2021年6月17日木曜日

「授業づくりと問いが深まる発問のポイント」セミナーのお知らせ

 緊急事態宣言が解除されそうです。ようやく対面の講座も開始できそうです。


教員サークル「わっしょい」主催で,「授業づくりと問いが深まる発問のポイント」をテーマとして対面講座を開催します。今回は3時間の連続講座です。子どもが算数を愉しいと感じる授業作りのポイントだけではなく,学級作りについての講座も開催します。是非,ご参加下さい。

日時 2021年7月22日(木曜日・祝日)

会場 『西宮市若竹生活文化会館』

参加費  2,500円

「わっしょい」の先生方の講座も開催されます。若い先生方の講座も楽しみです!

詳細・申し込みは以下のアドレスからお願いします。

https://www.kokuchpro.com/event/b4787744a1efdd3695005ae47397cd56/

2021年6月16日水曜日

5000000に近い方が勝ちゲームをしよう!

算数の時間,子どもたちに「5000000に近い方が勝ちゲームをしよう」と投げかけます。クラスを半分に分けた対抗戦です。裏返しになっている数字カードをお互いに1枚ずつ引きます。引いたカードは一の位から順に並べていきます。


ルールを確認すると,「5000001が出たら,1違いで最高!」と声があがります。果たして,子どもたちの予想通りになるのでしょうか・・・。

 

代表の子どもたちが,順にカードを引きます。ネコチームが「91」,ここほれワンワンチームが「87」まで数字を引きました。次にネコチームが引いたカードは「5」でした。この瞬間,「終わった−」と悲しみ?!の声があがります。しかし,この声の意味はまだクラス全体には伝わっていません。

そこで,「終わった-」の声の意味を読解していきます。

500万に近いが勝ちだから,百万の位に5がほしいからだよ」

「でもさあ,46でもいいよ」

「えっ,4の方が500万に近いよ」

「どっちも同じでしょ」

 

百万の位に出てほしい数字の話題が生まれきました。百万の位の数字は,4でも6でも同じ近さなのかが,次の子どもたちの議論の中心となりました。456だけ見たら,465とは1違いですが・・・。子どもたちが,話し合いを続けます。

「もし,499万と500万なら1万違い。500万と600万なら100万も違う」

46785916342587なら,百万の位が4の方が500万に近い」

400万と600万ならどちらも100万違いで引き分け。4000001になったら,4の方が近くなる」

「だから,百万の位は6より4の方が近い」

具体的な数字の例が生まれることで,先ほどの議論のゴールが見えてきました。百万の位の数字は,6よりも4の方が500万に近いことが分かりました。


その後,ここほれワンワンチームが百の位の数字カードを引きます。なんと,このチームも「5」を引いてしまいます。ネコチームの悲しみは杞憂に終わったようです・・・。

最終的には,ネコチーム「8746591」,ここほれワンワンチーム「0412587」でした。500万との差を計算で求めていきます。その結果,ネコチームの圧勝でした。

5」が早く出たからといって,必ずしも悲観することはなかったようです。ゲームを通して数の大小判断や差の考え方を学んで1時間でした。

本実践は,「板書で見る全単元・全時間の授業3年上」(東洋館出版社)掲載の実践の修正追試です。




2021年6月15日火曜日

大きい数字はどれ?

3年生の子どもたちに「大きい数字はどれでしょう」と投げかけ,


右の画像を提示します。


子どもたちは,「今の段階では,黄色と緑の3が大きい」と考えています。その根拠を,次のように説明します。


「もしア〜カが全部0なら,黄色は3000000で青は100000だから黄色が大きい」

「青は勝ち目はない」

カードに0を入れる例示で大きい数字は,黄色か緑に絞られます。見えないカードに0という数を例示として代入することで,説明が一気に子どもたちに伝わりました。このような説明の仕方を価値付けます。


さて,ここで「どのカードを開いてみたいか」を尋ねます。ここで聞こえてきたのは,「カ」という声でした。なぜでしょうか?

