2022年6月28日火曜日

全国算数授業研究大会開催のご案内

全国算数授業研究大会が8月9日(火)に開催されます。今回は,3年ぶりに対面での参加募集(100名限定)も行います。また,オンラインでの参加も併用します。

本大会では,私も授業ビデオの提案を行います。久々の対面での実施ですので,私もどんなパネルディスカッションが開催されるのかワクワクしています。


参加申し込みは,以下のアドレスからお願いします。

【参加申込ページ】

詳細は以下の通りです。多くの先生方の参加をお待ちしています!

全国の算数のエキスパートが集結! 東西の授業名人の授業など、対面&オンラインで同時公開!
2年「分数」尾﨑正彦(関西大学初等部)、5年「面積」青山尚司(筑波大学附属小)。

大会名: 第33回 全国算数授業研究大会

日 時 2022年8月9日(火) 08:50-16:40

テーマ 今こそ問う、個を大切にする授業とは

授業者 2年「分数」尾﨑正彦(関西大学初等部)
     5年「面積」青山尚司(筑波大学附属小学校)

時 程
08:20-08:50 待機室入室開始[オンライン]/受付開始[対面]

08:50-09:00 開会の挨拶
09:00-09:40 基調提案&シンポジウム
       提案者: 盛山隆雄 (筑波大学附属小学校)
            平川 賢 (昭和学院小学校)
            河内麻衣子(東京都・豊島区立高南小学校)
09:55-11:20 授業ビデオ公開&協議会 5年「面積」
       授業者: 青山尚司 (筑波大学附属小学校)
       司会者: 永田美奈子(雙葉小)
       協議者: 小泉 友 (東京都・立川市立幸小学校)
            中村 佑 (宮城県・仙台市立八幡小学校)
11:20-11:40 休憩、移動(オンライン参加者)          

11:40-12:00 ワークショップ1   <セッションA/7講座>
12:00-13:20 昼食・休憩
13:20-13:40 ワークショップ2   <セッションB/7講座>
13:55-14:35 Q&A講座       <セッションC/12講座>
14:35-14:50 休憩、移動(オンライン参加者) 

14:50-16:15 授業ビデオ公開&協議会 2年「分数」
       授業者: 尾﨑正彦 (関西大学初等部)
       司会者: 森本隆史 (筑波大学附属小学校)
       協議者: 江橋直治 (国立学園小学校)
            千々岩芳朗(福岡県・田川郡香春町立香春思永館)
16:15-16:30 会長総括  夏坂哲志 (筑波大学附属小学校)
16:30-16:40 閉会の挨拶

主 催: 全国算数授業研究会

協 力: 東洋館出版社

参加費: 4,000円

開催形態: オンライン&対面 ハイブリッド開催
・オンライン参加(500名まで): Zoomウェビナー,Zoomミーティングを利用
・対面参加     (100名限定) : 筑波大学附属小学校にて開催
※ 現在準備中 対面参加時の検温等について、会場校と最終調整をしています。

申込締切
オンライン参加: 8月8日(月)まで
 (入金確認が取れ次第、会員ページの[購入済みコンテンツ]内で当日の資料とZoom情報をダウンロードできるようになります。コンビニ決済を選択された場合はお早めに入金をお願いいたします。)

対面参加: 8月7日(日)まで
 (入金確認が取れ次第、会員ページの[購入済みコンテンツ]内で当日の資料をダウンロードできるようになります。コンビニ決済を選択された場合はお早めに入金をお願いいたします。)

キャンセルについて:
コンビニ決済の場合は入金後のキャンセルは不可
となります。
・開催日5営業日前の8月2日までにご連絡下さい。それ以降のキャンセル対応は致しかねますのでご了承ください。

注 意:
あと払い(ペイディ)でご購入された場合は、注文取消し処理をさせて頂きます。
・コンビニ決済について入金後のキャンセルは不可とさせて頂きますのでご注意ください。

ソフトボール投げの記録をドットプロットに!

子どもたちに,次のように投げかけます。

「5年生の時のソフトボール投げの記録を,ドットプロットにしてみよう」

この投げかけから生まれてきたのが,「横軸がめちゃめちゃ長くなる」という声でした。よい声が生まれてきました。そこで,この声の気持ちを共有していきます。

「もし,5m〜40mだとしたら,ノートに入らない」

「でも,1m刻みの記録なら入るんじゃない」

「それでも無理。ノートは横にしても28ますだから,たりないよ」

「それなら,0のデータを省略したらいい」

おもしろいアイディアです。0を省略したらノートに収まるかもしれません。ところが,この声に反論があがります。

「ないものがないと分かりにくくなる」

「1m,7m,100mと○があると,途中が省略されすぎて,よく分からない」

「なにが0mかも必要」

これで,データ数が0人の長さも必要だと子どもたちは考えます。しかし,これではノートに収まりません。すると,次のアイディアが生まれてきます。

「それなら5mずつデータをまとめたら。0〜5m,5〜10mみたいに」

「あー,それなら入る」

度数分表につながる見方が生まれてきました。このアイディアでドットプロットに表現することにしました。実はこの時点まで,まだ実際のデータは提示していません。それにもかかわらず,自分たちでデータを仮設しながら話し合いを進める子どもたちの姿は立派でした。

