2024年4月15日月曜日

本当に0.09㎜?

 子どもたちに,次のように投げかけます。

「コピー用紙の厚さは0.09㎜です」

ここまで問題文を板書したところで,「それって本当?」という疑いの声が聞こえてきました。そこで,問題文に続けて,次の言葉を付け足します。

「これって本当?」

子どもからは聞こえてきたのは,次の声です。

「測れないよ」

「薄いけどできるよ」

「定規の目盛りは1㎜までしかないよ」

「でも,1/10くらいは測れるよ」

子どもたちが持っている定規で,0.09㎜を測れるのかが話題となりましたが,なんとかできるのではないかとの声も聞こえてきます。そこで,コピー用紙1枚に定規を当てて測定してみることにしました。

結果は・・・,測れません。すると子どもたちは紙を折り始めます。折ることで定規で測れるようにしようと考えたのです。しかし,これでもズレがうまれてうまくいきませんでした。

そこで「100枚ならできる」と声があがります。この声の意味を共有していきます。

「1枚は0.09㎜だと測れない。だから,100枚にする」

「100枚なら,0.09㎜の100倍だから9㎜になる」

「9㎜なら定規で測れる」

100倍すると,小数点が右に2個移動します。0.09㎜が9㎜に変化します。これなら定規で紙厚を測れます。

そこでコピー用紙100枚の厚さをチームごとに測定することにしました。しばらくすると,「本当に9㎜だ!」という感動の声が聞こえてきました。

100枚で9㎜ということは,1枚なら9㎜を1/100にするので小数点が左に2個動きます。結果は,0.09㎜となります。コピー用紙会社の説明通りの結果となりました。

100倍・1/10倍と小数点の移動の関係を使って,コピー用紙の紙厚を調べていきました。



2024年4月13日土曜日

『小学校算数「きまり発見」の授業のつくり方』5月24日刊行!

算数授業で最もよく聞こえてくるのが「きまりがあります」という声です。この声は1年生でも自然に発する声です。このきまり発見をベースに,類推・一般化・演繹など様々な数学的な考え方へと子どもたちの数学的な考え方を培っていくことができます。

きまり発見をベースにした数学的な考え方を培う授業のつくり方に焦点を当てた本が,いよいよ5月24日に明治図書から刊行されます。刊行迄,もう少しお待ちください!


 

2024年4月11日木曜日

50に近い方が勝ち!

子どもたちに「50に近い方が勝ちゲームをしよう」と投げかけます。
十の位〜小数第3位までの空欄がある数を設定します。その中に,裏返された数字カードから1枚を開き好きな位に入れていきます。数字カードは,0〜9の10枚です。同じ数字は1枚しかありません。
このルールを説明しただけで,子どもが話し合いを始めます。
「それなら十の位に4か5を入れたらいい」
「5なら一の位は0か1」
「4なら一の位は9か8」
「4か5が出ても,その後の数もあるから,4・5だけでは勝負は決まらない」
「例えば59になったらアウト」
具体的な数字を例に出しながら,説明を進めることができました。このように具体例を提示して話を進めると,50に近い数のイメージが持てます。

その後,ゲームを進めます。1回戦は,29.601対53.478という結果となりました。
続いて2回戦を行います。「4□□□」対「2.□□□」(グラウンドチーム)までカードが引かれました。グラウンドチームが2のカードを一の位に入れましたが,このままではグラウンドチームは負けてしまいそうです。
こんな状況で聞こえてきたのが,次の声です。
「次は5が出てほしい」
「5は1/7で出る」
突然,分数の話題が生まれてきました。そこで,この意味を読解します。
「残りのカードは8枚。相手が次に引くから,5が出るのは1/8」
「もし相手が5を引かなければ,グラウンドチームが5のカードを引くのは1/7になる」
「5じゃないカードが出るのは6/7」
子どもたちは,分数を使うことで,5とそれ以外の数字が出るリスクを確率的に考えていったのです。5年生は割合の学習を行いますが,そこにつながる見方が生まれてきました。
最終的に,41.635対92.078という結果になりました。出てほしいと願った5を出すことは,グラウンドチームはできませんでした・・・。
小数の学習を通して,割合の見方につながる考えが生まれてきた1時間となりました。


 

2024年4月10日水曜日

じゃんけんアップダウンゲーム!


