2025年6月17日火曜日

体積もできるかな?

「辺の長さが分数でも立体の体積は求められるかな?」
直方体の辺の長さが分数になっても,体積は求められるか尋ねます。縦横高さが分数値の辺の長さを提示します。
多くの子どもたちは,3本の辺の長さを一気にかけ算をして計算しました。一方,最初の2つのかけ算を行った後で,その答えと3つ目をかけ算する子どももいました。その子は,「なるほど,そんなやり方もあるのか」と感心していました。

その後は,「仮分数でもできるよ」の声を受けて,分数の範囲を拡張して計算を進めていきました。


 

2025年6月16日月曜日

大きいのはどっち?

「大きい方が勝ちゲームをしよう」
このように子どもに投げかけます。「3/7×□」の□に入る数字を,赤いカードを裏返して決めていく2チーム対抗ゲームです。

最初は,かけられる数の3/7が固定されています。従って,赤いカードが裏返されるたびに,「あー」「終わったー」などの声が聞こえてきました。
「終わったー」という声は,1よりも小さいカードが引かれた時に生まれてきました。一方,「あー」という喜びの声は,1よりも大きいカードが引かれた時に生まれてきました。

後半は,かけられる数もかける数も赤いカードから決めるという展開に変更しました。このルール変更で,一層わくわく感がアップしました。

赤いカードには小数値も混じっています。子どもたちは,それを分数に置き換えることで計算していました。ところが,計算結果の両者の分母が異なった場合は,通分ではなく再度小数に置き換えていました。状況に応じて数値を使い分けることも大切な見方・考え方ですね。


 

2025年6月15日日曜日

関西math勉強会盛り上がりました!

 昨日は兵庫県川西市で関西math勉強会が行われました。

3年生のわり算の模擬授業対決が2本,そして,ワークショップが6本と私の講演が行われました。

関西地区の若手の先生方が大活躍をしてくれました。中でも和歌山県田辺市の先生方のパワーがすごかったですねえ。人口約7万人の自治体にこれだけたくさんの熱心で力のある先生がいることに驚きました! きっとよい学びのサイクルができいるのでしょうね。他地域の先生方もうかうかしていられませんね。

懇親会では次回の企画と担当者があっという間に決まりました。このスピード感は,やる気のあるメンバーがいるからこそですね。これからますます発展していくスタートアップ企業のようですね。



2025年6月14日土曜日

帯分数でもできるかな?

 「辺の長さが帯分数でも長方形の面積は求められるかな」

このように子どもたちに投げかけます。多くの子どもは,「仮分数に直したら簡単」と考えます。

そこで,縦1・1/2m,横1・1/3mの長方形の面積を求めます。式から答えを求めることは簡単にできました。答えは12/6mです。しかし,この答えの正しさは図で確かめる必要があります。そこで,図で答えを確かめます。

図に線を入れて分数表記の面積を考えます。今回の問題場面では,分子が長方形全体になります。一方,分母は分子部分よりも小さくなります。これが,これまでの分数の図とは異なる点です。分母は「基準は1」であることから,縦・横1mの正方形部分に当たることを,時間をかけて共有していきました。

式と図を往還する学びが,分数学習では特に大切ですね。


2025年6月12日木曜日

図に面積が見えるかな?

「縦8/9m,横3/4mの長方形の面積を求めよう」
このように投げかけます。式を使って,答えが24/36㎡になることはすぐに分かります。

そこで,「図の中に24/36㎡は見えるかな?」と投げかけます。子どもたちは,長方形の図の中に分割する直線を引いていきます。ところが,困っている子どもがいました。一方,早々に線を引き終えた子どももいます。

そこで,多くの子どもが作図した図を提示します。縦方向に4分割,横方向に9分割された図です。そこで,「この図でいいね?」と念押しをします。

すると,「あれ?」という声が聞こえてきます。一方,「これでいいじゃん」という表情の子どももいます。
そこで,「あれ?」と疑問を抱いた子どもが説明を始めます。
「これだと4/4mに見えるよ」
「3/4mは4つに分けた3つ分。でも,これは4つに分けた4つ分」
「じゃあ,どうしたらいいの?」

この図では間違っているようです。そこで、図を修正します。今度は縦方向に3分割,横方向に8分割します。これなら3/4mに見えると子どもたちは考えました。この図の中に,分子に当たる24も見えてきます。

では,分母はどこに見えるのでしょうか。ここが次の問いになります。このままでは,分母は見えません。「?」が大きく子どもに浮かびます。

すると「だったら伸ばしたら」と声がします。オレンジ色のように図を外側に拡張していきます。しかし,この図を見てもその意味が読解できな子どももいます。ここは時間をかけて共有していきます。

「このままだと,横は3/3mに見えてしまいます」
「分母は1つ分だと№33で勉強したから,分母はもとの数」
「1つ分増やすと,4つに分けた3つ分が見える」
「縦も同じように1つ分増やすと,9つに分けた8つ分が見える」

これまでの学習は,分母に当たる部分は図の中に最初から位置づいていました。しかし,今回の問題は最初の図の中に,それは見えません。そこが難しい部分でした。外側に拡張することで,分母が見える展開でした。

 

2025年6月11日水曜日

仮分数が混じっていても大丈夫?

「仮分数が混じった問題も本当に前のやり方でできるかな?」
このように子どもたちに投げかけます。多くの子どもはできると考えましたが,心配な子どもも一部にいました。
最初に取り組んだのは,3/4×7/5になる問題場面です。計算の後,図で確かめます。これは前回も学習しているので,図の中に分子・分母部分を見いだすことができました。すると,次の声があがります。
「あれ? あそこと一緒だ」
「計算の式と,図の分母・分子の部屋の数を求める式と同じだ」
「図の中に式が隠れているね」

よい気付きが生まれてきました。

次に取り組んだのは,かけられる数もかける数も仮分数の問題です。4/3×5/4になる問題を考えます。図で確かめるときに,子どもが悩みました。
「あふれる・・・」

1Lのコップでに4/3Lは入りません。そこでコップを上方向に増やすアイディアが生まれてきます。これならうまくできそうです。
問題は図の中の分母部分を見いだす場面でした。分母だと考える場所が3つに分裂しました。子どもたちは話し合います。
「前も1Lがもとだった」
「過分数になってももとは変わらない」
「さっきは横にコップが増えた。今は上にコップが増えた。でも,もとは変わらない」

「もとは変わらない」の説明で全員が分母の場所を正しく見いだすことができました。


 

2025年6月9日月曜日

分数のかけ算の計算方法はいつでも使えるの?

 

「分数のかけ算の計算方法は,いつでも使えるのかな?」
このように子どもたちに投げかけます。前回は,4/5×1/3の計算方法を考えました。子どもたちは,分母同士・分子同士をそれぞれかけ算することで答えが見つけられる方法を発見しました。しかし,まだ試したのはたった1問です。

そこで,本当にこの計算方法が一般化できるのかを考えていくことにしました。
最初は,「1分で3/4Lを作るジュースマシン。1/2分では何L作ることができる?」を考えます。式で形式的に答えを求めることはできます。しかし,その答えの正しさは図で確かめるしかありません。
そこで,図を使って確かめます。結果は,図の中に答えの分数の分母・分子部分を見いだすことができました。この問題でも,前回の計算方法の妥当さが見えてきました。

その後,「仮分数でもできるの?」と疑問の声があがります。そこで,「1分で2/3Lを作るジュースマシン。4/3分なら何L作ることができる」を考えます。
式で答えを求めることは簡単でした。8/9Lと計算できます。この答えの正しさを,図で確認します。
ところが,作図が始まってしばらくすると半分ほどの子どもたちの手が止まります。「1分はできるけど,4/3分は?」と声が聞こえます。これまでは1分の内部を分割していました。しかし,この問題は仮分数です。1分を超える時間です。そのため,その状態を図でどう表せばいいのかが見えないのです。

最終的に,1Lのコップを左側に追加することで,そこに4/3分を見いだすことができました。ところがこの図の中に,答えに該当する分数を見つける場面でズレが生まれます。分子部分の8個はすぐに分かります。しかし,分母部分にズレが生まれます。2Lのコップ全体だとする子どもと,1Lのコップ部分だけだとする子どもです。
「分母は全体」
「全体はもともとを表す」
「もとは1Lだから,全体は1Lのところだけ」

分母に該当する基準量は6年生で混乱が見られる場面です。分数の意味に立ち返り,分母は基準量を分割したもの(もと)を想起することで,1L部分が分母になることが見えてきました。


2025年6月7日土曜日

分母を通分?

