2022年12月7日水曜日

円形のエアーホッケー

 ゲームセンターにあるエアーホッケーをもとに、次のように子どもたちに投げかけます。

「45°でパックを発射します。ゴールに入るまで何本の線ができますか」

入射角と反射角の関係やスタートとゴールの位置,ゲーム版は円形であることなどを確認します。45°の場合は、多くの子どもたちが、ゴールに入る線は2本だと予想しました。

そこで、本当に2本なのかを実験します。これは作図も簡単でした。子どもたちの予想通りの2本となりました。この時点で、「だったら90°なら1本になる」と声があがります。これはすぐにイメージができます。この段階で、きまりに気づく声も聞こえてきましたが、ここはまだ早いと考え、次の問題場面へと移動します。

「30°になったら、何本の線ができるでしょう」

ほとんどの子どもが3本とイメージします。しかし、その軌跡のイメージが違いました。半円の右半分に沿った動きのイメージの子どもと、円全体をジグザクに動くイメージの子どもです。予想段階で、後者が多くを占めました。

果たして、パックの動きはどのようになるのでしょうか。実験の結果、パックの軌跡は前者の動きであることが見えてきました。軌跡の本数は3本です。

この段階で「きまりがある」という声が多く聞こえてきました。

「90÷xで本数が分かる」

「90°は1本だから,90÷90で1本。45°は90÷45で2本。30°は90÷30で3本と式で本数が分かる」

「表にすると,もっと分かりやすくなる。本数が2倍・3倍になると,角度は1/2倍・1/3倍になっている」

「これは面積が20㎠の長方形の縦の長さと横の長さの変わり方と同じです」

90°〜30°の3つの情報から,子どもたちはきまりの存在に気がついてきました。これは反比例の見方につながるものです。表に整理するアイディアや文字式を使うアイディアが子どもから生まれてきたことも,素晴らしい子どもたちの発想力でした。

さて,これらの見方を使えば15°の発射角も計算で軌跡の本数が求められます。90÷15の答えなので6本の軌跡ができます。その後,実験で確かめます。この作図は苦労しました。かなりの精度が求められるからです。30°の発射角を描いてから,それを二分割することで6本の軌跡があることを簡単に求められることを発見した子どももいました。

反比例の見方を,エアーホッケーから引き出した授業でした。