2020年7月14日火曜日

教科書のトリセツ 好評です!

先日,学校図書から発刊された「本当は使える算数教科書〜教科書のトリセツ〜」本が好評です。お求めは書店やネット販売でお求め下さい。ネットでお求めの方は,以下のアドレスからお願いします。


今回は,この本の目次を紹介します。目次からは詳細は見えませんが,7章のQ&Aコーナーも,若い先生を中心に好評です。

序章 教科書はこう使え!
①教科書ではダメなのか?
②一部を隠す&順番入れ替えで子どもは動き出す
③素材そのまま展開お任せ
④素材そのまま発問アレンジ
⑤順番アレンジ
⑥短時間連続提示
⑦中途半端を問う
⑧数を問う
⑨バラバラ提示
⑩少しずつ提示でお任せ
⑪既習からズレの自覚

1章 実践例1年
・いくつあるかな
・かたち(1)
・たしざん
・くらべてみよう

2章 実践例2年
・ひょうとグラフ
・三角形と四角形
・かけ算(3)
・長さ(2)

3章 実践例3年
・あまりのあるわり算
・三角形と角
・重さ
・しりょうの活用

4章 実践例4年
・(2けた)÷(1けた)の計算
・直方体と立方体
・ともなって変わる量
・しりょうの活用

5章 実践例5年
・合同な図形
・小数のわり算
・割合(1)
・図形の面積

6章 実践例6年
・分数×分数
・比とその利用
・拡大図と縮図
・資料の整理

7章 Q&A

 本書は5名の算数授業の達人による共著で、算数の教科書という普遍的な教材のアレンジ方法を紹介しています。また、そのアレンジ方法を活用した実際の授業展開を対話形式で提示しており、読みやすく、臨場感あふれる授業を想像することができる内容としました。教科書アレンジ方法、全6学年の様々な領域の授業展開例、Q&Aで構成されいるので、家庭で授業の補完をする際にも参考にできる一冊です。
 教科書にちょっとした工夫を加えるだけで、子どもは主体的に学び始めます。そんな授業展開を、教師と子どもの会話を通して読み進められます。いろいろなパターンで展開した1時間の授業展開を見ることで、教科書を使った、盛り上がる授業を明日から実践できます。すぐに使える教科書活用のための一冊であり、保護者が家庭で授業を補完する際にも役に立つ一冊!

2020年7月13日月曜日

パートナーがいる単位と一人ぼっちの単位

 前回の学習の続きです。10倍の関係の単位は隣同士,100倍の関係の単位は1ます分空けりことを学習しました。この論理で長さの単位を振り返ります。子どもたちがこれまでに学習した単位は,㎝と㎜です。この単位は10倍の関係なので隣同士に位置付きます。



 水のかさと長さの単位を振り返った時点で,「あれ?」と声があがります。何かに気付いた声です。しかし,ほとんどの子どもにはその気付きが何かは分かりません。そこで,その気付きの一部分を発表してもらいます。

「水のかさは全部Lがついている」

 

 これで,「あー,本当だ」と納得の声があがってきます。しかし,まだ「えっ?」という声も聞こえてきます。ここは子どもたちからヒントを言わせていきます。

「LはLだけが付く。dLは右にLが付く」

mLも右にはLが付いている」

 これで全員に気付きが共有されました。すると,さらに子どもたちの追究は続きます。

 

「長さも同じだ。㎝も右はm。㎜も右はm」

「水のかさはLだけ一人ぼっち。dLmLはdとmのパートナーがいる」

「長さも㎝と㎜にはcとmのパートナーがいる」

「ということは,長さもmだけの一人ぼっちの単位があるかもしれない」


 

 それぞれの単位を,「パートナーがいる」「一人ぼっち」という名前を付けて分類を行った姿は,本当に子どもらしい発想です。子どもらしい言葉を使うことで,その意味を子ども同士が共有することにつながりました。さらに未習の「m」の存在にまで結びついていきました。

mLはどこに書く?

