2022年2月24日木曜日

教科書問題から発展

 学校図書のかけ算単元末にある問題を提示して,授業をスタートします。

「21×24の筆算にチャレンジしよう」

子どもたちはノートに計算を進めていきます。答えは「504」です。

2問目を提示します。今度は,「12×42」の計算です。この段階では,まだ子どもたちは何も気がついていません。

計算を進め,答えが求められた時点で「同じだ」「反対になっている」などの声が聞こえてきました。何かに気がついたようです。答えが「504」になることを確認したあと,その声を聞いていきます。

「式が反対になっている」

「一の位の数字と十の位の数字が反対になっている」

「反対になるけど,答えは同じになっている」

「それはたまたまでしょ」

「いつでもかもしれないよ」

子どもたちは,式の一の位と十の位が入れ替わっても答えは等しくなることに気付いてきました。この発見は,この問題だけの偶然なのでしょうか。この段階では,偶然だと考える子どもが多数を占めました。

そこで,別の式で実験を行うことにします。「23×64」と「32×46」です。式の一の位と十の位が入れ替わった式です。計算が始まってしばらくすると,「同じだ」「すげー」と声が聞こえてきます。この問題の答えも,両者「1472」で等しくなりました。1問目の発見は,この問題でも当てはまりました。まだ,この発見を怪しんでいる子どももいましたが,「秘密が分かった」という声が聞こえてきました。この声を共有していきます。

「この問題の式の一の位の3と4をかけると12。十の位の2と6をかけると12」

「どちらもかけた答えが同じになっている」

「あっ,だったら最初の問題もそうなっている。一の位の1×4=4。十の位の2×2=4で同じ」

「一の位と十の位の数字をかけて答えが同じなら,かけ算の答えも同じになるんだ」

子どもから,答えが同じになる式の新しい視点が生まれてきました。そこで,この視点の正しさを別の式で確かめます。「12×84」と「21×48」を計算します。式は,前述の視点に合致したものです。計算が始まってしばらくすると,「やっぱり同じだ」「1008にどっちもなった」と声があがります。それと同時に,この視点を使って別の式の計算を始める子どもの姿も見えてきました。子どもたちが勝手に式作りへと動き出した姿です。

そこで,残りの時間は答えが同じになる式探しを子どもたちがそれぞれ行うことにしました。答えが同じ式を発見した子どもには,その式を発表してもらいます。「48×42」「84×24」や「12×63」「21×36」などの多数の式が発表されました。この場面は,個別指導の部分とも言えますね。

最初はさせられていた計算問題でしたが,途中から子どもたち自らが問いを見出し,目的意識を持って計算に取り組んでいった1時間となりました。