2020年10月22日木曜日

0でリセット!(かけ算4の段)

 2年生「かけ算」の学習です。次の問題を提示します。

「車のおもちゃを作ります。1台に4個ずつタイヤをつけます。タイヤは全部で何個ですか」

この問題文は,板書シリーズ(東洋館出版社)2年下の山本良和先生の実践を引用しています。

問題文を見た子どもから,声があがります。

「車が何台かわからないと,タイヤの数がわからない」

「かけ算になるよね」

「例えば,車が2台なら4×2で8個だね」

「例えば」を使うことで,具体的な問題場面をイメージする声もあがってきました。そこで,車が1台の場合,2台の場合と順にタイヤの数を求めていきます。

3台目までタイヤの数が求められたとき,子どもたちが「おもしろいことがあります」と声をあげてきます。

「4ずつ増えている」

「だって,2の段は2ずつ,5の段は5ずつ,3の段は3ずつ増えたでしょ。だから,4の段も4ずつ増えていくんだよ」

これまでのかけ算の学習で学んだことをもとに,答えの増え方がかけられる数と同じ数だけ増え続けることが説明できました。

さらに,次の声もあがってきます。

「一の位が繰り返すんじゃないかな」

「4,8,2だから,この後に数字がいくつか続いて繰り返すよ」

「絶対に繰り返すよ。だって,今までも0が来たら繰り返してたよ」

「5の段は5,0,5,0だった。2の段は,2,4,6,8,0,2,4だった。3の段も3,6,9,2,5,8,1,4,7,0,3だった。だから,0がきたら繰り返す」

「0が来たら一の位がリセットされるんだ」

答えの一の位が繰り返すことを,ここでも既習のかけ算の一の位の繰り返しのきまりから類推しています。素晴らしい見方・考え方が生まれてきました。「0でリセット」という説明も,子どもらしくて素敵ですね。

しかし,4の段も一の位が繰り返すのかは,この段階ではまだ確かめられていません。子どもの中には,まだ不安そうな表情を浮かべる子もいます。そこで,4台目以降のタイヤの数をかけ算で求めていきます。

その結果,子どもたちの予想通りに一の位が繰り返すこと,さらには0でリセットされることが確かめられました。すると,さらに子どもたちは考えを拡張していきます。

「きっと,他の段も0でリセットされるね」

「でも,10の段は違うよね」

「そうかなあ。10,20,30,40だから,0が繰り返すってことじゃない?」

既習のかけ算学習で見つけた決まりを,目の前の新しいかけ算に類推的に当てはめて考えようとする姿は,深い学びそのものです。しかも,類推的に考えることを子ども自らが進んで行っていけることに価値があるのです。素晴らしい子どもたちです。