2021年10月26日火曜日

分数倍を図で乗り越える!

 子どもたちに次の問題を提示します。

「3色の紙テープがあります。青は黒の1/2の長さです。赤は青の1/3の長さです。赤は黒の○/○の長さですか」

問題に出会った子どもからは,「図でできそう」「式は難しいね」「どれが一番長いの?」「ごちゃごちゃしてきた」などの声が聞こえてきました。

問題の構造自体は,前回学習した問題と似ています。しかし,数値が分数になることで問題場面のイメージ化のハードルが高くなったのです。当面の子どもたちの問いは,テープの長さはどの色の順で長いのかです。

そこで,「テープの長さはどの順になっているの?」と焦点化した問いを投げかけます。

「『青は黒の1/2の長さ』だから,黒の方が長い。『赤は青の1/3の長さ』だから,青の方が長い」

「2つを合わせると,黒,青,赤の順で長い」

「シーソーの図でも分かるよ。黒と青をシーソーに載せると,黒が長いから黒が下がる。青と赤をシーソーに載せると,青が長いから青が下がる。この2つのシーソーをつなげると,黒,青,赤の順に長いことが分かる」

このシーソーの説明が,子どもたちには分かりやすかったようです。「そういうことか」「分かりやすい」と声があがります。

さて,長さ比べの順位は分かりました。しかし,まだ赤は黒の○/○かは分かっていません。すると子どもからは,「図に描けば分かる」「長さを入れたらいい」などの呟きが聞こえてきました。そこで,ノートに図を描いて○/○を考えることにしました。

「黒の長さの半分が青でしょ。だから青はこの長さ(図示しながら)」

「青の長さの1/3が黒でしょ。だから赤はこの長さ(図示しながら)」

「赤は青に3つ入る(図示しながら)」

「さっきと同じことをすれば,黒も分かる」

「赤が黒の中に6つ分入る(図示しながら)」

「だから1/6になる」

テープ図で1/6という関係を見つけることができました。

また,具体的な長さを入れて考えた子どもたちもいました。

「黒が12㎝なら青は6㎝になる」

「だったら,赤は6㎝の1/3だから2㎝」

「2×6で12㎝だから1/6」

「12÷2=6でも分かるよ。1/6」

「最初は式は難しいと言ってたけど,式でもできたね。すごいね」

テープ図に具体的な数字を入れることで考えやすくなることは,前回の学習で子どもたちが発見した見方です。その見方を本時でも活用してみたのです。さらに,数値化することで,最初は難しいと考えていた式化もできることが見えてきました。

分数のかけ算につながる見方や分数倍の見方を,図を使いたくなる場面に出会わせることで引き出していくことをねらった学習です。