2019年3月14日木曜日

4年生「簡単な割合」文具店の方針への賛否

4年生に「簡単な割合」が入りました。今回は,筑波大学附属小学校の田中博史先生の実践を参考に,本校でも実践を行ってみました。

子どもたちに,次のように投げかけます。

「ある文房具店が諸般の事情により,全品100円値上げすることになりました。この文具店の方針に賛成ですか,反対ですか」

この投げかけに対して,子どもからは「それって,文具店の立場ですか,買う人の立場ですか」と質問があがりました。鋭い視点です。立場によって賛成・反対が変わるというわけです。

そこで,立場によって賛成・反対が変わるのかをクラス全体で考えていくことにしました。この時点で,この論点の意味が見えていない子どももいたからです。子どもたちは,次のように話し合いを進めていきました。

「10円の鉛筆があったとします。これは100円値上げだと110円になる」

1本10円の鉛筆という例示が子どもから生まれてきました。子ども自らが考える対象となる事例を例示していくことは,大変に高度な考え方です。この鉛筆の事例に対して,子どもからは「高過ぎだ」と声があがります。

「600円のシャーペンがあったとします。これは100円上がると,700円にしかなりません」


今度は600円のシャーペンの事例が生まれてきました。さらに,この事例に対しては「700円にしか」と「しか」という言葉がつきました。そこで,なぜ「しか」という言葉を鉛筆では使わず,シャーペンでは使ったのかをクラス全体で共有していくことにしました。

「だって,10円が110円になったら11倍になっている」
「でも,シャーペンは600円が700円だからそれほど値上げしていない」
「そうかな? どちらも100円ずつ値上げしているよ」
「鉛筆10円が110円になったら11倍。これって鉛筆11本買える値段だよ。シャーペン600円が700円になっても11本も買えない」
「600円が700円は700÷600で約1.2倍。だから,1.2本分しか買えない」
「10円をもと,600円をもとと考えると,鉛筆がすごく増え方が大きい。シャーペンは増え方が小さい」
「もし,11000円の万年質があったら,100円上がっても11100円。ほとんど上がっていない。増え方がすごく小さい」

割合は子どもには馴染みのない言葉です。子どもにとっては増え方が大きい・小さいと表現することが,割合の見方を示す言葉のようです。
また,10円と600円を同じ大きさのもととして図に表現することで,この増え方の違いがより明確になりました。

最終的に子どもたちは,この文房具店の方針に対して次のように考えました。

「お店の立場でもお客さんの立場でも,100円値上げは反対。10円が100円になればお店はいいかもしれないけど,多分,買わなくなるからお店もいいことはない」
「10円が110円。11000円が11100円は不公平」
「全部が1.5倍なら平等」
「だから,全品100円値上げではなく,全品1.5倍とかの同じ倍の値上げがいい。それなら,お客さんも買う」

文房具店,お客の2つの立場の読解からスタートした授業でした。子どもたちは,自分たちで事例を示しながら,価格により不公平感が生まれることに気づきました。