2019年3月9日土曜日

そろばんの定位点

3年生でそろばんの学習を進めています。

そろばんには定位点が打たれています。子どもたちが使うそろばんの定位点は,「一の位」「千の位」「百万」の順に位置付いています。

子どもたちに,「二万をそろばんに入れよう」と投げかけます。この指示に対して,「千の位」の定位点の位置に一玉2個を入れる子どもがいました。この表し方では二千になってしまいます。おそらく,「一の位」の定位点の左にある定位点を「一万の位」だと勘違いしたのでしょう。

実は,戦前のそろばんの定位点と現代のそろばんの定位点は異なっていました。戦前は「一の位」「一万の位」「一億の位」の位置に定位点がありました。

子どもたちに,戦前のそろばんの定位点が,前記位置にあった理由を考えさせました。

「数字は1,000て書くことがあるでしょ。だから,それに合わせて今の定位点は千の位のところにあるんだよ」
「一十百千で1シリーズ,一万十万百万千万で1シリーズ」
「1シリーズ毎に定位点を打っていたんだよ」
「定位点を見れば,万や億がすぐに分かる」

この話し合いの中から,子どもたちは「この勉強ってどこかでしたよね」と類似学習を想起していました。「大きな数」の学習で一億までの数の仕組みを学びました。そのときにも,「一十百千で1パック」という言葉で,数の仕組みを発見していきました。子どもたちは,その時の学習場面と類似であることに気づいてきたのです。

さて,子どもたちは日本の位取り記数法と戦前のそろばんの定位点の関係に気づくことができました。戦前の定位点の位置の方が,子どもにとっては大きな数をそろばんに入れるには分かりやすいのです。しかし,西洋の数字表記に合わせるために定位点は現在のように変更されることとなったのです。