2019年7月8日月曜日

億の壁

3年生の子どもたちに「10倍ゲームをしよう」と投げかけます。

クラスを2つに分けます。代表の子どもが出てきてジャンケンをします。勝ったらチームの持ち点が10倍になります。負けたら持ち点は1/10になります。

最初の持ち点は,どちらも35000点です。代表の子どもができてジャンケンをします。1回目に勝ったチームの得点は,35000点の10倍です。350000点になります。一方,負けたチームは3500点になります。このゲームを続けていく中で,子どもから「おもしろいことがある」と声があがります。なにかに気づいたのです。

「10倍すると0が1つ増える」
「反対に負けて10でわると0が1つ減る」
「10倍10倍だと0が2個分増えるね」

10倍と0の関係に子どもたちは気づいていきます。さらにゲームを進めていきます。

35000000点まで得点アップしたチームが現れました。その次のジャンケンでも勝ちました。その得点をノートに書かせました。先ほどの0が増える発見から,子どもたちは「350000000」と得点をノートに書きます。この数字の読み方は未習です。しかし,多くの子どもは既に知っているようです。「3億5千万」という声が聞こえてきます。一方,その読み方に対して首を捻っている子どももいます。「5千万」は既習です。しかし,3を「3億」と読むことは未習です。「なぜ3億と読むの?」と疑問が頭に渦巻いているのです。

疑問を抱いた子どもたちに対して,他の子どもたちが説明を行います。

「最初の数字は一十百千でしょ。それが次も一万十万百万千万だから同じのが続いていくから3億になるんだよ」
「最初の一の位の数字は一十百千です。この後も,この一十百千がずっと繰り返すから5千万の後は一億になる」
「一の位の一が万の位の一万の部屋の一に跳ぶ。十の位は十は十万の位の十に跳ぶ。百の位は百万の位の百に跳ぶ。千の位の千は千万の位の千に跳ぶ。これが繰り返すから,3も次の1が跳んで一億の新しい位の部屋ができる」

「億」という言葉は未習です。しかし,位取りの「一十百千」が永遠に繰り返すことを子どもたちが見つけていくことがこの学習のポイントです。3回目にも「一十百千」のくり返しがあることと,そこには今まで学習していない新しい数字の単位(億)が付きそうだということを子どもが気づくことが大切なのです。

億の読み方への疑問の声を軸の授業を展開していくことで,上記のポイントを子どもたちが見つけていくことができました。