次の問題を提示します。
「1分間で4/5Lのジュースを作るマシンがあります。1/3分では何Lのジュースができる?」
式は4/5×1/3となります。すると,この式を巡って子どもたちの声が続きます。
「どうやるの?」
「前みたいにしたらいい?」

ここで,子どもから「前」という話題が出ました。子どもが考える「前」とはいつのことでしょうか。

「№18では4/5×3で分子だけ4×3をしたこと」
「でも,今は分母が5と1で違うから揃えないと…」
「通分?」
「例えば4/5×3だとすると,これは4/5×3/1とも考えられる。通分すると4/5×15/5になる。これで前みたいに分母・分子かけると,60/5になって本当の答えと違うから通分するのは違うよ」
「分数÷整数では分母をかけたから,これも分母をかけてもいい」
「通分するんじゃなくて,分母も分子もかけたらいい」

分母をかけ算することへの抵抗感から通分の話題が生まれてきました。分数の加減では通分で計算を行いました。ここを既習とした考えです。よい見方が生まれてきました。
しかし,それでは正しく計算できないことが例示を行うことで見えてきました。そこから,分母・分子をそれぞれかけ算すればいいのではないかという考えが生まれてきました。

分母・分子をかけ算すると4/15になります。しかし,本当にこの答えは正しいのでしょうか。図で確認します。

面積図を作図することで,分母部分も分子部分も図の中に見出すことができました。この結果から,分母・分子をかけ算することで計算できそうだということが見えてきました。しかし,実験数はまだ1つです。子どもからも「全部で3つ計算しないと分からない」と一般化を疑う声が生まれてきました。よい見方が生まれてきました。


 

2025年6月6日金曜日

関西算数授業セミナー「子どもが愉しむ算数授業とは」来週末開催!

 来週末の6月14日(土)に兵庫県川西市川西商工会議所を会場に,関西math勉強会が開催されます。間もなく満席です。お申し込みはお早めに!

さて,大会テーマは「子どもが愉しむ算数授業とは」です。「愉しむ」の意味や本質を探る研修会にしていきますね。

模擬授業対決やワークショップなど盛りだくさんの内容となっています。是非,ご参加ください。詳細・お申し込みは以下からお願いします!

https://www.kokuchpro.com/event/c47c1056a4599ef6d4be4dd4bb9411c3/

「あき子さんのグループは男子2人女子3人です。この中から3人ずつ毎日給食当番をします。男子1人,女子2人の組み合わせは?」
このように子どもたちに尋ねます。子どもたちは樹形図などを使って,調べ始めます。ところが,こどもからは「4通り」「10通り」「6通り」など様々な組み合わせ数が聞こえてきました。
最終的に,樹形図には重なる部分があることを確認し。6通りあることが分かりました。

続いて,男女の区別をしない場合を考えます。この場合は,表に整理すると簡単に組み合わせが見えてきます。
一方,五角関係図を使った子どももいました。3人選ぶので使えない?と考えてしまいますが・・・。
当番をしない子どもが2人いると考えると,対角線で関係図をつなぐことができます。子どもの発想は柔軟です。


 


鹿児島県算数部夏期研修会開催!

8月7日(木)鹿児島県にある第一工科大学を会場に,鹿児島県・鹿児島市算数部合同夏期研修会が開催されます。

午前は地元鹿児島の先生方の提案,午後は私と田中博史先生の講演や対談が実施されます。詳細は以下のちらしをご覧ください。

鹿児島県外からの参加の可能です。ご興味のある方は,以下からお申し込みください。

https://docs.google.com/forms/d/1DG_kvki5YRL6BcARfFyaA6bDrmNYJgqBG9_llrpi2Zs/viewform?edit_requested=true



2025年6月5日木曜日

高知の学校を訪問します

 今日は高知市内にある小学校を訪問します。全クラス約30クラスの授業を参観します。全クラスが公開授業を行うだけでも,志の高さを感じます。

朝ドラ「あんぱん」でなにかと話題の高知です。楽しみですねえ!

2025年6月4日水曜日

3Dならできる?

 次の問題を提示します。

「五百円玉,百円玉,五十円玉,十円玉が1枚ずつあります。この中から□枚選んでできる金額はいくらでしょう」

1枚のコインなら,五百円・百円・五十円・十円の4通りです。

では,2枚のコインならどうなるでしょうか。

多くの子どもたちは,樹形図を描きました。完成したのは12通りです。しかし,この中には同じ組み合わせがあります。12÷2で6通りあることが分かりました。

また,二次元表を使って考えた子どももいました。これを見た子どもから「簡単」「だぶりがない」という圧倒的支持の声があがります。

ところが,次の声が続きます。

「3枚なら・・・」

「これはできないよ」

「3Dの図にしたらできるんじゃない?」

「どうやってやるの?」

3枚のコインを選択した場合,二次元表は使えないのではないかという声が生まれてきました。そこで,3枚のコインを選択する場合を考えます。

3Dの表は難しいので,多くの子どもは樹形図を選択しました。この場合,全部で24通りの組み合わせが生まれます。すると子どもからは,「だぶっているのがあるから,24÷2で12通り」と声があがります。

ところが,「そんなにないよ」という声があがります。二次元表をよく見ると,重なっている組み合わせは2組ではないことが見えてきます。500円・100円・50円の組み合わせは6組あります。他の同様に,同じ金額は6組ずつあります。従って,24÷6で4通りしかないことが見えてきました。

この他にも,「使うコインだけに印をつける」「使わないコインだけに印をつける」「のれんみたいにつなげる」の見つけ方も生まれてきました。

授業後,「3Dできました!」と言ってノートを持って来た子がいました。立方体の図から,順に内部の情報を取り出していき,最後は4通りあることを見いだしていました。子どもの発想はすごいですね!


2025年6月3日火曜日

どれ引いたか分かんない!

「7チームになった時の試合数を求めよう」
前回の試合数の問題の続編です。今回はチーム数を7チームに増やした場合を考えます。試合数は,前回の学習を活用することで21試合になりそうだということは見えてきます。
しかし,その真偽は試合組み合わせを書き出さないと見えてきません。

そこで子どもたちは,樹形図・七角関係図の2つの方法で組み合わせを探します。ところが,取り組んでいる中から悲鳴?が聞こえてきます。
「どれ書いたか分かんない!」
「どう数えるの?」
「1個ミスると終わってしまう」
「17しかないよ」
これらは七角関係図に取り組んでいた子どもからの声です。

一方,樹形図の子どもからも次の声があがります。
「すごく多くなってノートがたりない」
「書いていらんない」

いずれの方法も7チームの場合は面倒さが増すことが見えてきました。そこで,隣のクラスから生まれた二次元表を提示します。この方法を知った子どもからは,次の声があがります。
「さっきより簡単」
「半分だけ数えたらいいね」
「線対称になっているね」
二次元表のよさを実感する声が生まれてきました。

その後,9チームで実験を行いました。さらにチーム数が増えます。子どもたちが選択したのは,二次元表と九角関係図でした。「分からない」と不評だと思った九角関係図ですが,意外に人気のある方法でした。


 

2025年6月2日月曜日

三角関係?

