuchpro.com/event/ml5/
暗算での実験
3年生のかけ算の筆算単元末に,暗算の学習が位置付いています。
「24円の飴を3個買います。代金はいくらでしょうか」
このような問題の答えを,暗算で求めさせます。多くの子どもたちは,それまでにかけ算の筆算を行っているため,筆算の手順と同じように暗算でも計算します。
①4×3=12 ②20×3=60 ③12+60=72
子どもたちの学びの履歴を考えれば,一の位から計算していくことは自然な思考の流れです。しかし,教科書では十の位から計算すると簡単であることが記述されています。実際の子どもの思いとはズレがあります。
さて,前記の計算の仕方を確認し終えた後,「別のやり方があります」という声があがります。
①20×3=60 ②4×3=12 ③60+12=72
十の位から先に計算する方法です。ところが,この方法に対して子どもたちから,次のような声があがります。
「それって,反対にしただけでしょ」
「どっちを先に計算しても同じだよ」
「一の位が先の方が,今まで通りで簡単じゃないの」
多くの子どもは,一の位を先に計算しても,十の位を先に計算しても大差ないと考えています。この趣旨の発言が続きます。ところが,ここでB男が次の声をあげます。
「十の位を先に計算する方が簡単じゃないかな。だって,大きい数に小さい数をたす方が,小さい数に大きい数をたすよりも簡単じゃないかな」
B男はかけ算の部分ではなく,たしざんの部分に目を付けたのです。たしざんに目を付けると,大きい数に小さい数をたした方が簡単だと考えたのです。これまでにはない鋭い視点です。B男の説明に納得する声もあがりましたが,多くの子どもは「やっぱり同じだよ」と考えています。
そこで,B男の考えが正しいのかを実験することにしました。次のように指示します。
「次の計算を暗算でします。答えが分かったら立ちましょう」
多くの子どもたちは,「同じでしょ」と考えています。
「500+36」
「37+400」
「600+82」
「92+800」
「350+26」
「36+250」
大きい数を先に提示,小さい数を先に提示を繰り返していきます。いずれの問題も,大きい数を先に計算する方が,子どもたちがすぐに立ち上がりました。後半の問題では,子どもから「大きい数が先の方がやりやすい」と声があがります。
頭の中では,十の位を先に計算しても一の位を先に計算しても大差はないと子どもたちは考えていました。ところが,実際に数字を使って実験を繰り返すことでその考えが間違っていたことを彼らは実感したのです。予想とのズレに出会った場面とも言えます。
その後,かけ算問題を一の位を先に計算するやり方,十の位を先に計算するやり方と交互に実験します。ここでも子どもたちは十の位を先に計算するやり方の簡便さを実感します。
予想とのズレを,実験を通して実感できた1時間でした。
「24円の飴を3個買います。代金はいくらでしょうか」
このような問題の答えを,暗算で求めさせます。多くの子どもたちは,それまでにかけ算の筆算を行っているため,筆算の手順と同じように暗算でも計算します。
①4×3=12 ②20×3=60 ③12+60=72
子どもたちの学びの履歴を考えれば,一の位から計算していくことは自然な思考の流れです。しかし,教科書では十の位から計算すると簡単であることが記述されています。実際の子どもの思いとはズレがあります。
さて,前記の計算の仕方を確認し終えた後,「別のやり方があります」という声があがります。
①20×3=60 ②4×3=12 ③60+12=72
十の位から先に計算する方法です。ところが,この方法に対して子どもたちから,次のような声があがります。
「それって,反対にしただけでしょ」
「どっちを先に計算しても同じだよ」
「一の位が先の方が,今まで通りで簡単じゃないの」
多くの子どもは,一の位を先に計算しても,十の位を先に計算しても大差ないと考えています。この趣旨の発言が続きます。ところが,ここでB男が次の声をあげます。
「十の位を先に計算する方が簡単じゃないかな。だって,大きい数に小さい数をたす方が,小さい数に大きい数をたすよりも簡単じゃないかな」
B男はかけ算の部分ではなく,たしざんの部分に目を付けたのです。たしざんに目を付けると,大きい数に小さい数をたした方が簡単だと考えたのです。これまでにはない鋭い視点です。B男の説明に納得する声もあがりましたが,多くの子どもは「やっぱり同じだよ」と考えています。
そこで,B男の考えが正しいのかを実験することにしました。次のように指示します。
「次の計算を暗算でします。答えが分かったら立ちましょう」
多くの子どもたちは,「同じでしょ」と考えています。
「500+36」
「37+400」
「600+82」
「92+800」
「350+26」
「36+250」
大きい数を先に提示,小さい数を先に提示を繰り返していきます。いずれの問題も,大きい数を先に計算する方が,子どもたちがすぐに立ち上がりました。後半の問題では,子どもから「大きい数が先の方がやりやすい」と声があがります。
頭の中では,十の位を先に計算しても一の位を先に計算しても大差はないと子どもたちは考えていました。ところが,実際に数字を使って実験を繰り返すことでその考えが間違っていたことを彼らは実感したのです。予想とのズレに出会った場面とも言えます。
その後,かけ算問題を一の位を先に計算するやり方,十の位を先に計算するやり方と交互に実験します。ここでも子どもたちは十の位を先に計算するやり方の簡便さを実感します。
予想とのズレを,実験を通して実感できた1時間でした。
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