2018年5月8日火曜日

わり算の筆算に目的意識を持たせる

4年生のわり算の学習は,形式的な筆算練習になりがちです。単元前半は,筆算を使わずに答えを求める方法を考えさせることで,形式的な指導から脱却することはできます。しかし,後半は単なる筆算での計算練習になりがちです。そこで,こんな授業を展開してみました。

子どもたちに,次のように投げかけます。
「百の位の筆算はできるかな。531÷4に挑戦しよう」

筆算の計算の手続きは,十の位までの筆算と同じです。子どもたちは,ノートに計算を進めていきます。

531÷4=132あまり3

次に,「631÷4もできるかな」と投げかけます。前述の問題ができれば,この計算は簡単です。ここまでは,まだ子どもたちは単なる計算練習をしているに過ぎません。

631÷4=157あまり3

今度は,「731÷3はできるかな」と投げかけます。子どもたちは,ノートに計算を進めていきます。ところが,今度は計算の途中から「あれ」「同じだ」などの声が聞こえてきます。何かに気づいたのです。

731÷4=182あまり3

気づきは,子どもたちを動かします。子どもたちの気付きを発表させます。
「あまりが全部3だ」
「わられる数の十と一の位が,どれも31だ」
「わられる数の百の位は100ずつ増えている」
「答えは25ずつ増えている」
「筆算の最後の計算は,1番目の3番目の問題は11ー8になっている」
「2番目の筆算の最後は,31ー28になっている。だとしたら,4番目の計算も31−28になるよ」
「4番目の計算って,831÷4だね」

きまりを発表する中から,子どもたちが計算問題を創り出した瞬間です。子どもたちは,この他にもたくさんのきまり(共通点)を見つけました。それらのきまりは,831÷4でも当てはまるのでしょうか。子どもたちに,予想をさせます。831÷4でも当てはまると考える子どもが半分,当てはまるきまりと当てはまらないきまりがあると考える子どもが半分でした。ズレが生まれました。このズレが,子どもたちをさらに能動的にしていきます。

実際に831÷4で実験を行います。「あまりが3」「4番目の計算も,最後の筆算部分は31−28になる」などのきまりは当てはまりました。一方,最初の3問だけに当てはまったきまりもありました。計算しながら,子どもたちは「同じだ」「これは違う」などと言いながらノートに向かっていました。この声は,目的意識があったからこそ生まれたものです。

子どもたちは,「だったら931÷4もあまりは3だね」「でも,その先の千の位になったらどうかな」とさらに場面を拡張して話し合いを続けました。

計算練習場面のスタートは,教師からの問題提示が必要です。しかし,その途中で子どもがきまりに気づくような仕掛けがあれば,きまりの一般性を確かめるという目的意識をもって動き出すのです。それが,計算場面を子ども自らが拡張して考えていくことにもつながります。