「□チームあります。どのチームとも1回ずつドッチボールの試合をすると,全部で何試合しますか」
子どもたちに投げかけます。
「1チームなら0試合」
「2チームなら1試合」
ここまではすぐに試合数が見えてきます。すると,次の声があがります。
「1チームなら1−1で0。2チームなら2−1で1」
「でもまだ3回試していないから,−1は違うかも?」
「だったら,2チームは2÷2かな」
「それだと3チームなら3÷2で1.5試合?」

いろいろな声が生まれてきました。そこで,3チームの場合を実験します。樹形図,三角関係図で子どもたちは,試合数が3試合であることを見出していきました。

3チームだと3試合という結果が見えると,再び子どもが動き出します。
「+2,+3になるから次は6試合?」
「1チームから2チームは+1,2チームから3チームは+2だから,3チームから4チームは+3で6試合」
「5チームなら+4で10試合」

その後,四角関係図で確認します。結果は,子どもの予想通りの結果になりました。これが見えると,5チームは10試合と予想ができます。

そこで,この予想の真偽を五角関係図で確かめます。結果は,予想通りの10試合となりました。

組み合わせを調べる学習を通して,試合数の変化のきまりを見つけていくことができました。


 

2025年5月30日金曜日

1が2つあるから・・・

「0,1,1,2,3,4のカードから3枚選んで3桁の数を作ります」
このように子どもに投げかけます。101や103ができます。試しに百の位が1の場合の数を書き出します。樹形図を使うことで,20通りの数が作れることが見えてきました。

すると子どもからは,次の声があがります。
「だったら20×4で80通りある」
「百の位が2,3,4の時に20通りずつだから20×4で80通り」
「昨日の旗の色の塗り方と同じだった」
前日の旗の色の塗り分け方と同様に考えることで,3桁の数字作りも計算で総数を求めることができるという考えです。

ところが,ここで「1が2つある」と声があがります。この声をきっかけに子どもの声が続きます。
「112と112は同じ?」
「黒の1と赤の1があるとすると,黒1赤1の112と赤1黒1の112は同じになる」
「だから,百の位が3だとしたら,三百十の十は赤の十も黒の十も同じになる」
「だから,20通りよりも少なくなる」
「えっ,多くなる?」

1が2つあることで,1に色を付けて考えたら112は2種類できます。しかし,本来は数に色はないので同じ112となります。この事実から,3百台の数の種類が20ではないことは見えてきました。しかし,その数が20よりも少ないのか多いのかは,子どもの中でもズレが生まれました。

そこで,百の位が3の場合の3桁の数を実際に樹形図で書き出してみます。結果は13通りでした。百の位が2も4も同様に考えられるので,総数は13×3+20で59通りと見えてきました。

同じ数字が2枚あることと,その2枚を別物と考えるか同一と考えるかで総数に違いが生まれることが見えてきました。


 

正三角形なら?

前回の学習では,正方形のパーツで構成された図形の最短ルートを探しました。その時に生まれてきたのが,「他の形になったらどうかな?」の声でした。
そこで,今回は正三角形で構成された図形の最短ルートを探ることにしました。先ずは,正三角形2枚がひし形状につながった形です。
「線対称だ」
「昨日の方法が使える」
「1×2で2通りだ」
線対称図形であることと,右半分のルートが分かればその数を2倍することで総数を求めることができました。

その後,正三角形の数を増やしていきます。いずれの場合も,前時の方法を活用することで求められることが分かりました。また,正三角形の数が増えていくと樹形図がより使いやすい調べ方であることも見えてきました。


 

2025年5月28日水曜日

最短ルートは?

 「最短ルートを見つけよう」

このように投げかけ,正方形の対角線の位置にある2つの頂点を結ぶ最短ルートを探しました。正方形が1つの場合は,2通りあります。

次に正方形の数を4個に増やします。図を見た子どもから,次の声があがります。

「めっちゃある」

「4通り?」

「6通り?」

「もっとある?」

予想にズレが生まれます。そこで,実験します。「6通り」の声が多数を占めました。そこで,最短ルートを確認します。最初に描かれたのは,右に2ます進み,上に2ます進むルートでした。すると,これを見た子どもから声があがります。

「反対がある」

「線対称」

「対称の軸だ」

1つのルートを見た子どもから,線対称と関連付けることで,反対側に同様のルートができるという発見が生まれてきました。この方法を使えば,対称の軸の片方側だけルートを見つけたらよいことになります。この図形では3通りなので,総数は3×2で6通りとなります。

次に,縦・横3ますの9ますの最短ルートを探します。一気に難易度が増します。子どもたちの予想値もバラバラになりました。実験の途中で「面倒」「同じの書いてるかも」と声が聞こえてきます。

そこで,図の中の交点に数字を位置づけます。これでルートの確認がしやすくなります。その後,数字を使ってルートを書き出します。

最終的に,10通りのルートが確認できました。これは線対称の半分のルートなので,実際はこの2倍の20通りあることになります。

同じルートを書き出さないために交点を数値化しましたが,それでも「面倒」という声が聞こえてきました。板書のルートは,同じ数字が固まるように意識して書かれています。この同じ数字の部分を1つに省略することで,樹形図が完成します。

樹形図につながる見方を引き出す最短ルート探しの学習でした。


2025年5月24日土曜日

小松市の3年生ときまり発見授業をしました!

 昨日は,石川県小松市内の小学校で3年生にきまり発見につながる授業公開を行いました。虫食い算を解いていく中から,虫食い算の見えている数字とできる虫食い算の種類数の関係を見出していく授業でした。

3の数字で3種類の計算が完成する場面で,きまりを発見し盛り上がりました。元気でかわいい子どもたちでした。

また,訪問した学校では京都の向日市立第二向陽小の研修システムである複数学年の先生方で構成されたメンター制を取り入れられていました。メンターチームでの授業後の協議はとても質が高く深いものでした。他校の参考となる優れたシステムです。是非,先生方の学校でも取り入れられてはいかがですか?


2025年5月23日金曜日

「子どものストーリーでつくる算数の授業」セミナー開催!

 来週末は大阪で授業テラス主催の対面&オンラインセミナーが開催されます。テーマは,

「子どものストーリーでつくる算数の授業」

です。詳細は以下の通りです。

日時:5月31日(土)13時30分〜

会場:大阪市エル・おおさか

内容:

13:15 受付

13:30 オープニング
13:45 模擬授業

  • 参加者の希望者による算数模擬授業
  • 協議(感想・意見)
  • 尾﨑先生による講評

15:35 尾﨑先生による講義(”子どものストーリー”でつくる算数の授業)
16:45 閉会、解散

17:15 懇親会(希望者のみ:先着10名限定)

今回は難関単元の模擬授業も開催されます。こちらも楽しみな企画ですね。


お申し込みは,以下のアドレスからお願いします。

https://peatix.com/event/4390444/view?utm_campaign=pod-11433527&utm_medium=email&utm_source=follow-organizer&utm_content=5588415&dlvid=714ffcb8-c8b4-4667-b9cb-4803fa71553d&sltid=0

石川県小松市を訪問

 今日は,石川県小松市にある小学校を訪問します。昨年度からおじゃましている学校です。

石川県は全国学力調査でも毎年高い結果を出している県です。その秘密は石川県を訪問してみると分かります。小松市の小学校も同様です。いろいろな意味でレベルが違います!

今日は先生方の授業参観の他に,私も公開授業を行います。石川の子どもたちとどんな授業が展開できるのか楽しみです!

2025年5月22日木曜日

答えが一番小さい式

 「計算をしないで,答えが一番小さくなる式を見つけよう」

このように投げかけます。A・c/b÷dの記号の中に2〜5の数字を1回ずつ代入します。答えが最小になる式を計算をせずに式だけを書いてもらいました。

子どもから生まれたのは,2・3/4÷5と2・3/5÷4の式です。整数部分は同じ大きさです。また,分子部分も同じ大きさです。計算する部分は分母部分の4×5と5×4です。ここまで考えると,答えは等しくなりそうです。

そんなとき,次の声があがります。

「№23で似ている勉強しました。1・2/3÷3の計算で,整数の1を÷4をしないで2/3の分数だけ計算したら正しくなかった。仮分数に直さないと正しくできなかった。だから,この問題も仮分数に直して考えないといけない」

帯分数の計算問題に取り組んだときの考え方を活用する声です。そこで,帯分数を仮分数に置き換えてみます。

すると,11/4÷5と13/5÷4と置き換わります。分母部分の計算は変わりませんが,分子の大きさが異なることが見えてきました。分子が13と11です。明らかに分子13の方が大きな答えになります。半数近い子どもは,2番目に答えが小さくなる式を書いていました。

既習の考え方と関連付けながら論理を組み立てることで,よりよい考え方を作り上げることができました。




2025年5月21日水曜日

途中で約分はできるの?


