2022年2月3日木曜日

角の大きさと時計

 3年生「三角形」学習も大詰めです。子どもたちに,次のように投げかけます。

「角の大きさが大きいのは,どちらでしょう」




大型テレビに,2つの角(青と赤)を順次提示します。先ずは,直感でどちらの角が大きく見えたのか判断させます。「青」「赤」「同じ」に子どもの判断は分裂します。それと同時に,「もう1回見せてほしい」と声があがります。
そこで,角の画像を再度提示します。画像が提示された瞬間,手を使って見えている角の大きさに合わせている子どもの姿が見られました。そこで,この姿を再現させ,このようなジェスチャーを行った気持ちを読解させます。
「角を手で表している」

「青は直角で,赤は直角より小さかったから,青が大きい」

「青は直角より少し小さくて,赤は青よりももっと小さい」

「それって,時計の針みたいだね。直角だったら3時に見えるよ」

手を使ったジェスチャー表現の気持ちを読解する活動を通して,角の大きさがアナログ時計の長針と短針に見えるという子どもらしい視点が生まれてきました。そこで,この視点でそれまでに発表されたジェスチャー表現を時刻に置き換えていきます。

「赤の直角が3時なら,青は3時10分くらい」

「赤が3時5分なら,青は3時13分くらい」

「時刻の分が少ない方が,角が大きいということだね」

角度の学習は4年生です。しかし,子どもたちは角の大きさを時計を使って数値化したくなったのです。すばらしい発想力です。

時刻が少ない方が角の大きさは大きいのでしょうか。分度器はまだ使えません。最後は,2つの角を重ねることで,両者の大きさを比較しました。結果は,子どもたちの予想通りに青の角が大きいことが確かめられました。角の大きさを時刻に置き換える見方の正しさが証明されました。

では,この方法は他の角の大きさ比べでも使えるのでしょうか。多くの子どもたちは,使えると考えました。そこで,黄色と緑の2つの角を提示します。同じように時刻に置き換えます。

「黄色は9時55分,緑は9時53分。時刻が少ないのは緑だから,緑が大きい」

先ほどの決まりを使えば,このように考えられます。果たして,子どもたちの予想は正しいのでしょうか。2つの角を重ねて確かめます。すると・・・

「あれ,黄色が大きい」

「なんで?」

「分かった!30分を境にして,それより前なら(時刻の)数字が小さい方が角が大きくて,30分より後ろなら,数字が大きい方が角も大きいんだ」

「12の数字との差で見たらいいんだ」

「長い針が12時に近い方が大きいんだ」

子どもたちは,角の大きさを時刻に置き換えて考える見方を,時計の30分を境にして場合分けして考えていくことができました。この視点も鋭い物があります。