2018年7月4日水曜日

小数の世界を拡張する

4年生「小数」の学習の導入場面です。子どもたちに,次のように投げかけます。

「てん〇てんゲームをしよう」

子ども1人にブロックを25個ずつ配ります。隣同士でじゃんけんをします。グーで勝つとブロックを1個相手からもらえます。チョキなら2個,パーなら3個もらえます。

ルール確認後,1回戦のゲームスタートです。どのペアも,大盛り上がりです。やがて,手持ちのブロックがすべてなくなってしまう子どもも出てきます。

ゲームを止めて,ブロックの数を確認します。最少は0個でした。2個,3個,7個の子どももいます。しかし,このゲームは個数で競うのではありません。得点で競うのです。「てん〇てん」とは,「10個で〇点」という意味です。1回戦は,「10個で1点」であることを伝えます。
ブロックが2個の得点は,0.2点です。ここで,0.2点でよい理由を尋ねます。

「1点の1/10は,0.1点でしょ。0.1点が2個だから0.2点になる」
「10個の1/10が1個,1点の1/10が0.1点。どちらも1/10だね」

3年生で学習した小数第一位までの小数の見方が生まれてきました。子どもたちは,自分のブロックの個数を,小数で表します。

続いて2回戦を行います。同じように子どもたちは大盛り上がりです。
ゲーム終了後,ブロックの数を調べます。2回戦の「てん〇てん」は,「10個で0.1点」であることを伝えます。

2個のブロックを獲得した子どもの得点を尋ねます。多くの子どもからは,「れいてんれいに点」と声があがります。しかし,その意味が理解できない子どももいます。まだ未習の数の範囲です。理解できないのは当然です。

そこで,子どもたちに次のように投げかけます。
「ブロックが2個だと,れいてんレイニーと言っているけど,それってどういうこと? 雨が降っているの?」
子どもたちが,説明をしてきます。
「10個で0.1点でしょ。1個だと位が下がるんだよ」
「整数だと10個集まると位が1個左に増えたでしょ。今は小数だから,反対に位が1個右に行く」
「だから,0.の右に0が1個増えて,0.02となるんだよ」

子どもたちは,整数の位取りの見方・考え方を,小数にも当てはめて考えたのです。同じように考えれば,10個集まる毎に右に位が増えていくことも納得です。

その後,ブロックが3個だと0.03点,8個だと0.08点になることを確認します。さらに,12個だと0.12の表記になることも納得です。しかし,この数字の読み方は「れいてんいちに」なのか「れいてんじゅうに」なのか,子どもたちに尋ねます。
子どもたちは,次のように説明してきます。
「もし,3.141597・・・・・78と1億個数字が続くとすると,小数第一位の1は1億と読む。小数点の右に数字がいくつ続くかで,読み方が変わるとおかしい」
「小数点の右に2個数字が続いたら十,3個続いたら百と読んだらめんどう」
「だから,いつも同じれいてんれいれいにと読まないとだめなんだ」

小数の範囲を拡張していくことで,小数の正しい読み方を子どもたちが見つけていくことができました。

10個のブロックの点数を変えることで,小数第3位や第4位へと小数の場面を拡張していくことができます。ゲームを通して,小数の範囲を拡張したり,位取りの意味を確認したりできた1時間でした。