 

「筆算は一の位から計算するから」


これが,その理由でした。既習の計算経験をもとにした子どもらしい発想です。しかし,ここ

で「アから見た方が早く分かる」と声があがります。この声の意味をクラス全体で考えていき

ます。


「もし黄色のカが8で緑のカが7だとしたら,黄色が大きい」

「でも黄色のアが1で緑のアが9なら,緑の方が大きくなる」

「もし,アが同じなら次にイを見る。また同じなら次々に見る」

「カから見たら,全部見ないといけなくなるかもしれない」


大きい位から順に数字を見たら,早く数の大小が決まるという数の構成に目を付けた声が生まれてきました。よい視点が生まれてきました。


そこで,アから順にカードを開けていきます。十万の位は黄色が8で緑が7です。アを開けるだけで,素早く黄色が大きいと決められました・・・が。

 

その後も残りのカードを開けていきます。黄色のカは空白,青のカ


は0です。教室は大ブーイングになりましたが,こうなると黄色よりも青が大きい数になります。しかし,緑のカに数字があれば,緑が最大値になります。このようにカードに隠された部分に,数値ある場合・ない場合を考えることにも意味があります。


結果は,緑のカも空白でした。従って,青が最大値になることが分かりました。


一の位の位置を意図的にずらすことで,最後までドキドキ感を味わう展開となりました。




2021年6月12日土曜日

バイ×2ゲームをしよう!

 子どもたちに,次のように投げかけます。

「カピバラチーム対犬チームで,バイ×2ゲームをしよう」

クラスを半分に分けます。カピバラチームと犬チームの対抗戦です。代表の子どもがじゃんけんを行います。勝ったら,得点が10倍になります。負けた場合は,得点は変わりません。

このルール説明を行ったとき,次の声があがりました。

「もし0点だったら,何回勝っても0点になる」

「0×10は0だもんね。何回繰り返しても0点だね」

0の特殊性に気付いた声です。よい視点が生まれてきました。この気付きから,最初の持ち点は0点ではいけないことが見えてきました。

そこで,最初の持ち点は1点以上にすることにしました。代表の子どもに,裏返した1~9の数字カードから1枚ずつ選択させます。カピバラチームは9点,犬チームは6点を引きました。カピバラチームは大喜びしています。ところが,犬チームから声があがります。

「じゃんけんで勝てば6点が10倍になるから60点。その後もどんどん勝てばいいんだよ」

カピバラチームの喜びは,ぬか喜びだったようです。

いよいよジャンケンです。1回戦,2回戦は,両チーム1勝1敗でした。犬チームの場合の得点は,60点になります。子どもたちにその求め方を尋ねます。

「6点の10倍だから,6×10で60だよ」

「6+6+6+6+6+6+6+6+6+6でもできるよ」

「でも,それってめんどうくさい」

ここまでは既習の計算で10倍の数を求めることができます。

3回戦の勝負は,犬チームが勝ちました。従って,60点の10倍を求めることになります。子どもからは,「簡単」「60×10」という声もあがりますが,首をひねっている子どもの姿も見えます。60×10はまだ未習だからです。そこで,「どうやって考えたらいいのかな?」と子どもたちに尋ねます。すると,次の声が生まれてきました。

「さっきは,6点の10倍が60点だったでしょ。すると,0が1つ増えたでしょ。だから,次の60点も10倍したら0が1つ増えるんじゃないかな」

6点の10倍が60点になる関係で見つけた0の変化のきまりを,60点の10倍にも同様に当てはめて考えたのです。類推的な考え方が生まれてきました。既習を生かす素晴らしい発想力です。

しかし,本当に0が1つ増えるのかは,「60+60+60+…+60」の計算をしないと,この段階の子どもたちには確かめられません。「面倒」という声もあがりましたが,子どもの予想通り答えは600になりました。10倍したら,今度も0は1つ増えました。類推的な考え方が確かめられました。

すると今度は次の声が生まれてきます。

「だったら,100倍したら,0は2に増える」

「1000倍したら,0は3つ増える」

「100000000倍したら,0は8個増える」

10倍の10倍は100倍です。従って,6点の100倍は600点なので,0が2つ増えることが確かめられました。

すると,子どもたちがこの見方のよさを語り始めます。

「0が増えるきまりをつかえば,たし算もかけ算もいらなくなる」

「すぐに答えが分かって簡単だ」

簡単に10倍の得点を求められることが分かりました。残りの時間は,ジャンケンを繰り返し,10倍の数を何回も考えていくことができました。




2021年6月7日月曜日

読み方を考える(一万を超える数)

算数の時間,「一万の位」の読み方を学習した子どもたちに,「人口は何人かな」と投げかけます。


最初に提示したのは長岡京市の人口です。数字で書くと「81065人」となります。この数字の読み方を漢字でノートに書かせました。「八万」までは全員が同じ漢字を書きました。しかし,千の位の「1」の書き方にズレが生まれました。「千」と「一千」です。


そこで「一千」と書いた気持ちを読解させます。

「千が1個だから,一千と書いた」

「一千と読むこともあるよ」

「だったら,千でも一千でもどっちでもいいんじゃないかな」


「一千」でもいいと考える子どもや,「どちらの読み方のある」と考える子どもが増えてきました。すると,ここで「でも」と声があがります。


「でもさあ,10を『一十』とは読まないでしょ。100も『一百』とは読まないから,1000だって『千』でいいんじゃないかなあ」


これまで,10100を読むときに「一」を接頭語として付けることはありませんでした。これまでの数字の読み方とつなげた考え方が子どもから生まれてきました。

10100の読み方から,1000も「千」と読む妥当性が見えてきます。このような見方ができる子どもたち,すごいですね。

 