「長さ3mで重さa㎏の鉄棒があります。1m当たりの重さは何㎏ですか」
と問題を提示します。式は,a÷3になります。

そこで,aにどんな数を入れたら簡単か考えさせます。「3の倍数」と声があがります。わる数が3なので,このような声が生まれてきました。

次に難しい数字を尋ねます。「分数かな」と声があがります。そこで,3/9÷3を計算してみることにしました。

これまでの学習を生かして分子をそのまま割る計算方法と,逆数をかける方法の2つが生まれてきました。さらに,分子をそのまま割る計算方法の途中で,分子の3÷3と分母の9を3で約分する方法が生まれてきました。ところが,途中で約分を行うと答えがそれまでの方法とは異なってしまいます。

分数のかけ算では途中で約分することができました。それと同じ方法を,わり算の途中にも当てはめてみたのです。この考え方自体は価値があります。しかし,答えが異なります。

この結果,分数のわり算では途中で約分を行うと答えを正しく導き出すことができないことは見えてきました。しかし,「なんで?」と疑問があがります。
しかし,この疑問を乗り越えることは難度の高い問題でした。式変形を行ったり,図を使ったりして説明を進めていきました。分数のわり算で約分を行うと,図を使うことで問題場面自体が変わることが見えてきました。この部分は難しかったようです。

分数のわり算の途中で約分したくなる考え方は,分数のかけ算を体験した子どもにとっては当然生まれてくる発想です。この部分をもとに子どもたちと考えた時間でした。


 

2025年5月20日火曜日

倍分方式はいつでも使えるのか?

「倍分のやり方は,どんな分数でも使えるのかな?」
子どもたちに投げかけます。多くの子どもは,前時に生まれてきた倍分方式が一般化できると考えています。

そこで「4分で5/6Lのジュースを作るマシンが1分で作ることができるジュースの量は」の問題場面で考えることにしました。式は5/6÷4になります。このままでは分子をわることはできません。すると,次の声があがります。

「5/6を変えたらいいよ」
「4で割り切れるようにしたらいい」
「4倍したらいい」

「4倍」という声が生まれてきました。なぜ「4倍」なのでしょうか。そこで,4倍する理由を考えさせます。

「だって,昨日もそうだった」
「昨日は4/5÷3で4/5を3倍に倍分した」
「÷3だから×3をした。だから・・・」
「だから,今日の問題は÷4だから×4をしたらいい」

昨日の問題と今日の問題の共通点を見いだし,そこから倍分を行う数を見いだしたのです。複数の情報をつなげて共通点を見いだす帰納的な見方・考え方が発揮された場面です。

5/6の分母・分子を4倍ずつすると20/24になります。これなら4でわることができます。答えは5/24です。しかし,この答えが正しいのかを図で確認します。結果は,図の中にも5/24が見えてきました。従って,倍分方式は別の問題でも使えそうなことが見えてきました。

さて,倍分の式で計算していると「気づいたことがある」と声があがります。
「ここが無駄だよ」
「だって,×4をして÷4をしたら無駄になる」
「分子は5になる」

倍分で計算を進める式変形の中に,計算を省略ができる部分を見つけた声です。それを「無駄だよ」という子どもらしい言葉で表現してきたのです。

この無駄な部分を省略すると,教科書などに掲載されているb/a÷c=b/(a×c)という式に置き換えることができます。

分数÷整数の計算は,この方式と前時に子どもたちが見つけた倍分方式の2つがあることが見えてきました。問題場面に応じて,子どもが適切な方法を使い分けられるのがよい学び方ですね。






 

2025年5月19日月曜日

分子が割れなかったら?

「2分で4/5Lのジュースを作るマシンがあります。1分では何Lのジュースを作れますか」

問題に出会った子どもから,次の声があがります。

「かけ算は分子をかけたから・・・」

この声の意味を共有したあと,続きを考えさせました。

「わり算はかけ算の反対だから,分子ではなく分母を計算する」

「分子をかけ算したから,今度は分子をわる」

多くの子どもは,後者を考えました。そこで,分子をわってみます。答えは2/5Lと求められます。しかし,「本当に合ってるの?」と計算に対する疑問の声があがります。

そこで,図で確認します。結果は,図でも同じ答えになりました。ところが,次の声があがります。

「まだ3回やっていないから ,正しいか分からない」

「分子が割れなかったらどうするの?」

早急な一般化を疑う声です。そこで,他の問題で実験します。

6/7÷3は式でも図でも計算が正しいことが確かめられました。

一方,4/5÷3の場合は,そもそも分子が4÷3=1.333・・・となりわりきれません。この計算方法の限界でしょうか。

すると,次の声があがります。

「四捨五入したら」

「約1/5」

「でも,それって正確じゃないよ」

「われるようにしたらいい」

「4/5を3倍3倍して12/15にしたら3でわれる」

「本当だ」

「4/5と12/15は同じ大きさだからできるね」

4/5を倍分するアイディアが生まれてきました。この方法を使えば,先ほどと同じように計算ができます。結果は4/15Lです。図でもこの答えになることが確認できました。

倍分のアイディアを使えば,どんなわり算も計算できそうだということが見えてきました。


2025年5月15日木曜日

分子を計算はいつでも使えるのか?

前回からスタートした分数×整数の問題。前時は時間の関係で1問しか取り組んでいません。そこで,次のように子どもに投げかけます。
「昨日の計算方法は,いつでも使えるのかな?」

多くの子どもは使えると考えています。そこで,「1分で2/3Lのジュースマシンが4分で作ることができるジュースの量は?」と尋ねます。

式は2/3×4になります。前時の方法なら,分子だけを2×4と計算することで積を求めることができます。しかし,この答えは正しいのでしょうか?

子どもたちは図と式で確かめることを考えました。いずれの方法でも答えが一致しました。この活動の中で,分数のたしざんの式の下に対応するようにコップの図を描く子どもがいました。式と図を対応させて考える姿の表出です。

ところが,「まだ3回実験していないから決められない」と早急な一般化を疑う声が生まれます。このような声が生まれてくるのは,素晴らしいですね。

そこで,別の問題場面にも取り組みました。仮分数の含めた問題場面に取り組みましたが,いずれも前時に見つけた方法が一般化できそうなことが見えてきました。

式と図を往還させながら計算方法の一般化を目指すストーリーで1時間が構成されていきました。


 

2025年5月14日水曜日

ジュースの計算

「1分間で4/5Lのジュースを作るマシンがあります。3分では何Lのジュースができますか」
子どもたちに尋ねます。式が4/5×3になることは,すぐに分かります。しかし,この計算は未習です。

すると次の声があがってきます。

「分子だけ計算したらいい」
「4×3で12」
「だから12/5」

ところが,納得できない表情の子どもがいます。分子だけかけ算をして,分母はかけ算を行わないからです。また,この答えがそもそも正しいのかも分かりません。
すると,子どもたちが説明を始めます。

「5年の分数で,4/5+5/5の時は9/10とはしなかった。分母はたさなかった」
「図でも説明できる。ピザを5つに分けた4つ分と5つに分けた5つ分をたすと,9つ分」
「9/10だとすると,ピザの中が10等分されることになって,ピザの分け方の大きさが変わるからおかしくなる」
「ジュースも同じ。コップの絵でみたら,1/5が12個で12/5になる」

分子はかけても分母はかけない理由を,5年生の分数のたしざんや図を使うことで,子どもたちは説明を進めてきました。

また,4/5+4/5+4/5=12/5というたしざんでも12/5Lになることを証明することができました。ところがこの方法に対しては,次の声があがります。

「何分の数が大きくなったら大変だ」
「切手の問題も,列が大きくなったら計算が大変になったのと似ている」

分子だけを計算する有効性が見えてきました。すると,どんな数でもこの方法が有効に見えてきます。ところが,「でも3回やっていないから分からないよ」と,早急な一般化に警鐘を鳴らす声が聞こえてきました。

本時は30分ほどの授業時間のため,1問だけで終わってしまいましたが,よい見方が生まれてきました。


 

但馬算数セミナー開催のお知らせ

夏休み中の8月21日(木)に兵庫県豊岡市で但馬算数セミナーが開催されます。テーマは,

「愉しさが溢れる算数授業づくり」

「愉しさ」か「楽しさ」か。読み方は同じですが,意味は全く異なります。この部分に焦点化して話を進めていきます。

地元の先生による模擬授業も開催されます。豊岡市はコウノトリの繁殖で有名な場所ですね。また,近くには城崎温泉もありますね。観光のついで?に,セミナーに参加されてはいかがですか。

お申し込みは以下のアドレスからお願いします。

https://www.kokuchpro.com/event/a3b5a0a21cd35100bc3d8c47dfecbee2/第2回但馬算数セミナー~愉しさが溢れる算数授業づくり~

2025年5月13日火曜日

楽しい算数? 愉しい算数? 求める授業像はどちら?

