2021年12月30日木曜日

2021年が終わります

 2021年も終わります。今年最後の仕事は,新潟の算数愛に満ち溢れた若き先生方が主催する算数冬祭り講座でした。対面とオンラインのハイブリッド型で開催しました。

当日,新潟ではジャニーズのスノーマンのコンサートが連日開催されていたにも関わらず,会場に駆けつけてくださった先生方に頭が下がりました。スノーマンよりも算数に熱いサマーマン?を選んでいただいたのでしょうか・・・。ありがとうございます。

年末は,田中博史先生と共著で来春刊行の「算数授業の当たり前を問い直す」を執筆中です。ほぼ書きあげましたが,現在は詳細を見直しています。これはかなり刺激的な本になります。これまでに私が感じた素直な算数授業に対する違和感や疑問から出発し,新たな授業の羅針盤を実践例を交えながら提案していきます。あまりにも過激すぎて発刊禁止にならないといいなあ…。田中先生も私も,民間人ですから怖いものはありません(笑)

みなさん,よいお年をお迎えください!


2021年12月20日月曜日

関西大学初等部研究発表会(オンライン)開催のお知らせ

 2022年2月3日(土)に関西大学初等部研究発表会をオンラインで開催します。オンラインですが,生中継で4本の授業を公開します。公開する授業は,国語・英語・ミューズ学習(2本)です。講師として,筑波大学附属小学校の青山由紀先生から,国語授業のパネラーとご講演をお願いしています。

お申し込みは,以下のアドレスからお願いいたします。

https://www.kansai-u.ac.jp/elementary/2021/12/post-864.html#Contents

2021年12月19日日曜日

算数冬祭り もうすぐです!

  12月26日(日)新潟で開催される新潟算数サークルMAC主催「算数ウィンターフェスティバル」の開催1週間前となりました。

新潟は雪景色のようですが,会場は講師陣と参加される先生方の熱気で熱い講座が開催されることでしょう。

日時:12月26日(日)13時~

会場:新潟市立中央図書館(ほんぽーと)

対面30名 オンライン50名

まだ席に少しだけ余裕があるようです。新潟大学附属新潟小の志田先生をはじめ,地元新潟の力のある算数講師陣と一緒に,冬休み明けの算数授業を盛り上げていきます。お楽しみに!

お申し込みは以下のアドレスからお願いします。

https://www.kokuchpro.com/event/d12ea0eb6915067e555171d91f85cb83/


2021年12月17日金曜日

大きい方が勝ちゲームをしよう(小数)

 子どもたちに「大きい方が勝ちゲームをしよう」と投げかけます。

クラスを半分に分けます。代表の子どもが前に出て,順に裏返しに貼られた数字カードを表にします。カードは全部で10枚。0~9の数字が書かれています。その数字を,「」に入れます。一の位,小数第一位のどちらに入れるのかは,チームで相談して決めます。

1回戦を行いました。消防チームは4,救急チームは0を引きました。両チームとも,数字カードを小数第一位に入れました。

そこで,「0を小数第一位に入れた気持ちはわかる?」と尋ねます。子どもたちは,次のように考えました。

「もし一の位に入れたら,0.になって小さくなる」

「もし次に9が出たとしても,0.9では負けるよ」

「0.にしちゃうと,もう何が出ても負けちゃうよ」

「だって,数字カードは同じのはないんだから,消防チームはもう0は引かないでしょ」

「もう何が出ても負けちゃう」は,見えている数字と見えていない数字とをつなげて,論理的に考えた説明です。この説明を,ペア説明で確認し,ノートにも再現させました。論理的思考力を培うためです。

その後,ゲームを続けていきます。救急チームがカードを引く前に,「次に何が出てほしい」と尋ねます。子どもたちは,次のように考えていきます。

「9が出てほしい。9.0になるから」

「9が出れば,消防チームが8を引いても勝てる」

「8.4と9.0だから9.0が大きい」

小数の大小比較が,本時の目標です。すでに子どもたちは感覚的に小数の大小比較はできています。しかし,その感覚を数学的に整理していくために,次のように尋ねます。

「一の位は救急チームの9の方が大きいけど,小数第一位は4の消防チームが大きいよ。だから,1勝1負で引き分けじゃないの?」

すると,子どもたちは次のように説明してきます。

「違います。一の位が大きい方が勝つんだよ」

「前に,一の位と十の位の数字でゲームをしたでしょ。その時は,十の位を見れば大きい方が分かったでしょ。それと同じで,これも大きいくらいの一の位を見れば大きい方が分かるんだよ」(K子)

K子の説明は,既習の整数の大小比較と小数の大小比較が同じだと考えた説明です。対象範囲を拡張して考えていくすばらしい見方・考え方が生まれてきました。この見方・考え方を大いに価値付け褒めます。

