2019年4月22日月曜日

この図は同じ?(3年「かけ算」)


3年生の子どもたちに,次のように投げかけます。
「丸の数は全部でいくつなるかな」

右の図を提示します。図を見た子どもからは,次の声があがります。

「式で出せる」
「式は2つあるよ」
「3つだよ」
「えっ4つだよ」

丸の総数を求めるだけなら7×6となります。しかし,子どもたちは「赤と青と色別に式を作った方がいい」と考えました。

「赤は7×2でしょ。青は7×4でしょ。合わせて14+28」

色別に式表記するよさに気づいた子どもたちの発想を褒めます。続いて,「もう1枚シートがあるよ」と言って,右の図を提示します。これを見た子どもからは,相反する声があがります。

「さっきと同じだよ」
「回しただけだよ」
「えっ,そうかな」
「赤が上にいっただけだよ」
「だって丸は全部で42個だよ」

2枚目のシートの丸の総数は42個です。赤も2列です。多くの子どもたちはこのシートを1枚目と同じと捉えました。一方,1枚目とはなにかが違うと考えている子どももいます。シートの見方にズレが生まれました。すると,子どもたちは先ほどよりもより一層じっくりと2枚のシートを見比べます。

「赤が上に行っただけで同じだよ」
「1枚目を回したら,2枚目と同じになるよ」
「違うよ。多いが少ないで,少ないが多いになっているよ」

おもしろい表現が生まれてきました。そこで,子どもから生まれた「多いが少ないで,少ないが多い」の意味を全員で読解していきます。

「1枚目を回転するよ。そうすると,縦の丸の数は2枚目は7個で1枚目は6個。だから,多い数から少ない数になった」
「そうか。横は2枚目は6個で1枚目は7個。だから,今度は少ないから多いになった」
「だったら,やっぱり1枚目と2枚目は違うね」
「赤は2枚目は6×2,1枚目は7×2で違うよ」
「青も2枚目は6×5,1枚目は7×4」

当初,同じシートだと思っていた子どもたち。しかし,色別に式にするとまったく異なる式になることが見えてきました。総数が同じで見た目もよく似たシート,式表現にするとまったく別物であることがズレをきっかけに明らかになった1時間でした。