2020年10月28日水曜日

1セットは6個? 1セットは2個?

 2年生「かけ算」6の段の導入場面です。子どもたちに次のように投げかけます。

「チョコは全部で何個でしょう」


次の画像を提示します。子どもたちは,見えたチョコの数をノートに書いていきます。多くの子どものノートには,6×2という式が書かれていました。

すると,ここでY子が「よくわからないところがあった」と呟きます。

「青いチョコは2個あったでしょ。でも,上の茶色のチョコが何個かよく分からなかった」

この声をきっかけに,子どもたちが動き出します。

「茶色のチョコは4個あったよ」

「だから,1セットは6個あるよ」

「1セットは2個だよ」

「えーっ?どういうこと?」

「1セット」という主語に続く言葉が2種類生まれてきました。それぞれの言葉の意味を,子どもたちが説明します。しかし,すぐにはその違いを理解できない子どももいました。すると今度は,次の声が生まれてきます。

「だったら,青と茶色のチョコを別々に式にしたらいいよ」

「茶色は4×2で8個」

「青は2×2で4個」

「2つを合わせたら12個になるよ」

「1つの式にできるよ。6×2だよ」

「4の段と2の段を合わせたら6の段になる」

「たし算の筆算みたいだね」

「それなら,5×2と1×2を合わせてもできるよ」

6×2の答えを求めるには,既習のかけ算を合体すれば答えを見つけることができそうだということが分かりました。一方,「まだ,他のかけ算はわかんないよ」という声も聞こえてきます。子どもらしい声です。

そこで,6の段の他のかけ算も既習のかけ算を合体することで答えを見つけることができるのかを実験していきます。

その結果,6の段のどのかけ算も既習のかけ算を合体することで答えを見つけることができることが見えてきました。かけ算の学習は,中盤を過ぎると中だるみになる傾向があります。しかし,今回のように6の段を既習の2つのかけ算の組み合わせでも構成することができるという新しい見方を引き出すことで,かけ算学習も再び活性化していきます。

今回は,提示するチョコの色を2つに塗り分けた上で,「チョコ全部の数は何個?」と尋ねることで,6の段で全体を捉える見方と,色に応じて部分と部分で捉える見方の2つを引き出すことができました。この学習では,「1セットは6個」「1セットは2個」という子どもの声がきっかけとなり,この目的へと子どもたち自身の手で進んでいくことができました。

もちろん,これまでに子どもたちが見つけた「かけられる数ずつ答えが増える」というきまりでも,6の段の答えを見つけることもできます。このきまりも,授業の中で確認していきました。

さて,6の段のかけ算が完成したところで,「でも,他の段も筆算のように合体してできるのかなあ」という不安の声が聞こえてきました。多くの子どもは,他の段も合体でできそうだと考えていますが,不安そうな子どももいます。このような子どもたちに素直な気持ちのズレの存在が,他の段のかけ算を学習していく目的意識にもつながるのです。