2018年6月26日火曜日

平行のある四角形は?

平行・垂直の4年生での実践を紹介しました。その後の授業をお伝えします。

子どもたちに,次のように投げかけます。
「平行のある四角形はいくつあるでしょうか」
子どもたちは,「2こ」「3こ」「4こ」「5こ」「12こ」と様々な数をイメージします。私の発問は,四角形の数を問うています。従って,この額面通り捉えれば無限に四角形は作成できます。ところが子どもたちは,四角形の種類と捉えたようです。ここは,子どもたちの思いに寄り添うことにしました。

子どもたちに,自分の頭にイメージできた四角形をノートに作図させました。それらの図形を,順次黒板に板書させます。
まずは,長方形と正方形が板書されました。この形には,平行が2組あることを確認します。次に子どもたちが板書したのは,平行四辺形です。この図形も平行は2組です。2組という視点で考えれば,長方形と同じ仲間と考えることもできます。そこで,次のように投げかけます。

「長方形も,この形(平行四辺形)も平行が2組なら同じ仲間でいいんじゃないの?」

子どもたちが,猛烈に反論してきます。
「長方形は直角が4つある。でもこの形(平行四辺形)には,直角がない」
「長方形とこの形(平行四辺形)を重ねると,2つの間に三角形の隙間ができる。だから同じ仲間とは言えない」

この形に,子どもたちは「別物」と名前を付けました。子どもたちは,辺の関係から角の関係にも目を向けてきました。よい視点の転換です。

次に,板書されたのは等脚台形でした。この形には,平行が1組しかありません。これまでは,平行が2組の四角形だけしたので,新しい形と考えられます。この四角形には,「別物2」と名前を付けました。

続いて板書されたのは,右上下の2つの角が直角になった台形です。先行学習をしている子どもたちは,この図形が板書された瞬間,「それは,さっき(別物2)と同じ形だよ」と声をあげます。「台形」という視点で見れば,同じ仲間だからです。しかし,先行学習をしていない子どもにとっては,この2つの図形を同じと見ることに違和感があるのです。「さっきとは別だよ」と,考える子どもが主張します。
「だって,この形には直角が2つある」
「別物には直角がないから,別の形だよ」
「長方形と別物2のあいのこだよ」

長方形と台形の,それぞれの特徴を併せ持った図形だという視点です。先行知識に邪魔されないからこそ生まれきた素晴らしい視点です。この形には「別物さん」と名前を付けます。

さらに板書されたのは,ひし形です。今度も子どもから,呟きがあがります。
「それって回転したら,正方形と同じじゃん」
「まっすぐに置いたら,正方形だよ」
ところが,この指摘に対して次の声があがります。
「正方形とは違うよ。角が直角じゃないよ」
「平行が2つあるけど,角が違うから正方形と別物(平行四辺形)のあいのこだよ」

再び角の視点で図形を見直す声が生まれてきたのです。さらに,正方形と平行四辺形の特徴を併せ持つことで,新たな図形であることが見えてきました。

平行のある四角形の数を問うことで,子どもたちのズレを引き出すことできました。さらに,子どもたちが板書した図形を,子どもの素直な見方で見つめ直すことで,それぞれの特徴を引き出すことができた授業です。