2018年11月5日月曜日

3年「重さ」は微妙な図形でスタート

 3年生「重さ」の学習は,子どもたちが目に見ない重さを数値化することで見えるようにすることが目的です。しかし,g(グラム)の発想自体は子どもから生まれてはきません。しかし,重さを数値化ようとする発想であれば引き出すことができるのではないかと考え,次のような授業を行いました。

 右のような3種類のブロックを用意します。これらのブロックの重さの差はかなり微妙です。ほぼ7gずつの差です。これらを見せて,次のように投げかけます。

「一番重いブロックと一番軽いブロックはどれでしょう」

班に1セットのブロックを配布します。子どもたちは,班の子どもと協力しながら重さを調べます。先ずは,手に持って重さを感覚で調べます。しかし,これは班のメンバーで結果が異なり曖昧過ぎることに彼らは気づきます。すると子どもたちは,別の調べ方を模索します。

同じ高さからブロックを落とす実験をする班がありました。一番早く落ちたブロックが一番重いと考えたのです。ところが何回実験しても,3つのブロックはほぼ同時に落下します。

ブロックの大きさを頼りに,重さを比較できると考える班がありました。2つのブロックをくっつけて,はみ出した部分が多い方が重いと考えたのです。ところが,子どもから次の指摘があがります。
「大きさは関係ないよ。だって,小さい鉄の玉と大きい綿だったら重いのは鉄の玉でしょ。だから大きさは関係ない」
大きさと重さに比例関係がないことが見えてきました。

多くの班は,定規をシーソー代わりにして3つのブロックの重さを測定していました。ところが,測定している子どもからは「微妙」「ほぼ一緒」と声があがりました。ブロックの重さが,シーソーを使った実験ではほぼ一緒に見えたのです。そのことに,彼らは困ったのです。微妙な重さの違いをどのようにはっきりさせるのかが,子どもたちの問いとなりました。
そこで子どもたちが考えたのが,微妙なブロックをシーソーの載せた時の,地面とブロックまでの高さを測定することでした。すると,次のような声が聞こえてきました。
「2㎜の差で円のブロックが重たいよ」
「1㎜の差で長方形のブロックが軽いよ」

微妙な重さの違いを,シーソーの高さの違いという長さに置き換えることで見えるようにしようとしたのです。これは,重さを数値化しようとする発想です。この発想の素晴らしさを価値づけました。

数字に置き換えることで,それまで見えなかった重さが見えるようになってきたのです。素晴らしい発想力をもった子どもたちです。