2018年7月12日木曜日

子どもの発想に寄り添う

京都の小学校で授業を行いました。4年生の子どもたちです。次のように投げかけました。

個の点をつなぎます。三角形はいくつできますか」

まずは,4個の場合で問題のイメージ化を図ります。正方形状に点を4個かくと,三角形は2個できます。線と線は交わらないというルールをここで確認します。

授業前は,この後,点が8個の場合を考える展開を予定していました。ところが,子どもから「中に点が入ったら3個できるかも...」と声があがります。素敵な声です。この授業のねらいは,点の位置により,できる三角形の個数が変わることです。予定では,点が8個の場合を実験することで,このきまりに気づかせようと考えていました。ところが,点が4個の段階で,それに気づいた声があがってきたのです。そこで,予定変更。子どもの声に寄り添って展開を修正します。

「本当に中に点が入ったら,三角形は3個できるのかな? 実験しよう」

このように,子どもたちに投げかけます。子どもたちは,ノートに実験していきます。やがて,「できた」という声が聞こえてきます。子どもたちの予想通りの結果になりました。
点が中に入ると,三角形が3個できることが見えてきました。

三角形が3個できることを見つけた子どもたちに,次のように投げかけます。
「点の数が変わっても,中に点が入るとできる三角形の数は増えるのかな?」
増えると予想する子どもが多くを占めますが,そうではないという子どももいました。子どもの考えにズレが生まれたのです。
そこで,点が5個の場合を実験します。子どもたちは,ノートに図を描いていきます。
「4個ができた」
「3個ができた」
という声が聞こえてきます。点が中に入ると,三角形が増えることは間違いなさそうです。
しばらくすると,今度は「5個もできた」という声が聞こえてきます。3個や4個の作図ができたことで満足していた子どもたちは,本当?という驚きの表情をしています。子どもたちの実験が,再び始まります。

やがて,点を中に2個入れると三角形が5個作図できることが見えてきます。5個の三角形ができた子どもたちは,大喜びです。とても素敵な表情が,授業終末には教室に溢れました。

教師の想定を超える発想が,授業冒頭で生まれた授業でした。指導案の展開とは全く異なりましたが,本時で発見させたいきまりを子どもたちは見つけていくことができました。子どもの素敵な発想に耳を傾け,それに寄り添った展開を進めることで,子どもの笑顔が溢れる授業が創れた1時間となりました。