2019年6月7日金曜日

1年生「たしざん」はカニで?

1年生「たしざん」の導入場面です。子どもたちに次のように投げかけます。

「左のお家にカニが3匹います。右のお家にカニが2匹います。2つのお家のカニを合わせると何匹になりますか」

子どもからは,「5匹」と声があがります。そこで,「本当に5匹なの」と投げかけます。子どもたちは,「だから…」と言いながら説明を始めます。

「左に1,2,3でしょ。右にもカニがいるから4,5で5匹」

「左のカニを真ん中のお家に引っ越します。右のカニも真ん中のお家に引っ越します」
「真ん中のお家には,1,2,3,4,5で5匹です」

子どもたちの目の前には,3匹のカニと2匹のカニが見えています。そのカニを数えていけば,5匹であることは分かります。この段階では,教科書などにあるようなブロックを使って3+2の場面を再現する必要感は子どもにはありません。

5匹という答えが見えてきました。そこで,次のように子どもに投げかけます。

「5匹だとわかったね。では,黒板の絵をノートに写してください」

この瞬間,子どもからは「はーい」という返事と同時に,「カニなんてかけない」という声があがってきました。カニには手が何本もあります。ノートにカニの絵を描くのは大変です。すると,その声を聞いたT子が,「だったら,(カニを)〇でかけばいいじゃん」と声をあげます。より簡便な図にするよいアイディアが生まれてきました。そこで,T子のアイディアのよさを投げかけます。

「T子さんが『カニを〇にすればいい』と言ったね。〇にすると何がいいかな?」

T子のアイディアのよさは,1年生にはすぐには伝わりません。このように時間をかけて共有していくことが大切です。

「〇にすると,時間があまりかからない」
「〇にすると簡単にできる」

〇のアイディアのよさが共有できました。そこで,カニを〇に置き換えてノートに写させました。
黒板通りにノートに写す子どももいましたが,そうではない子どももいました。
「〇〇〇●●」(A)
「〇〇〇 ●●」(B)
このように〇を並べて図をかく子どももいました。これらの図を描いた気持ちの読解活動も進めてきます。

読解活動の結果,子どもたちは「〇〇〇 ●●」タイプの図が分かりやすいと考えました。
「右のカニと左のカニの間が空いていた方が分かりやすい」
「〇がくっついていると,左と右のカニが違っていることがわかりにくい」

この後,左の〇3個と右の2個を合わせることを3+2と表現することを教えていきました。

ノートに板書を写す場面をきっかけに,子どもたちは簡略な図を描く必要性を感じていきました。〇を使いこなしながら,子どもたちはたし算場面を考えていくことができました。