 昨晩は今夏出版される全国算数授業研究会企画の出版本に掲載する座談会が開催されました。テーマは「算数授業に必要な愉しさ」です。

「たのしい」という言葉を漢字に置き換えると「楽しい」「愉しい」の2種類があります。私たち全国算数授業研究会が求める「たのしさ」は後者の「愉しさ」です。

学習指導要領が求める「主体的で対話的で深い学び」もこの「愉しさ」がベースとなっています。

「楽しい」「愉しい」の違いはなにか,またそれを授業レベルで考えたら具体的にどういうことなのかを座談会で語り合いました。

メンバーは私の他は筑波大学附属小の盛山先生(会長),大野先生,青山先生です。4人での座談会の内容は今夏発刊される企画本に掲載されます。お楽しみに!

2025年5月12日月曜日

周りの長さは?

長方形の周りの長さを求める問題を提示します。ヒントがないと求めることはできません。
そこで,内部に正方形があること。また上の辺の左側が12m,下の辺の右側が8mであることを伝えます。しかし,これでもまだ周りの長さは分かりません。そこで,「どこを知りたい?」と尋ねます。子どもからは「正方形の長さ」と声があがります。
そこで,正方形の一辺の長さは5mであることを伝えます。これなら計算で長さが分かります。結果は,40mになりました。

次に,正方形の一辺の長さを変えても計算ができるのか尋ねます。「できる」「さっきと同じ」と声があがります。そこで,7mの場合を計算します。
結果は40mです。先ほどと同じ答えに子どもたちはざわめいています。多くの子どもは,答えは長くなると予想したからです。

こうなると子どもたちは,答えが同じになる理由を知りたくなります。
「伸びて縮んだんだ」
「横が長くなった分,脇が短くなる」
「文字式だと横は12−a+8で縦はamになる」
「aが1mなら横は19mで縦は1m。aが2mなら横は18mで縦は2m」
「横は縮んで縦は伸びた」
「差し引き0だ」

文字式を使うことで,正方形の長さが変わっても周りの長さが変わらないことが見えてきました。


グラウンドのセパレートコースは合ってる?

 「グラウンドトラックの1m外側を走ったら,内側よりも何m長く走ったことになりますか」

このように尋ねます。子どもから,グラウンドの「直径の長さを知りたい」と声があがります。そこで,直径が20mであることを教えます。

計算の結果,外側を走る人は6.28m長く走ることが分かりました。

次に,地球の表面と1m外側を走った場合の差を考えます。「グラウンドよりも長くなる」と考える子どもも多くいました。

計算の結果は,この場合も差は6.28mとなりました。この結果を見た子どもから,声があがります。

「さっきと同じだ」

「やり方が同じだ」

「+2が同じだ」

子どもたちは,グラウンドと地球の差を求める式を比べたのです。結果は,グラウンドの20mと地球の1280000mの数字が異なるだけで,残りの式は同じ構造になっていることに気がつきました。すると,「文字式にできる」「変わったところを文字にしたらいい」と声があがってきます。

そこで,2つの式を文字式に変身してみます。結果は,次のようになりました。

(x+2)×3.14−x×3.14=(X+2−x)×3.1=2×3.14

文字式に置き換えることで,直径がどんな長さでも答えはいつでも6.28mになることが見えてきました。

子どもたちが運動会で行う徒競走でも内側と外側の差を考慮してスタートラインがずれています。そこで,その実際の長さを確認すると,「そんなに離れていない」と声があがります。最終的には,1人のレーンの横幅は「1mもないよ」と声があがります。0.5mなら,今回学習した長さのズレの半分になります。最後は体育場面と関連させて考えることができました。




切手を切る

「何か所切ったら切手はバラバラになりますか」
子どもたちに尋ねます。縦に4枚つながった切手シートは,3カ所切ることでバラバラになります。
では,この切手シートが2列になった場合は何か所でバラバラになるでしょうか。切手1枚の辺に沿って切るのを1か所というルールにすると10カ所でバラバラになります。
この結果から,次の声があがります。

「7増えた」
「だったら,次は17だ」

3列目を予想する声が生まれてきました。そこで,3列目を実験します。結果は予想通りに17カ所です。すると,声があがります。

「比例だ」
「比例?」
「比例は2倍3倍になるんだよ。でも,これはなっていない」
「7ずつ増えるんだよ。だから次は24」
「絶対にそうなるね」
「もう何列でも大丈夫だ」

7ずつ増えることへの確信を持った声が生まれてきました。
そこで,「51列なら何か所?」と尋ねます。子どもの予想する数はズレました。そこで,時間をとって考えさせます。

多くの子どもは単純に7ずつ増やすのではなく,次の式を書いていました。
3+7×(51ー1)=53

ところが,この式を見た子どもから「なんでー1?」と声があがります。それ以外の部分の意味は読解できているようですが,「ー1」の意味が見えないようです。

「1列増えると7ずつ切る場所増える」
「でも,1列目だけは3カ所」
「だから,1セットが7カ所なのは列の数よりも1つ少ない」
「手の指の間の数と同じだよ」
「だから,列をxにしたら3+7×(xー1)になるよ」

様々な例で,子どもたちは「ー1」の理由を説明してきました。最後は,文字式を使った説明も生まれてきました。


 

2025年5月8日木曜日

何を表している?

「(a+b)×4÷2の式は何を表していますか」
このように子どもたちに尋ねます。子どもからは,「台形の面積」と声があがります。
そこで,自分のイメージした台形の図をノートに描かせます。上底の長さをa,下底の長さをb,高さを4㎝とする図が描かれました。ところが,「それだと÷2がない」と声があがります。そこで,「÷2」が見えるようにするためにはどうしたらいいのかを考えます。
子どもたちは,台形の面積の求め方を考えた学習場面に戻り,倍積変形の図を付け足しました。これなら「÷2」が図の中に見えてきます。

すると今度は,「ひし形もできるんじゃない?」と声があがります。そこで,ひし形も文字式に当てはまるのかを考えます。子どもたちは「無理矢理だけど・・・」と言いながら,1本の対角線を中点から左右にa㎝・b㎝と分割した上で,倍積変形の図を完成させることで図ができると考えました。ところが,次の声があがってきます。
「aとbは違う数なのに,この図だとaとbは同じ長さになるのでおかしい」
異なる文字を使っているのに,図のaとbの長さが等しいことに対する違和感です。このような感覚をもてることも大切ですね。

「だったらこんな図ならどうかな・・・」
この声で生まれてきたのがたこ型です。これなら1本の対角線の長さを,対角線の交点から左右に違う長さに設定できます。

さらに「三角形もできるんじゃない」の声が聞こえてきます。そこで,イメージした図を描かせます。
多くの子どもの図は,底辺を左右に分割しそれぞれa㎝・b㎝とするものでした。
この図を考えた源泉は,ひし形やたこ型にあります。1本の対角線をa㎝・b㎝に分割したイメージを活用したのです。
一方,底辺をb㎝としてその上の頂点部分をa㎝と考えた子どももいます。この場合は,aの部分の実質的な長さは0㎝です。この図を考えた源泉は,台形の図です。
どの考え方を源泉とするのかで,新しい問題場面への向き合い方も変わってきます。

最後に正方形も同じようにできるのか,図を描いてみました。ひし形・たこ型を源泉とした子どもは,正方形の一辺の長さをaとbの2つに分割しました。しかし,この図では(a+b)×4÷2にはなりません。
そこで,台形を源泉とする図で考えます。この場合は,正方形の下底部分をb,上底部分をaと考えることで,文字式と合致できます。

文字式と図の往復運動で考えを深めていくことができました。



 

2025年5月7日水曜日

必ずしもそうではない!?