次に,高槻市の人口「350819人」を提示します。この読み方を,子どもたちは「三十五万八百十九」と表記します。この読み方を考えることをきっかけに,新たな発見が生まれてきました。

「3は一万が10個集まると十万になるから,三十万と読む」

「だったら,一万が100個集まれば百万。1000個集まれば千万だね」

「無限ループになっている」

「一十百千が万でも繰り返すからループだ」


十進位取り記数法の仕組みに気付いた声が生まれてきました。「一十百千」がこの後も永遠に繰り返されそうだという声も生まれてきました。


このように考えると日本の数表記はシンプルに構成されていることが見えてきます。子どもの気付きをきっかけに,数のいろいろな仕組みが見えてきた1時間となりました。



2021年6月4日金曜日

何文字あるかな?

子どもたちに,「ネコチーム・トラチームのそれぞれの文字数の合計を求めよう」と投げかけます。ネコ・トラチームは,クラスを半分に分けたチーム名です。


文字が大量に書かれたプリントを配布します。そこに書かれた


文字を見た子どもからは,「気持ち悪い」「えー」という声があがります。文字数の多さに感動?したのでしょうか。


子どもからは「全部同じなら簡単」と声があがります。全員が同じ文字数のプリントなら簡単だという声です。果たして,子どもたちの希望通りのプリントなのでしょうか・・・。


子どもたちのプリントの多くは同じ文字数です。しかし,一部の子どもには異なる文字数のプリントを意図的に混ぜています。


同じ文字数のプリントは,合計2000文字あることが分かりました。ネコチームは,2000文字の子どもが14人いました。2000文字が5人分で10000文字になります。10人分では20000文字になります。残りの4人分で8000文字です。この合計は28000文字です。本時は,1万を超える数の学習場面です。この部分の数え方はていねいに進めます。

さて,2000文字とは異なるプリントをもらった子どももいます。その子の文字数は280文字です。従って,ネコチームの合計は,28280文字となります。


28280文字の量を実感させるために,154枚のプリ


ントを貼らせました。子どもたちは位取りを意識しながら,右のように並べました。この文字数は本当に大量です。


トラチームの文字数も数えます。トラチームにも,2000文字でないプリントが混じっています。合計は31147文字。これも大量です。トラチームは下のように並べます。並べ方にも個性が見えますね!




























2021年6月2日水曜日

速く落ちるのはどっち?

3年生「時刻と時間」の一コマです。

大きさの異なる2枚の三角形の折り紙を提示し,


次のように投げかけます。

「速く落ちるのはどちらでしょう」


最初に,黄色い折り紙を落とします。ひらひらと落ちる折り紙を見ながら,子どもたちは自然に「1,2,3,4,5」と数を数えていました。

そこで,「なんで数を数えているの?」と尋ねます。

「もし,緑の折り紙が1,2,3,4だとしたら,緑が速いと分かる」

「数によって,どっちが速いが決まるんだよ」


 見えているようで実はよく分からない速さを数値化することで,その比較ができるという声が生まれてきました。数値化のよさに目を付けたすばらしい考え方です。


 ところが,この説明に対して,さらに次の声が聞こえてきます。

「ただ数えるだけじゃあだめだよ。黄色と同じ数え方を緑でもしないと正しくないよ」

「黄色は,『いち・にい・さん』だったでしょ。でも,緑を『いーち・にーい・さーん』と数えたら正しく比べられないよ」

「同じリズムで数えないとだめだよね」

「人が数えると,ずれちゃうかもしれないね」

「みんなで手拍子を揃えて数えたらいいね」


 単に数値化するだけではなく,いつでも一定のリズムで数を唱えることで正確に比較ができ

るという指摘です。短い時間をなんとか一定の長さで数値化する必要感につながる視点が子ど

もから生まれてきました。この視点が,ここで学習する「秒」の単位へとつながっていきま

す。


子どもたちは,「全員で手拍子の練習をした方がいい」と考えました。一定のリズムを保つ

ためです。そこで,手拍子の練習をします。その後,緑の折り紙を落とします。緑の折り紙は「1,2,3,4,5,6」で落ちました。

この結果,速く落ちたのは「5」対「6」で黄色の折り紙であることが分かりました。


新しい単位「秒」を使うことで,2種類の折り紙の落ちる速さを比較することができた1時間でした。