2022年9月27日火曜日

画用紙を半分に折ると?

 子どもたちに「画用紙を半分に折ると,角はどうなるでしょうか」と尋ねます。意図的に曖昧な発問を行います。この発問から,子どもたちは「どこの角のこと?」「どう半分に折るの?」と声をあげてきました。このように,問題の曖昧さを子どもに指摘させ少しずつ問題場面を明確にしていくことも,ときには必要です。

紫の大きな画用紙に対角線を1本引きます。そこと底辺の間にできる角が,本問題での角です。これで角の位置が確認できました。次に,画用紙は左右に半分に折ります。その半分になった画用紙にも,対角線が引かれ同じ位置に角が出現します。その角と,紫の画用紙の角との大きさを比べるのです。

多くの子どもたちは,「同じ長方形なのだから,角の大きさは変わらない」と考えます。一方,「なんとなく大きくなる」と感じている子どももいました。

さて,本当は角の大きさはどうなるのでしょうか。実際に紫の画用紙を半分に折って確かめます。すると,角は大きくなったのです。これには子どもたちもびっくりです。予想とのズレに出会ったからです。

すると,この結果から「だったら,もう半分に折ったらもっと角は大きくなる」と声があがります。角の大きさが,小→大と変化したので,次はもっと大きくなると考えたのです。多くの子どもが同様に考えました。一方,「小さくなる」「今と変わらない」という考えもありました。子どもたちの予想にはズレが生まれました。

そこで,さらに黄色い画用紙を半分に折ります。結果は,紫の画用紙と同じ角の大きさが出現します。こうなると,「分かった! 小→大→小→大が繰り返す」と角の大きさの変化の予想が生まれてきました。子どもたちも,今回の予想には自信満々です。そこで,ピンクの画用紙を半分に折り,角の大きさを確認します。結果は,子どもたちの予想通りとなりました。

さて,自信満々の子どもたちに赤い画用紙を提示し,「小と大,どちらの角の仲間かな?」と尋ねます。茶色い画用紙から,一気にジャンプしたのが赤い画用紙です。このままでは,何回折ってできた形なのかは分かりません。すると,「辺の長さを教えてほしい」「赤と紫を教えてほしい」と声が聞こえてきました。そこで,赤は2㎝×3㎝,紫は32㎝×48㎝であることを教えます。すると,「小さい方の仲間だ」と声があがります。そこで,その根拠を尋ねます。

「横の長さは,3㎝が48㎝だから16倍。縦の長さは,2㎝が32㎝だから16倍」

「縦も横もどちらも16倍だから,小さい角の仲間」

「赤の横の3㎝は縦の2㎝の1.5倍。紫の横48㎝は縦の32㎝の1.5倍。どちらも1.5倍だから,小さな角の仲間」

「黄色の横の32㎝は縦の24㎝の1.333・・・倍だから,倍の数が違うから同じ仲間じゃない」

縦の辺同士と横同士の割合,また,縦と横の割合で比較する2つの見方が生まれてきました。これらは「比」の学習につながる見方です。「比」の導入を,画用紙を使って展開した1時間でした。