さて,5m刻みでドットプロットはノートにうまく収まりました。しかし,最頻値は24人。丸を24個も描くのは大変です。すると,「丸が多いなら,丸じゃなくて棒にした方が簡単だよ」と,今度は柱状グラフにつながるアイディアが生まれてました。

データ整理の限界から,度数分表へと展開していった1時間でした。


2022年6月27日月曜日

中央値と最頻値

 ドットプロットを学習した子どもたちに,「靴のサイズをドットプロットにしてみよう」と投げかけます。

靴のサイズを,ノートに表としてまとめます。その後,「ドットプロットに表そう」と進みました。するとここで,予期せぬ反応が聞こえきました。

「0から描くと場所がたりない」

「それなら棒グラフのように,波線で省略したらいい」

子どもたちは,横軸を0からスタートしようと考えたのです。私は,最小値の数字から描き始めると考えていました。子どもの反応は,ある意味自然な発想です。これについて,子どもの声が続きます。

「棒グラフは縦に伸びていた。もし100とかあれば,それは波線で下を消していた」

「今回は縦じゃなくて横に伸びる。でも,横に棒はないから波線じゃなくて,最初から20から始めたらいいんじゃないの」

これで,ドットプロットの左端の数字は20からスタートすることを全員が納得しました。

その後,ドットプロットが完成します。この調査では,最頻値と中央値がいずれも23.5と同じ値になりました。実は,前回のジャンケン大会のドットプロットも,最頻値と中央値が同じ値になりました。では,最頻値と中央値はいつでも同じ値になるのでしょうか。子どもたちは「いつでもそうとは限らない」と考えていますが,具体的な反例を見つけることはできません。

ところがしばらくすると,「テストの点数なら,そうじゃないのがある」と声が聞こえてきました。

「0点が1人,10点が1人,20点が1人・・・,80点が1人,90点が2人,100点が1人だとします。そうすると,最頻値は90点です。でも,中央値は60点と70点の間になる」(中央値の値の説明は正式には異なりますが,最頻値と重ならないことは事実です)

この説明で全員が納得です。分かりやすい例外が見えてきました。

ドットプロットに表現することを通して,子どもの素直な疑問が見えた時間となりました。




2022年6月25日土曜日

棒グラフからドットプロットへ

 1組・2組のじゃんけん大会結果を比較した際に,子どもから「グラフにすると分かりやすくなる」と声があがりました。そこで,この時間はグラフを使って結果を表現することにしました。

子どもたちに「どんなグラフにしたらいいかな?」と尋ねます。円グラフ・棒グラフ・折れ線グラフと,先ずはグラフの種類を指摘する声が聞こえてきました。しかし,それに続いて次の声が聞こえてきます。

「円グラフは割合を表すから,今回は違うよね」

「棒グラフはいいよね」

「折れ線グラフは,変化を表すでしょ。じゃんけん大会は変化じゃないから違うね」

子どもたちは,各グラフの特徴をよく理解しています。その上で,どのグラフを使うことが妥当なのか判断してきました。

そこで,棒グラフで2組の結果を表現します。グラフが完成すると,5回勝利が最頻値であるこが一目瞭然となりました。また,5回を中心に左右対称のグラフになっていることも見えてきました。

子どもたちが棒グラフでイメージした表現方法は,6年生で学習するドットプロットと似ている部分がかなりあります。ここでドットプロットを教えます。1組の結果を,ドットプロットで表現させます。

子どもからは,「〇を描いていく方が簡単」「〇を見ると,目盛りがなくても何回かすぐにわかる」「でも,100回とかだと〇は大変。棒グラフだと一気に描けて簡単」と声があがりました。問題場面に応じて,グラフを使い分ける必要性に気付く声も生まれてきました。



2022年6月23日木曜日

勝ったのはどっち?

 6年生「資料の調べ方」の学習です。子どもたちは事前に隣同士でジャンケンを10回行い,その結果を報告しています。

子どもたちに次のように投げかけます。

「1組と2組,ジャンケンが強いのはどちらの組でしょう」

これだけでは判断はできません。子どもからは,「2組の結果がほしい」「平均?」と声が聞こえてきました。そこで,次のように投げかけます。

「平均と言っている人がいるけど,気持ちは分かるかな?」

子どもたちは,次のように説明をしてきました。

「1人あたりの勝った回数で比べれば分かる」

そこで,各クラスの平均を求めていきます。その結果,1組も2組も5回となりました。結果は引き分けです。平均という視点で見ると,引き分けということになります。

この結果を見た子どもたちは,なんとか自分のクラス(1組)を勝たせたいと考えました。そこで生まれてきたのが,次のアイディアでした。

「6回以上勝った人の人数で調べたらいい」

5回は引き分けなので,完全に勝ったといえる6回以上の総数で比較するアイディアです。この視点で調べていきます。

結果は,1組が11人,2組が9人となり1組の勝利となりました。

さらに1組を勝たせるアイディアが生まれてきました。

「勝った回数の一番多いもので比べる」

各クラスの最高値で比較するアイディアです。1組は10回,2組は9回が最高値です。この視点からも,1組の勝利が見えてきました。1組の子どもたちは満足していますが,今度は「2組を勝たせる方法はないかなあ?」と優しい声も聞こえてきました。