    水のかさの学習も大詰めです。子どもたちに,これまでに学習した水のかさで1番大きな単位を尋ねます。これは「L」です。

    次に,2番目に大きい単位を尋ねます。これは「dL」です。1L=10 dLです。

ノートには,「L」のすぐ右隣に「dL」と書きます。両者の単位相互には10倍の関係があるので,それを表す矢印もノートに書きます。

 

 3番目に小さい単位は「mL」です。そこで,子どもたちに次のように尋ねます。

「『mL』は,ノートのどこに書きますか?」


 多くの子どもたちは,①に「mL」を書きました。一方,②に「mL」を書いている子どもも見られました。

 そこで,②の位置に「mL」を書き,次のように投げかけます。

「ここに『mL』を書いた気持ちは分かるかな?」

 ②に「mL」を板書した瞬間,「あっ,そういうことか!」という声があがりますが,「なんで?」という声もあがります。②に「mL」を書いた理由が見えない子どもも多数いました。

 

そこで,②に「mL」を書いた理由をクラス全体で考えていくことにしました。


「1Lは10 dLだから隣に書いた。でも,1dL100mLでしょ。でも,①に書いたら1dL10mLと思われちゃう」

「1Lは10 dLだから10倍でしょ。10は2ます使って書く。1dL100mLだから100倍でしょ。100は3ます使って書く。だから,1ます空ける」

mLを①に書いたら,1mL10倍が1dLだと間違えられる」

 

 単位相互にある倍概念の関係を,どのますに「mL」を書くのかを考えることで,2年生なりに追究していくことができました。

2020年7月7日火曜日

算数夏祭り,もうすぐ申し込み開始!

毎年恒例?の「算数夏祭り」の申し込みが,もうすぐ始まります。

今回は新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から,Zoomでの開催となります。Zoom開催ですので,主催地の新潟まで足を運ぶ必要はありません。全国各地から参加可能です!
かくいう私も,京都から参加します!

今回の内容は,次の通りです。

時 8月8日(土)13:00~

所 Zoom開催

内容  「深い学び」って何?
    ー子どもに寄り添い合う算数じゅぎゅを目指してー

13:00~13:40   MAC(新潟算数サークル)が提案!
        ~これが子どもに寄り添う算数授業だ!~
13:45~14:15   志田倫明先生(新潟大学教育学部附属新潟小)講演
14:20~15:25   尾﨑正彦先生(関西大学初等部)講演
15:30~16:00   質問コーナー
        ~講師陣が参加者の先生方の悩みにお答えします!~

会費 500円(所定口座に振り込み)

新潟の若く,やる気に満ちた算数を愛する先生方と熱く算数を語り合います。皆さんもご一緒に,算数を語り合い,考え合いましょう!

2020年7月6日月曜日

もしかして「dm」「cL」がある・・・?


2年生「水のかさ」の学習です。コーラの瓶の水のかさを予想する学習場面です。

「3dLちょっと」のように「ちょっと」がつくとはっきりしないという子どもの声から,dLの下位単位(mL)の存在を,長さの単位(㎝,㎜)と関連付けながら学習していきました。

これまでに子どもたちが学習した水のかさの単位は,「L」「dL」「 mL」の3つです。ここで子どもたちから,「おもしろいことがある」と声があがりました。

「長さの単位(㎝,㎜)は,どっちにも(右に)mがつく」
「水の単位は(L,dL, mL)は,全部(右に)Lがつく」
「mLと㎜は左のmが同じでしょ。そして,こんな単位はないかもしれないけど,mLの100倍がdLなら, ㎜の100倍にもdがついてdmがあるかもしれない」(I男)

I男は,長さと水のかさの単位相互の関係に目を付けたのです。mLと㎜はmが共通する文字として位置付きます。この論理からdmの存在を類推したのです。素晴らしい視点です。
本来は,この発見はもっと上学年の学習で出会わせる場面ですが,2年生でも同様の発見ができるのですね。