実際にカードを引くと,5.4対3.0で消防チームの勝ちとなりました。

2回戦以降は,子どもたちに「同じ数字カードは1枚しかなかったけど,このルールで続けますか。それとも,2枚ずつに変えますか」と尋ねます。ゲームとしての面白さは,後者の方が上です。子どもたちも後者のルール変更を希望しました。

後半は,新しいルールでゲームを重ねながら,小数の大小比較を楽しんでいきました。





2021年12月9日木曜日

32個なら何点?(小数)

3年「小数」の導入場面です。


個で点ブロックゲーム」をしますと投げかけます。1人25個のブロックを持ち,ペアでジャンケンをしてブロックを取り合います。パーで勝つと3個,チョキは2個,グーは1個のブロックを相手からもらえます。ゲームは大盛況で終わります。各ペアで勝った子どもが獲得したブロックの数を,板書します。


その後,「ブロック10個で1点」というルールを伝えます。すると,子どもたちの手が次々とあがってきます。

「もし20個なら2点。でも,32個だったら3点はいいけど,2個はどうするの?」


中途半端な2個のブロックをどう点数化すればよいのか,子どもたちは悩みました。

すると子どもたちは,次のように考えていきます。

「2個はなしでもいいじゃん」

「もし29個なら,あと1個で3点。9個集めたのに損してる」

20個と29個が2点は不公平」

「それなら29個は3点にしたら・・・」

「1点より少ない点数の言い方があればいいのに」

「2点とあまり9個?」

「前に勉強した分数を使って9/10点にしたらいいよ」


分数を使えば,10個未満のブロックも点数化していくことができます。このアイディアをもとに,ゲームで勝った子どもたちの得点を点数化していきます。

「梨愛さんは2点と6/10点,森君は2点と9/10点・・・」

「なんか点ばっかりで長いなあ・・・」


既習の分数を使えば,1点よりも小さな得点を表すことはできます。ところが,整数部分と分数部分を分けて表記すると,長くなっていきます。そこに子どもたちは面倒くささを感じたのです。

ここで小数の存在を教えます。「1/10=0.1」という小数の定義を使うと,Mさんの得点は「2点と6/10点→2.6点」,H君の得点は「2点と9/10点→2.9点」と短く・すっきりとします。


1よりも小さい大きさの表し方の必要感とその表記の仕方を学んだ1時間でした。



2021年12月8日水曜日

GAKUTOセミナーIN京都 満員御礼!

2022年に2月19日(土)に開催の「GAKUTOセミナーIN京都」は,対面枠・オンライン枠とも満席になりました。早々にお申し込みいただいた先生方,ありがとうございます!

対面の方は京都で,オンラインの方は画面越しでお会いしましょう!

残念ながら今回参加が叶わなかった先生方,また,次回の「GAKUTOセミナー」でお会いしましょう。今後は,神奈川、千葉、静岡、大阪、広島でも開催します。お楽しみに!

2021年12月7日火曜日

これって1/4mなの その後

前回の分数学習のその後です。右図の色の塗られた部分が「1/4m」かどうかで,子どもの考えが分かれました。


 先ずは,全員が納得していることを確認します。「2mを4等分した内の1つ分」が,色が塗られた部分です。

ここまでは,全員が納得です。ところが,これを「1/4m」と考えるのか否かで子どもの考えが分裂しました。


 「2mを4等分した内の1つ分だから1/4m」

 これは前回も登場した「1/4m」と考える子どもたちの説明です。


1/4mでなはい」と考える子どもから,新たな説明が生まれてきます。

「2mじゃなくて1mだけ見ます」

 2mの長さの紙を半分に折ります。1mだけが見えてきます。すると,色の塗られた部分の長さが先ほどまでとは違うように見えてきます。


「1mを2等分した1つ分だから1/2mになる」

「1mをもとにして考えるから,1/2mだよ」

「そういえば,今までの問題も全部1mをもとにして考えていた」

「1mよりも小さい長さを表したいから分数を使った。だからもとにするのは1mじゃないとだめだよ」


 2mある図を半分に折ることで,1mだけに注目させます。すると,先ほどまで1/4mだと見えていた場所は,1/2mに見えてきます。1/2mの幅は変わっていないのに,図を元通りにしたからといって,1/4mになることはありません。図を半分に折るという子どものアイディアで,全員が納得をしていきました。


 単位の付く分数は,基準量は「1」なのです。従って,「2mの1/4」ではあっても,それを「1/4m」とは表現しないのです。2mのテープを半分に折ることで,基準量の「1」を意識する大切さが見えてきました。これで全員が納得しました。


最後に,「多くの人が騙された原因は何かな?」と尋ねます。

「テープの長さをよく見ないで,1/4mと考えたからだ」

「もとが1mなのに,そこをよく見ていなかったからだ」

 分数には,「分割分数」と「量分数」という2つが存在します。2年生では前者を,3年生では後者を学習します。この年代の子どもたちは,この両者の区別が混沌とすることがあります。その自然な姿から,両者の違いを子どもの力で明確化していくことができました。