2019年4月23日火曜日

3年「わり算」の導入

3年生のわり算の導入場面です。子どもたちに次のように投げかけます。

「お母さんが福引き券をもらってきました。4人の子どもたちに『仲良く分けなさい』と言いました」

子どもたちに,「仲良く分けるってどういうこと」と尋ねます。

「もし,くじが6枚だとします。花子さんに5枚配ると,一郎君に1枚,次郎君と雪子さんは0枚になります。これでは仲良くない」
「4人が2枚,2枚,2枚,2枚とかのように同じ数ずつ配らないと仲良くなれない」

子どもたちは具体的な数値を設定しながら,仲良く分けることの意味を分かりやすく説明することができました。
子どもたちは,続いて「全部の枚数を教えてほしい」と声をあげてきました。しかし,ここでは全部の数は教えないことを伝えます。その上で,「花子さんにまず何枚配るかな」と投げかけます。

多くの子どもたちは「1枚」と声をあげます。そこで,なぜ1枚だけを花子さんに配るのかを尋ねます。

「もし,花子さんに4枚配って,それで他の子に配れないと仲良くないから」
「1枚ずつをまず配るでしょ。もし,まだ福引きがあれば,また1枚ずつ配ればいい」

1枚ずつ配る意味を子どもたちは理解していきました。そこで,実際に福引き券を袋から出していきます。
先ずは1人に1枚ずつ配ります。まだ,福引きは残っています。そこで2回目を配ります。まだ残っています。3回目を配ります。これで福引きはなくなりました。子どもからは,次の声があがります。

「3回できる」
「4×3だ」
「3×4だよ」

福引きの回数が見えた時点で,子どもたちはこの場面を式化しようと考えました。子どもからは2つの式が生まれてきました。どちらの式化が問題場面に合うのかが,次の子どもたちの問いとなりました。

「1人3回でしょ。それが4人だから3×4だよ」
「4×3だと話が変わるよ」
「4×3だと,1人4回になる。それだと子どもは3人になる」
「子どもは4人。1人3回の福引きだから3×4」

福引きの回数をかけ算の式で求める考え方を共有することができました。この後,わり算の式の意味を教えます。

福引きの総数が分からないからこそ,福引きは1枚ずつ配らざるをえないのです。これが等分除の配り方です。最初から総数が見えてしまうと,一気に3枚配ろうとする考えも生まれてきます。この配り方は包含除的な配り方になります。等分除でのわりざんとの出会い場面では,1枚ずつ配る見方・考え方が大切です。この見方・考え方が子どもから生まれてきた1時間目となりました。