2018年5月13日日曜日

80÷4の計算方法を考える

3年生の子どもたちに,次の問題を出します。

「80個の玉子があります。4人で同じ数ずつ分けます。1人分は何個になりますか」

ここまで子どもたちは,かけ算九九で解決できるわり算の学習を終えています。従って,問題文に対する式が80÷4になることは理解できます。しかし,この式はかけ算九九の範囲を超えています。これまでのやり方では,答えを求めることはできません。そこで,子どもたちに答えの求め方を考えさせました。

まず,取り上げたのは図を描く方法です。4人の子どもの図を描き,その下に玉子を1個ずつ順に配っていく図を描きました。これなら確実です。図を見れば,1人分が20個であることがわかります。
しかし,この方法は時間がかかります。子どもたちからは,「めんどうだよ」「玉子の数がもっと増えたら大変なことになる」と声があがりました。

次に,下のような式を取り上げました。

「40÷4=10 10×2=20」

この式の意味を読解させます。最初の式のわられる数の40は,「玉子が40個なら」と考えたときの1人分を求める式です。40個の玉子なら,1人分は10個です。80個なら,10個が2つ分です。だから,1人分は20個となります。
この求め方は,80÷4の計算を知っているわり算の40÷4に変身させたのです。つまり,玉子80個を40個と40個に分けて考えたのです。

多くの子どもたちが考えていたのは,次の方法でした。

「80÷4の80の0をとる。8÷4=2になる。とった0を,2に戻した20」

納得している子どもも多くいました。しかし,「なんで0をとるの」という声もあがります。8÷4の式にしてしまうと,問題文が「8個の玉子を4人で分ける」と変わってしまいます。このことに違和感をもった子どもには,先の方法は納得できません。
「0をとって,0をもどす」
この方法は,子どもたちがよく考える方法です。しかし,これは単なる形式的な計算方法にすぎません。この方法が一度インプットされてしまうと,この方法の意味を考えようとすることが難しくなります。

そこで,次のように投げかけます。

「今までやった方法に,この方法は似ていないかな?」

これをきっかけに,子どもたちが動き始めます。
「さっきの40÷4と同じで,8÷4=2なら計算ができる」
「次も8÷4をする。次も8÷4をする・・・・・。」
「80を8と8と8と・・・8に分けて計算したんだ」

80÷4を知っているわり算に分解するアイディアは,40÷4も8÷4も同じです。既習の計算に分割する考え方は,数学的に価値あるものです。この考え方を価値づけます。
「0をとって0をつける」という意味は,1/10の大きさを求め,その後,その答えを10倍するということです。形式的に答えが求められることで満足するのではなく,その計算方法の意味をしっかりと理解させることが大切です。
40÷4の計算と関連付けることで,その意味を明らかにしていくことができました。