2022年2月3日木曜日

朝ドラ「カムカムエブリバディ」と全国学力状況調査

 NHK朝ドラで「カムカムエブリバディ」が,放送されています。その中で,小学生のひなたちゃんが夏休みの宿題をすっぽかして遊び過ぎるストーリーなどが放送されています。

ドラマの中で,ひなたちゃんの部屋や,ひなたちゃんの通う小学校の教室の光景が何度が映し出されました。その中に,黄色いリュックサックのような物が壁に掛けられていたり,ひなたちゃんたち小学生がそれを背負っている光景が出てきます。あの黄色いリュックサック,なんだか分かりますか?

あれはランドセルです。京都で開発されたランドセルと同じ機能を持ちつつも,軽くて安価な「ランリック」と呼ばれる通学カバンです。朝ドラで,この部分も忠実に再現されていることに驚きました。このランリックは,現在も京都の一部の市で使われています。私もランリックを背負って通学する子どもたちを見かけます。ランドセル重たい問題がしばらく前に話題になりましたが,ランリックなら軽くて楽ちんそうです。

さて,私はかつて全国学力状況調査問題作成委員をしていました。そこで作成された問題の中に,ランドセルを扱った問題が候補になりました。しかし,前述の京都の子どもにとってはランドセルは身近なものではありません。テレビなどで見たことはあっても,自分が使った経験はないのです。その意味で,ランドセルを日本の子ども全員が使っていると考えて問題を作成することは危険なのです。従って,このランドセル問題は採用にはなりませんでした。使った経験知がないのですから,問題そのものに答えることはできないからです。公平性が担保できません。

それぞれの地域で当たり前だと思っていることが,実はローカルであることはよくあることです。別の会議では,「8時10分に学校が始まります」の問題に「そんなに学校は早く始まりません。8時半以降が大半です」と声があがったことがあります。学校の始業時刻も地域で違います。本校は8時10分開始です。以前,勤務していた新潟県も8時5分〜8時15分の間でした。

自分が当たり前だと思っていた常識を,一度疑ってみることも,授業作りにも必要ですね。