 「X+7=35の式に当てはまる問題文を作りましょう」

このように投げかけます。問題文作り自体は簡単です。その後,Xの値も求めます。この文字式では,35-7=28と引き算でXの値を求めることができます。

そこで,「たしざんの式になる場合はXに当てはまる数は,その逆の引き算で求められます」とここまでのことをまとめました。すると,この言葉をきっかけに,子どもたちが動き出します。

「だったら,わり算だったらかけ算だね」

「待って,必ずしもそうではないかも」

「わり算でもわり算かも・・・」

「かけ算ならわり算だよ」

「引き算ならたし算だよ」

「これも違うのあるかも?」

子どもたちは,Xを求めるためには必ずしも逆算にはならない場合があるかもしれないと考えました。

そこで,絶対に逆算になると子どもたちが自信があるかけ算の場合を考えます。

「8×X=20」

この場合は,わり算でXの値が求められます。すると,「(Xの位置が)逆なら?」と声があがります。そこで,「X×4=32」を実験します。この場合も,逆算のわり算でXの値を求めることができました。

次に,「必ずしもそうではないかも」と声のあがった,引き算とわり算を実験します。

「X−6=15」→足し算

「15−X=1」→引き算

「X÷4=8」→かけ算

「45÷X=15」→わり算

子どもたちの予想通り,必ずしも逆算ではない式もあることが見えてきました。

子どもの声で次の問題場面が生まれてきた1時間でした。逆算でない式は小学校では扱わないことになっていますが,子どもの思いはそれを超えていきます。


2025年5月5日月曜日

今年も淡路楽しmath講座開催です!

 毎年恒例の兵庫県淡路島で開催の淡路楽しmath講座が開催されます。

日時:7月27日(日)13時30分~16時30分

会場:兵庫県洲本市洲本市民交流センター

今年も私の公開授業と講演があります。授業は異学年混合で行います。複式×2のような学級編成ですが,毎年盛り上がっています。淡路島観光を兼ねてお出でください!

お申し込みは,以下のアドレスからどうぞ!

daisukeuematu78@yahoo.co.jp




2025年5月2日金曜日

丸は全部で何個?

「丸は全部で何個?」
子どもたちに尋ねます。図を提示する前でしたが,子どもからは「数えたらいい」「縦×横でできる」「でも,四角じゃなかったらできないよ」と声があがります。図のイメージが浮かんでいるようです。

子どもに提示したのは,正三角形状に丸が並んだ図です。丸が12個あることは分かりました。1つずつ丸を数えた子どももいましたが,計算で求めた子どももいます。

4×3
5×3−3
1+2+3+4+5−1−2
3×3+3

これらの式が生まれてきました。
その後,「5×3−3の式を文字式にできるかな」と尋ねます。一辺の丸の数をxとすると,文字式は「x×3−3=y」となります。この文字式の意味を読解すると,子どもから次の声があがります。
「この文字式なら,四角形もできるよ」
「正方形ならだけどね」

子どもたちは,文字式の対象場面を拡張していく方に考え方を進めていきました。そこで,四角形の場合の文字式を考えます。文字式は, 「x×4−4=y」となります。しかし,これで合っているのかは確信がもてません。そこで,具体的な事例を入れて検証します。一辺の数を5個の場合を実験します。
「5×4−4=16」
式の答えも図の答えも合致しました。

すると,「正○角形なら大丈夫なんじゃない?」と声があがります。そこで,正六角形も実験します。文字式は「x×6−6=y」です。実際の図で実験しても,この文字式の正しさが見えてきました。

子どもが文字式を使いたくなる場面は,大人の考え方とは異なる一面もあります。だからこそ,子どもの思いに寄り添って展開を修正していくことも大切になりますね。

 

2025年5月1日木曜日

□番目は誰?

 「こぶた・たぬき・きつね・ねこの□番目は,誰ですか」

このように子どもたちに問いかけます。この問題文を見ただけで,子どもたちは「しりとり歌」を歌い始めました。お馴染みの歌ですからね・・・。

最初は「14番目は?」と尋ねます。「1,2,3,4,5,6・・・」と順に数える子どもたちの姿も見られました。一方,式で答えを見つけようとする子どももいました。

式を使う場合は,「14÷4=3あまり2」となります。この式の意味を全員で読解していきます。あまりの数によって,どの動物が□番目になるのかを決定できることが見えてきました。

その後,25番目,400場面の動物を考えます。400番目はあまりはありません。この場合は,「あまり0」「あまり4」と考えることで,「ねこ」になることが見えてきます。

次に問いかけたのは,「□番目と聞かれたら,どんな式を作りますか」です。子どもたちは,これまでに学習した記号を活用して,「□÷4=○あまり△」と式を作りました。的確に記号を使うことができました。

その後,□をxに,○をyに,△をaに置き換えます。文字式との出合いです。文字式を見た子どもからは,「スキッリする」「かっこいい」などの肯定的な声が聞こえてきました。

難しいイメージのある文字式ですが,子どもの身近な題材から導入することで文字式へのハードルを下げることができました。


2025年4月26日土曜日

「子どものストーリーでつくる算数の授業」申し込み開始!

お待たせしました。授業テラス主催の対面&ハイブリッド講座の申し込みが始まりました。

日時:5月31日(土)13時30分〜

会場:大阪市エル・おおさか

内容:

13:15 受付

13:30 オープニング
13:45 模擬授業

  • 参加者の希望者による算数模擬授業
  • 協議(感想・意見)
  • 尾﨑先生による講評

15:35 尾﨑先生による講義(”子どものストーリー”でつくる算数の授業)
16:45 閉会、解散

17:15 懇親会(希望者のみ:先着10名限定)

今回は難関単元の模擬授業も開催されます。こちらも楽しみな企画ですね。


お申し込みは,以下のアドレスからお願いします。

https://peatix.com/event/4390444/view?utm_campaign=pod-11433527&utm_medium=email&utm_source=follow-organizer&utm_content=5588415&dlvid=714ffcb8-c8b4-4667-b9cb-4803fa71553d&sltid=0

2025年4月24日木曜日

対称の中心がずれたら・・・

 「分度器を使わずに,点対称な図形の残り半分を完成させよう」

このように投げかけます。子どもたちから,次の声が聞こえてきます。

「NO.8の勉強でも似ているのをやったよ」

「対角線の長さが同じならできるよ」

既習のノートを振り返りながら,子どもたちは作図に対して自信を深めています。

そこで,最初の図形を提示します。対称の中心と三角形の頂点が重なる図形です。この図形は,簡単に点対称図形が完成しました。すると,次の声が聞こえてきます。

「角が2つだから,対角線も2本引いた」

「角は3つじゃない?」

「2つの角はお向かいさんができるけど,黒丸(右下)に頂点は対称の中心と重なるから」

「黒丸の頂点にはお向かいさんがないから,角は2つでいい」

作図に必要となる頂点が2つでいい理由が見えてきました。すると今度は次の声があがります。

「でも,中心が頂点と重なっていないと3本対角線がいる」

「重なっていないと,点対称図形はできるの?」

「できるよ。昨日の矢印はずれていてもできたよ」

「四角形もできた。だから,三角形もできるよ」

そこで,中心が頂点からずれた三角形の作図に挑戦します。今回は,3つの頂点からそれぞれ対称の中心を通る直線を伸ばす必要があります。子どもたちは,写真右下のような図を描くこともなく正しく作図ができていました。


1問目と2問目が子どもの思いでつながったからこそ,2問目が正しく作図に取り組めたのです。ストーリーのある展開が,学びを深化させていくことが見えた一コマでした。


「子どもが愉しむ算数授業講座」開催

 6月14日(土)に兵庫県川西市川西商工会議所を会場に,関西math勉強会が開催されます。テーマは,「子どもが愉しむ算数授業とは」です。

模擬授業対決やワークショップなど盛りだくさんの内容となっています。是非,ご参加ください。詳細・お申し込みは以下からお願いします!