「1番少ない回数で比べたらいい」

この視点だと,1組は0回,2組は1回です。2組の勝利が見えました。

「5回未満の人数で比べたらいいよ」

この視点で比べると,1組は11人,2組は9人です。少ない方が有利なので2組の勝利です。しかし,この見方に対しては,「でもこれって,6回以上が1組11人で2組9人と同じ事だから,2組が勝ちでいいというのは違うかな?」という違和感の声が聞こえてきました。

すると,2組を完全に勝利に導く視点が生まれてきました。

「5回の人の人数が,2組は多い」

5回勝利の人数で比較します。1組は8人,2組は12人です。この視点だけで比べると,2組の圧勝です。この視点は,「最頻値」でデータを見直したことにつながります。

ジャンケン大会の結果を活用して,データを見る様々な視点を引き出すことができた時間となりました。





2022年6月22日水曜日

価値付けは記憶に残る

 本校は大学までの一貫校です。中等部は同じ校舎にあります。先日,初等部6年生が中等部2年生の授業を参観する機会がありました。子どもたちを引率して教室に入ると,そこには初等部の時に私が算数を教えた子どもたちの姿もありました。私を見つけた子どもたちからは,

「あっ!尾﨑先生だ!」

「『すばら』懐かしい!」

「また『すばら』下さい」

などの声が聞こえてきました。「すばら」とは,子どもから生まれてきた見方・考え方が価値あるものだった場合に,私がホワイトボードに大きく「すばらC」というマークを板書し賞賛した印です。子どもたちは,この体験を鮮明に覚えていたのです。なかには,紙を差し出して「ここに『すばら』を書いて下さい」と懇願する子どももいました。もちろん書きましたけどね・・・。

授業の中で子どもの考え方を価値付けること・褒めていくことは,時間が立っても彼らの記憶に確実に残っていくことを証明する出来事でした。

価値ある見方・考え方が生まれた際には,大いにそれを価値付け,褒めていきましょう。できれば,先生方なりの褒め褒めマークがあるといいですね。本校の先生の中には,私の「すばら」マークを自分なりにデザインして板書する先生もいます!

2022年6月12日日曜日

あまりは?

 分数のわり算の時間です。次の問題を提示します。

「2.1/5Lのジュースがあります。2/5Lずつびんに分けます。びんは何本できて,何Lあまりますか」

立式から計算を行う場面まではスムーズに進みました。

「2.1/5÷2/5=5.1/2」

この計算結果から,子どもたちは「5本に分けられて,1/2Lあまる」と考えました。いずれの数値も前述の分数のわり算の答えにあるものです。子どもたちも,この答えに納得です。

ところが,「あまりがおかしい」という声があがってきます。この声に対して,

「なんで」

「なにがおかしいの? 説明して」

「答えに5と1/2があるんだから,これでいいんだよ」

と猛反発の声があがります。目の前に見えている数値は「5.1/2」しかないのですから,当然の反応です。これらの声を踏まえて,今度は「図を描いたら分かる」と声があがります。これまでの分数の学習では,最後は図で答えの真偽を確かめてきました。その経験が生きてきました。

ノートに作図を行います。ところがしばらくすると,「うまく描けない」という声が聞こえてきました。これまでに彼らが経験してきた図は,1当たり量を求めるものです。しかし,今回はそれとは異なります。包含除の問題場面です。

そこで,別のタイプの図を描いている子どもの図の一部をお手本として板書します。この図を頼りに,続きを全員で考えていくことにしました。

図が完成すると,あまりの部分は「1/2L」ではなく「1/5L」になることが見えてきました。そうなるとわり算の答えの分数部分の「1/2」は何かということが,子どもたちの新たな疑問となります。この疑問を乗り越える場面は,時間をかけて展開していきました。

「2/5の半分(1/2)だから,答えが1/5Lになる」

「2/5L入りのびんに入れるのが問題。1/2というのはその半分だけあまるということ」

「2/5Lのびんの中の半分だけあまる(図を描きながら)」

「(テープ図をさらに伸ばしながら)6本目のびんがあるとすると,6本目のびんの半分だけジュースが入るから,それが1/2」

「式でも分かります。2/5Lの1/2だから,2/5×1/2=1/5Lとなる」

答えに現れた1/2は水の量を表す数ではなく,わる数の割合を表していることを見つけていくことができました。