子どもたちに「じゃんけんアップダウンゲームをしよう」と投げかけます。
クラスを2チームに分けます。最初の持ち点は両者123点です。代表がじゃんけんを行い,勝ったら得点が10倍,負けたら得点は1/10になるルールです。
このルールを聞いた子どもから,声があがります。
「1/10だとわれないんじゃない?」
「えっ,われるよ」
「負け続けると,小数になるよ」
「もし1点なら,負けたら0.1点になるよ」
「たくさん負けたら,小数になるんだよ」

負け続けると,小数に数値が変化していく見通しが生まれてきました。
さて,この見通しは本当でしょうか? 持ち点123点でスタートします。
ゲームが進んで,両者の得点が「1.23」対「12300」という大差になりました。ここで生まれてきたのが,次の声です。
「100倍したら同点になる」
「小数点が2個動く」
倍数と小数点の動きに関係性があることを指摘する声です。しかし,この声はすぐには共有されません。なぜなら,かなり抽象度の高い説明になっているからです。

そこで,この声の意味を考えていきます。
「1を10倍すると10になって,小数点が1個右に行く。もう1回10倍すると,また小数点が1個右に行く」
「10倍,10倍で100倍だから,小数点は右に2個動く」
「小数も同じで,1.23を10倍したら12.3になって,小数点が右に1個動く。12.3を10倍したら,また小数点が1個右に動く。100倍したら,2個右に動く」
「だから,整数と小数は100倍したら同じように小数点が動く」

整数値を10倍,100倍した見方を,小数の世界にも当てはめていく見方が生まれてきました。見方が適用できる範囲を拡張した説明です。このような見方で対象を見つめていくことは,算数では大変に価値のあることです。よい見方が生まれてきました。
この説明で,全員が倍数と小数点の動きを納得することができました。

その後もゲームを続け,最後は両者仲良く引き分けという結果で終わりました。

 

2024年4月9日火曜日

カードで勝負をつけまショー!(5年「小数と整数」)


5年生「小数と整数」の1時間目です。子どもたちに次のように投げかけます。
「カードで勝負をつけまショー!」
クラスを2つに分けます。□.□□□の中に裏返されたカードをめくって数字を入れていきます。最後に大きな数字が完成した方が勝ちです。
ただし,カードは2種類あります。最初のカードは,1〜3の数字が書かれたトランプがあります。その中から1枚選択します。その時点で,どの位に数字を入れるか決めます。その後,運命の2回目のカード選択があります。2回目のカードは,0〜3の4種類の数字で構成されています。ここで引かれた数字を,1回目に引かれた数字とかけ算を行います。従って,0を選択すると,トランプで3を引いても得点は0になります。
ゲームを進めていき,「6.0□□.02□」になった時点で,「いい勝負」という声が聞こえてきました。この声の意味を読解していきます。
「まだここでは決まらない」
「もしグラウンドチームが一の位が6になったら,6.000対6.029になるかもしれない。そうなったらいい勝負になる」
まだ引かれていない位に数字を仮定で入れることで,よい勝負結果になりそうだという声が聞こえてきました。よき見方が生まれてきました。

その後,ゲームを続けていきます。グラウンドチームの一の位が3になりました。その瞬間「負けた」「勝った」の声が聞こえてきました。この声の意味を読解します。
「だって,一の位で勝負が決まる。一の位は6と3だから,廊下チームがもう勝ちだ」

小数の大小判断を決める位の目の付け所が生まれてきました。
その後もゲームを続けていきます。最終的には,6.021対3.02の結果となりました。両者の差は,3.001になることも子どもから生まれてきました。

算数授業第1時間目は25分ほどでしたが,ゲームを通して小数の数の構成を考えていくことができました。



 

2024年4月4日木曜日

新年度の教材研究にも使えるスタディーサプリ算数講座!

いよいよ新年度が始まります。「教材研究はどうやってやればいいですか?」という質問を受けることがあります。先ずは自校の教科書と他社の教科書を比較します。さらに,東洋館出版社が出している「板書シリーズ」も合わせて比較します。板書シリーズは全時間の授業が掲載されています。

ここまでの方法は文書を読んで教材研究を進めます。もっとお薦めなのが,授業ビデオを見て教材研究を行うことです。私が講師を務めるスタディーサプリ小学校算数基礎講座小学校4~6年生は,全単元の授業をビデオで公開しています。教室での算数授業をイメージして撮影を行っています。先生方から「授業構想作成の参考になる」という声を多数いただいています。スタディーサプリは子ども向けだけではなく,先生向けにも活用できます。是非,参考にされてください!

お申し込みは以下のアドレスからお願いします!

https://studysapuri.jp/course/elementary/

今年も開催!淡路楽しmath講座

 今年も淡路島で算数講座を開催します。

開催日 7月28日(日)

会場  洲本市民交流センター

昨年に引き続き,淡路島の子どもたちを集めた公開授業を行います。昨年は4学年ミックス授業でした。さて,今年はどうなりますやら…。

申し込み・お問い合わせは植松大輔先生までお願いします。     

Eメール daisukeuematu78@yahoo.co.jp