2021年7月13日火曜日

バラバラで分かりにくい!

「4月〜6月の本の月別貸し出し調べをしました」と子どもたちに投げかけ,4月から順に右の表を提示(手立て①②)していきます。子どもたちは、この段階で気付いたことを次のように説明してきました。

「図鑑が(5月は)すごく増えた」


「物語と図鑑が4月と5月で反対になっている」

「6月はまた反対になっている」

「伝記は4月5月は3位だけど,6月は1位になっている」


月ごとの項目順が,3ヶ月を横に見ていくとバラバラになっていることなどに気がついてきました。これまでに子どもたちは,「表はデータの多い順に整理した方が分かりやすい」ことを見いだしています。この既習の学びを基に,子どもたちは項目がバラバラであることに気がついてはいますが,この事実についてそれほど違和感を抱いてはいませんでした。この場面での子どもたちは,3ヶ月毎のデータがバラバラでもそれほど困ってはいないようです。

そこで,次の発問を投げかけます。

「3ヶ月の人気3位はなんですか?」

子どもからは,「図鑑」「伝記」「物語」「その他」とすべての項目が発表されます。さらに,「わかんない」という声もあがります。友だちの考えとのズレが生まれてきました。そこで,このズレの原因を尋ねます。

 

「だって,物語は4月は上,5月は下,6月は上でバラバラだから分かりにくい」

「図鑑もバラバラで分かりにくい」

 

この段階の子どもたちは,ズレの原因が各月の項目がバラバラになっていることにあることを指摘しています。子どもの発言はさらに続いていきます。

 

「伝記は最初(4・5月)は揃っているけど,6月は上に行って分かりにくい」

「でも,その他は4〜6月まで揃っているから分かりやすい」

「だったら,揃えたらいいよ」(Y子・H男)

「例えば図鑑なら,4月は8人。その横に5月は24人、6月は14人と書けば揃う」(R男)

 

「伝記」の4・5月は横の項目が揃っています。「その他」は3ヶ月分が揃っています。3ヶ月分のデータの中でも,横が揃っている項目は分かりやすい部分があることに子どもたちは気付いてきました。この気付きが,Y子・H男らの「だったら,揃えたらいいよ」という新しい表の整理の観点を引き出すことにつながったと考えられます。3ヶ月分のデータを既習の多い順ではなく,3ヶ月を通して項目を固定するという新しい観点です。子どもが学びを深めた瞬間です。

学びを深める観点は,すぐには子どもたち全員には理解されませんでした。じっくりと時間を掛けてクラス全体で共有していくことが大切です。その際に生まれてきたのが,上記R男の例示でした。R男の例示で,項目を固定する意味をクラス全体で共有することができました。


子どもから生まれたアイディアで表を作り直すことにしました。一人一人がノートに新しいアイディアで右のような表を作っていきます。

その後,3ヶ月分の項目を固定した表と,当初の表を比べさせます。これは全ての子どもたちが,項目を固定した方が分かりやすいと感じることができました。その理由をノートにまとめさせます。


「パッと見て,横にならんでいると分かりやすいし,バラバラだとさがしたり,合計をもとめるときにさがしていると,数をわすれてしまってわかりにくい」

「横の数がそろっているから,横の数をたすだけで合計が出る。上下だと,どこにいったっけ・・・となって,分からなくなってしまうから」

「下の表だと,図かんは図かん,伝きは伝きでまとめられていて,合計が出しやすいし画期的」


合計のしやすさの視点も子どもらしいよい視点でした。さて,最後に子どもから生まれたのは、次の声でした。

「いっぱいあったら揃えた方が分かりやすい。1つだったら、多い順でいい」

「問題によって使い分けたらいい」

問題に応じて,表を整理する観点を使い分けるという高度な見方が生まれてきました。これも学びを深めた姿と言えます。