https://www.kokuchpro.com/event/c47c1056a4599ef6d4be4dd4bb9411c3/



2025年4月22日火曜日

点対称の残り半分を作図する

 「点対称図形の残り半分を完成させよう」

このように投げかけます。これと同時に生まれてきたのが,次の言葉です。

「対角線を引く」

「斜めの線になる」

「中心を通る」

「4本引ける」

「4本? 2本じゃない?」

「昨日の勉強でやったよね。中心からの長さが等しくなるようにしたらいいんだよ」

前時の学習を生かす声が生まれてきました。子どもたちは,前日のノートを見ながら考えを作り上げていきました。

しかし,対角線の本数を巡りズレが生まれました。2本は全員がすぐに見えてきました。中心を通る,斜めの線です。

一方,残りの2本が見えていない子どもたちもいました。すると,「重なるけど」と声が聞こえてきます。最初の図形の底辺部分に2つの頂点があります。そこから中心を通る対角線を引くと,その2本が重なってしまいます。結果的に3本目の中に4本目があるように見えます。また,底辺部分には辺となる直線があるため,そこが対角線には見えにくかったのです。

この底辺部分を対角線と認識できれば,対角線が4本あることが見えてきます。後は,中心から対応する頂点までの長さが等しくなるように点を順に打っていけばいいのです。

2問目は,矢印が半分になった図形を提示します。見た目に騙され,底辺部分の長さをきちんを測定しない子どもたちがいました。対称の中心は,底辺部分の中心にはありません。少しだけずれています。従って,板書のように上下の図形が少し左右にずれた配置になるのです。思い込みで線をつないでしまうと間違えてしまいます。



2025年4月21日月曜日

回転したのはどれ?その2

 前回の学習のその後です。

「180°回転すると重なる文字の条件に,Sは当てはまるのかな?」

「Sは対応する辺がないのではないか」という疑問が前時の授業終末に生まれました。そこで,Sに焦点化して子どもたちと考えます。

次の声が生まれてきました。

「Sの上と下を合わせると円になる」

「でも,間はどうなるの?」

「間も,真ん中から上と下に分けたら,回したら重なるよ」

曲線があるからイメージ化が難しかったようですが,Sを分割していくことで対応する部分が見えてきました。

その後,回転して重なる文字にZ,O,I,Xが生まれてきました。さらに,「トランプにも重なるのがある」と声があがります。そこで,トランプを確認します。数字や模様によって,回転して重なるものとそうではないものあることが分かりました。

その後「点対称」の用語を教えます。最後は,提示した図形が点対称か否かを考えました。

最初の提示したS字に近い図形について,「対角線を引いたら分かる」と声があがります。そこで,この声の意味を読解します。

「対応する頂点を結ぶ」

「線対称でも似ていることをやったね」

「対角線の長さが,真ん中の点から同じ長さなら点対称だ」

「これって,前の時間の中心からの長さが同じの考えといっしょだね」

既習の考えを活用した声が生まれてきました。この見方を使えば,回転しなくても点対称か否かを判断できます。



2025年4月18日金曜日

動いたカードはどれ?

 「カードを動かします。どれを動かしたか当てましょう」

このように投げかけ,アルファベットを順に提示していきます。Y,Cが提示された時点で,「全部線対称だ」と声があがります。それと同時に,対称の軸をジェスチャーで示す動きも見えてきました。Yは縦方向,Cは横方向の対称の軸を示す動きが生まれてきました。

その後も同様に,全部で9文字を提示します。

子どもたちに目を閉じさせ,その間に文字を動かします。

目を開けた子どもたちは,一斉に「A」と声をあげます。Aの向きが反対に変わっていたのに気づきました。さらに「180°動いた」と,具体的な角度を使った説明も生まれてきました。

すると,「Hも変わってる」の声が聞こえてきました。そこで,Hを話題の中心にします。

「Hが変わっているという人がいるけど,気持ちは分かる?」

このように尋ねます。

「回しても同じになる」

「2本の対角線の交わっているところで回転すると,重なる」

「平行が2本あれば,回転しても重なる」

「Nも回転すると重なるけど,平行は1本しかないよ」

「回転する中心から端までの長さが同じなら重なるんじゃないかな」

「それならEだって同じ長さになるよ」

「中心の反対側に線があるときは重なる」

「Eの左の縦線の反対には縦線がないから,これはだめだよ」

子どもたちは,180°回転して重なる図形の共通点を探ろうと考えました。その結果が,上記のようなまとめでした。

その後,「他にも回転すると重なるアルファベットはあるかな?」と尋ねます。

「IもOもそうだ」

「これもお向かいがあるね」

「Z,Sもそうだね」

「でも,Sってお向かいさんはあるの?」

「曲がっているけど,あるよ」

「え?それってお向かいさん」

辺がカーブする文字が出てきたことで,子どもたちがまとめかけたきまりが揺れ始めました。この日はここで時間切れとなりました。

点対称につながる図形の構成要素がたくさん生まれてきた1時間でした。この授業の詳細は,授業テラス講座でお知らせする予定です。



2025年4月16日水曜日

線対称図形の作図はできるかな?

 

子どもたちに,「線対称な図形の残りを作図して完成させよう」と投げかけます。
子どもからは,「マス目がほしい」と声があがります。

最初に提示したのは,子どもの要望通りのマス目がある図形です。これはすぐに完成しました。マス目を頼りに対応する頂点の位置を決めた子どもが多くいました。
一方,それとは違う方法で対応する頂点を決めた子どもがいました。そこで,「ここに線を引いた人がいます」と言って,対称の軸に垂直なる直線を1本だけ引きます。そして,「ここに線を引いた気持ちは分かりますか?」と読解活動を行います。次の声があがります。
「対応する頂点の高さが同じなので,横に線を引いた」
「対称の軸から頂点までが7ます。だから右側も7ますのところが頂点になる」
対称の軸と対応する頂点までの関係が見えてきました。この作図方法が,線対称の学習を活用した描き方になります。

すると子どもから,「マス目がないとできない」と声があがります。すると,「昨日の勉強でやったみたいに,辺の長さと角の大きさを調べたらできるよ」と声があがります。既習を活用することで,マス目がない場合の作図方法を探ろうとする声です。

2番目に提示したのは,白紙の上に対称の軸が斜めに引かれた図形です。子どもたちは,先ほどの問題と同じように,対応する頂点を見つけていきます。一方,対称の軸が斜めに位置付くために,戸惑っている子どももいました。そこで,「まず,何をしましたか?」と尋ねます。
「さっきと同じように,対称の軸から垂直に線を引きます」
と説明が始まりました。そこで,「さっき」とはなにかを尋ねます。
「①の問題で,対称の軸から左と右の長さを同じにしたから,それと同じに考える」

子どもの言葉には,既習を活用しようとする中身が含まれています。それを鋭く見つけて,他の子どもたちに投げ返すことも,大切な仕事ですね。

3番目は,自分で線対称の作図を行いました。ノートに斜め位置に対称の軸を書きます。その後,ノートのマス目を使わずに線対称の半分を作図し,その後,反対側を作図する手順で進めていきました。
子どもからは,作図前から線対称になる形が「車」「田」「東」のように次々と発表されました。
授業最後には,「富士山は字も山自体も線対称!」という大発見の声があがりました。


2025年4月15日火曜日

「子どものストーリーでつくる算数の授業」対面講座のご案内

 5月31日(土)に大阪市エル大阪を会場に,授業テラス主催の対面講座が開催されます。テーマは,「子どものストーリーでつくる算数の授業」です。

難関単元の模擬授業2本もあります。こちらも大変に貴重な機会です。また,私も「子どものストーリーでつくる算数授業」をテーマに講演を行います。

申し込みはまだですが,ご興味のある方は日程を開けておいてくださいね!