さて,I男の発見をきっかけに子どもたちの発見は,さらに深まっていきます。

「水はL,dL, mLで,一番大きくなるとLだけになるでしょ。だから,長さも㎝,㎜だったから,もっと大きくなると右側のmだけが残るんじゃないかな」
「それなら,㎜の10倍が㎝なら, mLの10倍にもcがついてcLがあるかもしれないんじゃないかな」


単位相互の関係から,単位の抜けている部分にも新しい単位が存在するのではないかという類推的な見方がさらに生まれてきました。

2年生でも,単位相互の関係の板書を工夫していくことで,それらの関係に気付くことができることが見えてきました。子どもの学習に壁はありませんね。

2dLはいい数

水のかさの算数の授業です。これまで子どもたちは,プリンカップなどでマイ1dLカップを作りました。自主学習では,家庭にある様々な入れ物のかさを調べる子どもがたくさんいました。

 

 この日は,コーラの瓶の水のかさを予想しました。子どもたちから生まれた予想は,次のものでした。

dL,8dL,2dL,3dLちょっと

 最後の「3dLちょっと」が発表された時です。

「『ちょっと』って,なーに?」

と声があがります。

それと同時に,

「単位はあるの?」

という声も聞こえてきます。

これらの声の意味を,クラス全体で共有していきます。


「8dL,2dLいい数でしょ」

 子どもらしい素敵な表現が生まれてきました。そこで,「いい数」の意味も共有していきます。


「9dL,8dL,2dLはすっきりとした数」

「ちょうどの数」

「でも,3dLちょっとの『ちょっと』はすっきりしていない。だから,Lの次がdLだったみたいに,もっと小さい単位があるんじゃないかな」

「長さも,2本の鉛筆の長さ比べをしたとき,8㎝と8㎝ちょっとでははっきりしなかった。でも,㎜があったら(差が)はっきりした」

「だから,水のかさももっと小さい単位があるといい」

 

 「いい数」という素敵な言葉の意味を共有することで,dLの下位単位の必要性に子どもたちが気付いていくことができました。


 この後,mLというdL1/100のかさの単位があることを教えました。新しい単位を使ってコーラの瓶の水のかさを調べると,2dL24 mLになることが分かりました。残念ながら子どもから生まれた「いい数」ではありませんでしたが,mLを使うことではっきりしないかさも明確に表すことができました。mLのよさを実感することができました。

2020年7月4日土曜日

長さの水のかさの単位

2年生「水のかさ」の学習です。
Lの単位の存在を知った子どもたちと,様々な入れ物に水が何L入るのかを予想させました。その後,その予想が合っているのかを実際に水を入れて測定していきます。
その中で,「2Lちょっと」のような中途半端なかさの表し方に子どもたちがこだわり始めたことを,前回のブログでも紹介しました。

「長さにも㎝の下に㎜があったから,水にもLの下にもっと小さい単位があるはず」

このような声が子どもからあがってきました。そこで,Lの下にはdLがあることを教えます。さらに,dLを10倍したものがLである単位相互の関係も教えました。

すると,ここでK子が「おもしろいことがある!」と声をあげます。他の子どもたちには,この時点ではK子が気付いたおもしろさは,まったく見えていません。

「長さは,㎝と㎜でどっちもmが最後についている」
ここまでの説明で,「あ,そういうことか!」とK子の思いが見えた子どももいます。一方,まだその気持ちが見えない子どももいます。

「水も,LとdLだからどっちもLがついている」

「本当だ!」という声が聞こえてきます。一方,「どういうこと?」という声も聞こえてきました。ここは,時間をかけてK子の発見をクラス全体で共有していきます。

K子は3年以降で学習する単位相互の関係に気付いたのです。長さ・かさにはそれぞれ単位の記号の共通点があることが「おもしろい」と感じたのです。すばらしい発見です。

子どもたちは,長さには㎝の下位単位がある既習経験から,それと同じ関係が水のかさのLにもあるだろうと考えました。さらに,L,dLを学んだあとは,長さと水のかさの単位相互の共通点があることにも気付いたのです。教師の想定を超えて,2年生でもどんどん学びを深める姿に驚いた1時間でした。