紙を折らずに線対称を見つけよう

 子どもたちに「紙を折らずに線対称か調べよう」と投げかけます。折る活動に制限をかけます。

すると子どもからは,「辺の長さを調べたらいい」「角度を調べたらいい」と声があがります。両者の大きさが同じなら,線対称だという声が聞こえてきました。

そこで,最初の三角形を提示します。多くの子どもは,見た目で違うと判断しました。一方,「線対称だよ」という声も聞こえてきます。

そこで,実際の長さや角度を実験します。結果は,対応するはずの長さも角度も異なっていました。結果は,線対称ではありませんでした。

次に提示したのは,鍵穴のような図形です。今度は多くの子どもたちが,悩みました。そこで,同じ図形で辺の長さや角度を測定します。

結果はいずれも同じ大きさでした。さらに,対称の軸から対応する頂点に直線を引く子どももいました。軸との交点から頂点までの長さも等しくなっていることを発見したのです。新たな視点の登場です。

最後は,狐の顔のような図形を提示します。これも子どもの判断は分裂しました。この問題は,結論は各子どもの実験結果に委ねることにしました。大切なことは,その結論を支える根拠をどれだけ明確に文章化できるかです。ノートに言葉や数を使って自分の結論を支える根拠をまとめさせました。

これって,全国学力状況調査の問題に似ていますよね。このような問題場面を意図的に適度に設定していれば,学力調査問題もそれほど苦にはならないのではないでしょうか。



2025年4月11日金曜日

軸と辺の数の関係

 「線対称な図形かな」と投げかけ,図形を提示していきます。

最初に提示したのは,家の形の図形です。子どもたちは自席から定規や分度器を取り出し,目の前に当てています。そこで,この行動の意味を読解していきます。

「辺の長さが同じなら線対称だから」

「角度の大きさが同じなら線対称」

辺の長さと角度の大きさの両方が同じなら線対称だと子どもたちは考えました。そこで,同じ図形を子どもたちに配布します。子どもたちはそれらの大きさを測定していきます。

その結果,辺の長さも角度の大きさも等しいことが分かります。従って,線対称の図形であることが見えてきました。

2問目は,横向きの矢印のような形です。これを見た子どもたちは,手を横向きに動かしています。そこで,この動きの意味を読解します。

「縦で折ると,重ならない」

「横に折ると重なる」

「下が上に行って重なる」

対称の軸の向きが縦から横に変わった図形である指摘が生まれてきました。調べた結果,この図形も対称の軸は横向きですが,線対称の図形であることが見えてきました。

すると,この結果から次の声が聞こえてきます。

「斜めの軸もあるんじゃない?」

「正方形がそうだよ」

「長方形もだよ」

「長方形は違うよ」

「正方形は4本の軸がある」

「もっとあるよ。少し斜めにしたら,もっとあるよ」

「え,斜めだとできるかな?」

少し斜めの直線を対称の軸としたら,無限に軸ができるのではないかと考えました。しかし,それを疑う声もたくさんあがります。そこで,少し斜めの軸で折ると重なるのかを実験します。結果は,重なりません。従って,対称の軸は4本であることが見えてきました。

すると,今度は次の声があがります。

「辺の数と軸の数は,同じなんじゃないかな?」

正方形は正四角形なので,辺の本数は4本で対称の軸も4本と捉えることで,前述のきまりが生まれてきたのです。すると,この声をきっかけに声が続きます。

「五角形なら5本だね」

「でも,三角形は1本しかないよ」

「そうかな?斜めに引いたら3本あるよ」

「本当だ。だったら,五角形も5本になる」

辺と軸の本数に比例関係がありそうなことが見えてきました。そこで,正六角形の軸の数を調べます。子どもの予想通りなら,6本の対称の軸があるはずです。

 しばらくすると,「やっぱり6本だ」と喜びの声が聞こえてきます。さらに,対称の軸が複数あるときは,軸が中心で交わることや,偶数角形の場合は頂点以外からも対称の軸が引かれることなどに気づくこともできました。

線対称な図形を探す活動から,様々なきまりに気づくことができた1時間でした。





2025年4月10日木曜日

若山や はるか光は 山や川

 「何が見えるかな?」

このように投げかけ,次の文を板書します。

「若山や はるか光は 山や川」

「若山や」の板書が終わった時点で,「俳句だ」「短歌かも」という声が聞こえてきました。

そこで,残りの文章を板書していきます。「山や川」までの板書が終わった時点で,次の声が聞こえてきました。

「やっぱり俳句だ」

「五七五になっている」

「これって国語?」

「どこから算数になるの?」

「あれ,回文?」

「えっ,本当だ!」

「平仮名にすると分かるよ」

「『わかやまや はるかひかるは やまやかわ』だから回文だ」

「真ん中は『ひ』だね」

「奇数だから,真ん中があるね」

1つの文章から様々な気付きが生まれてきました。すごい子どもたちです。この文章から見えてきたのは,「俳句」「回文」でした。

さて,この視点は次の問題にも当てはまるのでしょうか。次に提示したのは「丸くなるな車」です。これは,明らかに俳句ではありません。一方,平仮名に置き換えると「まるくなるなくるま」なので,回文です。従って,2つの文章の共通点は「回文」ということになります。

そこで,「次も回文かな?」と言って「Ⅰ」が5個並んだものを提示します。多くの子は,「『いちいちいちいちいち』だから,回文じゃない」と声をあげます。一方,「回文だよ」と考える子どももいました。そこで,「回文だと言っている人の気持ちは分かるかな?」と尋ねます。

「左から見ても,右から見ても同じ形が見える」

「真ん中のⅠから見ると,左右の同じ形がある」

「鏡みたいになっている」

文ではなく,「形」で見たら同じ物が左右に鏡のようにあるので回文に見えるという気持ちを共有していくことができました。

すると,次の声も聞こえてきました。

「縦を真ん中にしても重なるけど,横を真ん中にしても重なるよ」

折り目の線を縦方向から横方向へと変えても,回文に見えるという声です。これも素晴らしい視点です。

すると今度は,「だったら回文じゃなくて,回図じゃないかな」との声があがります。確かに,文ではなく図として「Ⅰ」を見ることで,左右が回文の構造になっていることが見えてきました。すると「回図」の言葉をきっかけに,子どもの発想が広がっていきます。

「円も回図だ」

「正方形もそうだ」

「長方形もそうだ」

「二等辺三角形だ」

「正三角形もだ」

「正多角形もだ」

「正とついていたら回図だ」

「平行四辺形もだ」

「え?違いかも」

「斜めに折ったら重なるよ」

「え?斜めでもだめだよ」

「台形は大丈夫」

「待って。跳び箱みたいな台形はいいけど,そうじゃないのは回図にならない」

「ひし形は回図だ」

「左右が合同なら,回図になるんだ」

「ⅠⅠⅠⅠⅠ」が回図であることを共有したことをきっかけに,回図の範囲を子どもたちが拡張して考えていくことができました。対象場面を拡張できる見方・考え方は立派ですね。

その後,2つの三角形を提示し,回図であるか否かを考えました。回図であるかを調べる中から,図形を半分に折るだけはなく,辺の長さや角度を調べる方法も見出していきました.図形の構成要素を探る視点の出現です。

2つ目に提示した三角形は,二等辺三角形と似て非なる図形でした。見た目で回図と判断した子どもたちも多数いましたが,調べる中から「違う」「回図じゃない」と気づいていきました。

子どもたちが名付けた回図とは,線対称な図形のことです。国語から算数の世界へと広がった学習でした。



2025年4月9日水曜日

九九表の秘密

 「2年生の復習からスタートしよう」と子どもたちに投げかけます。(今年は6年生です!)

空白のかけ算九九表を配布し,答えを埋めていきます。子どもたちは「ぼくたちを馬鹿にしているのですか?」と声をあげます。

やがて答えが埋まっていきます。そこで,今度は「それでは九九の答えを全部たしましょう」と投げかけます。すると,何人かの子どもから「えー」という声があがります。この声を受けて,次のように投げかけます。

「『えー』と言った人の気持ちは分かりますか?」

子どもからは,次の声があがります。

「81ますたすのは大変」

「だったら,みんなでやったらいい」

そこで,1〜9の段を分担して計算することにしました。この計算途中で,子どもたちは様々なきまりが九九表にあることにも気づいていきました。

各段の答えを両端から順にたしていくと,同じ数が4パターン生まれること。

段数の5倍の数を9倍すると,合計数になること。

各段の真ん中の数の9倍が合計値になること。また,それは平均の考え方を使っていること。

これらのきまりに気づいていていくことができました。いずれも6年生らしいきまり発見でした。

さて,問題は81ますの合計数でした。最後に各段の合計をたしていきます。結果は,「2025」です。子どもからは「すげー!」と歓声があがりました。

2025年度のスタートに相応しい学習でした。

本教材は,田中博史先生の算数講座で教えていただいた内容を活用したものです。